北朝鮮、東京にミサイル攻撃の可能性も…米国のほうが追い込まれ、戦争開戦の危険

北朝鮮、東京にミサイル攻撃の可能性も…米国のほうが追い込まれ、戦争開戦の危険

北朝鮮が弾道ミサイル発射(ビデオ画像、提供:KRT/AP/アフロ)

 北朝鮮は5月29日、今年だけで9度目になる弾道ミサイル発射を行った。すでに金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、実戦配備に向けて大量生産を指示している。とくにアメリカと北朝間の軍事的緊張が高まるなか、戦争に発展する可能性はあるのであろうか。軍事ジャーナリストの田岡俊次氏に聞いた。

「アメリカが戦争を始める理由は、ほとんどウソか間違い。ベトナム戦争のきっかけ「トンキン湾事件」は半ばまでねつ造報告、イラク攻撃の際の「大量破壊兵器保有」は有名だが、1999年にコソボ問題でユーゴスラビアを爆撃した時も、50万人が虐殺されているというデマを信じ、占領していくら探しても、結局2108体しか遺体が出てこなかった。遺体は、その前年のイスラム過激派コソボ解放軍とユーゴスラビア政府軍との戦闘の双方の戦死者だった。クロアチアのプロパガンダに騙されたのです。

 アメリカは計10万人以上、年間4〜5兆円の予算を持つ15もの情報機関や偵察衛星を持ち、世界中の電話やファックス、メールも全部盗聴できるが、それでもいつも判断を間違っている。だからアメリカは、ベトナム、アフガニスタン、イラクなど失敗続きだ。なぜそのようなことが起こるのか。ホワイトハウスの安全保障会議がCIA(米中央情報局)に情報を要求し、『イラクは大量破壊兵器を持っている証拠はないのか』と聞かれれば、他の情報機関に伝達し、無理矢理にでも注文に合う情報を探してまとめて出してくるわけです。情報機関は、上層部の思い込みを補強するだけの組織になってしまっている。日本は、アメリカの情報分析は間違っていることが多いという前提に立って行動したほうがいい。座礁ばかりしてる艦長の船に後方から付いていくようなものなので、多少の距離を取っていたほうが安全でしょうね」

 では、トランプの思い込みで戦争が始まる可能性はあるのだろうか。

「北朝鮮を威嚇したのに全然それが通じなければ、今トランプはメンツ丸つぶれの状態となる。ロシアゲートで弾劾されかねないということでも切羽詰まっている。役所の上級幹部570人は政治任用で、指名して議会で承認してもらわないといけない。ところが二十数人しか決まってない。国務省に至っては、190人くらい政治任用だが、今まで決まったのは国務長官と国連大使とイスラエル大使などだけ。他の役所も全部そうだからアメリカは今、政府がない状態になっちゃっている。

 それは単に遅れているのではなくて、構造的にできない。共和党の主流には相当人材がいますが、共和党の主流から見れば、トランプは共和党の主流を攻撃してやまない鬼っ子にすぎない。彼はワシントンの政官界に人脈がなく、どうしてもウォール街から連れてくることになる。今以上に絶望的な状態になれば、アメリカ人は戦争が好きなので、戦争さえすれば支持率が上がる。軍は渋るだろうが、大統領が決めれば、結局やらざるを得なくなるかもしれない。だから危ないのは戦争になれば滅亡必至の金正恩ではなくて、トランプです」

●日本の危機

 トランプが暴走してアメリカが北朝鮮を攻撃すれば、日本にミサイルが飛んでくることになるのか。

「ミサイルがどこに飛んでくるかといえば、まず狙うのは米軍基地、北からいえば三沢、横須賀、厚木、横田、岩国、佐世保、嘉手納。Jアラートは役に立たないので、米軍基地の近くに住まないということくらいしか、自衛手段はない。ミサイルの誤差は左右より前後方向が大きい。関東地方なら西北西から飛来するから、その横方向に5kmくらい離れていれば、まずは大丈夫でしょう。ただ、北朝鮮に滅亡が迫って自暴自棄になれば、東京に撃ち込んでくる可能性もある。そうなると数十万人の死者が出るでしょう。爆発した時、おおむね熱効果が3kmと爆風効果が2km、放射線効果が1.8km、それから放射線を帯びた土砂が巻き上がって風下に50〜100km広がることがある。だから爆心地方向を除いた風上に向かって逃げなければなりません」

 北朝鮮のミサイルの脅威の中で、家庭用シェルターが売れているが、役に立つのだろうか。

「入る時間があれば、シェルターに入れば助かります。まず熱効果については、地下に隠れていれば火傷することはない。爆風もしのげる。濡れた土は、中性子やガンマ線などの放射線も減衰させます。広島でも、爆心地近くで原爆投下の時に地下の書庫に資料を取りに行っていた人が、ビルは倒壊したけど、本人は隙間から這い出してきてピンピンしていたという例があります。

 呉の日本海軍の技術将校が原爆投下の後、救援に行ったら、焼け野原のなかにまったくピリッとした格好をした女学生の一団がいた。瓦礫の山のなかに、きれいな格好をしてリックサックを背負った、遠足に来ていた女学生たちが、場違いな感じで立っていたのです。原爆を積んだアメリカの爆撃機エノラ・ゲイは、広島の上空に来て空襲警報を出させておいて、一旦通り過ぎて警報が解除された頃に戻ってきて投下しました。1人でも多くの人を殺そうとしたわけです。その女学生たちは、空襲警報のサイレンが鳴って防空壕に入ったものの、ラジオを持っていなかったので、解除されたのを知らなくてそのまま入っていた。それで助かったのです」
 
 日本国民の生命が危機に晒される状況は、いつになったら解消されるのであろうか。
(構成=深笛義也/ライター)

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