フジテレビ、「老人経営」で若者獲得狙う末期状態…完全なる日枝ワンマン体制始動へ

フジテレビ、「老人経営」で若者獲得狙う末期状態…完全なる日枝ワンマン体制始動へ

フジ・メディア・ホールディングスが所有するFCGビル(「Wikipedia」より)

 在京キー局の2016年度(16年4月4日〜17年4月2日)の平均視聴率は、日本テレビがゴールデン(19〜22時)・プライム(19〜23時)・全日(6〜24時)の3冠王を達成した。年度3冠王は3期連続で、ゴールデン12.2%、プライム11.9%、全日8.4%だった(ビデオリサーチ調べ・関東地区、以下同)。

 一方、フジテレビは引き続き厳しい状況が続く。ゴールデン8.0%、プライム8.0%、全日5.7%と、いずれも5位。だが、視聴率3冠王の称号は、かつてはフジテレビのもので、1982年〜93年の12年間も独占していた。

 勝負どころのゴールデンでは、日本テレビ、NHK総合、テレビ朝日、TBSに大きく水をあけられ、背後にはテレビ東京が迫ってきている。

●中核のフジテレビ社長は60歳から73歳へ、若返りに逆行

 フジテレビの持ち株会社であるフジ・メディア・ホールディングス(HD)は、6月28日に開催する株主総会後の取締役会で、約30年にわたってグループを牽引してきた“フジのドン”こと日枝久会長が代表権のない取締役相談役に退く。

 フジ・メディアHDの会長には嘉納修治社長が昇格し、中核子会社のフジテレビジョンの会長を兼務する。フジ・メディアHDの社長にはビーエス(BS)フジ社長の宮内正喜氏が就き、フジテレビの社長を兼ねる。フジテレビ現社長の亀山千広氏はBSフジ社長に転出する。亀山氏は13年にフジテレビ社長に就いたが、視聴率競争に敗れたことで、BSフジ社長に“格下げ”されたかたちだ。

 日枝氏の退任で「日枝時代」は終焉かと思いきや、そうではなさそうな雲行きだ。フジテレビ社長に就く宮内氏は、フジテレビ絶頂期のバブルの時代に編成局長だった日枝氏の下でバラエティー部門をまとめていた直属の部下。

 05年のライブドアによるニッポン放送株式の買い占めで、宮内氏は総務・人事担当の常務として奔走。騒動終結後は、ニッポン放送の分割・吸収などを主導し、グループ内の資本関係のねじれや複雑な株式持ち合いの解消を指揮した。日枝ワンマン体制を築いた功労者だ。

 宮内氏は07年から系列の岡山放送の社長を務めていたが、日枝氏は視聴率を上げられない亀山氏に見切りをつけ、次期社長を見据えて15年にBSフジの社長に呼び戻していた。日枝氏からフジ・メディアHD会長を引き継ぐ嘉納氏も日枝氏の側近だ。つまり、日枝氏が退任するといっても、後を継ぐのはいずれも日枝氏の息がかかった人々なのだ。

 フジテレビの課題は、広告料金の指標となる視聴率を引上げること。若者を中心にテレビ離れが進み、動画配信サービスとの視聴者との奪い合いが続く。

 こうしたなか、切った張ったの視聴率競争に挑むトップが、60歳の亀山氏から73歳の宮内氏に交代する。若返りどころか、ひと回り以上も高齢化する

 日枝氏は取締役相談役に退くとはいえ、産業経済新聞社などを含めた企業を束ねる「フジサンケイグループ代表」の肩書は残る。グループ代表として、引き続き実権を持つわけだ。新経営体制は“日枝院政”が実態といっていいだろう。

 日枝氏は1988年にフジテレビの社長に就任して以来、13年間社長を務め、01年に会長に就いた。日本民間放送連盟(民放連)の会長を務めるなど、放送業界をリードしてきた。08年にフジテレビが持ち株会社に移行後は、フジ・メディアHD会長として君臨してきた。

 日枝氏は安倍晋三首相に近い放送人としても有名だ。一時期は、お台場のカジノ建設を推進する仲だった。

 4月17日付時事通信『首相動静』によると、安倍首相は東京・銀座の複合商業施設「GINZA SIX(ギンザシックス)」のオープニングセレモニーに出席して、あいさつした。その足で、「6時52分から東京・赤坂の日本料理店『古母里』で、日枝久フジテレビ会長らと食事」と報じられている。

●フジ・メディアHDの稼ぎ頭は都市開発事業

 民放キー局5社の17年3月期の連結決算を比べてみたい。

※以下、社名、売上高(前期比伸長率)、営業利益(同)、ROE

フジ・メディアHD、6539(2.1)、223(▲8.5)、4.2
日本テレビHD、4167(0.5)、525(▲1.2)、6.6
東京放送HD、3553(2.0)、198(15.7)、3.4
テレビ朝日HD、2958(5.4)、172(4.3)、5.1
テレビ東京HD、1427(4.7)、63(▲12.1)、5.8
(単位:億円、%。ROEは自己資本純利益率。▲はマイナス)

 フジ・メディアHDの業績低迷が浮き彫りになっている。本業の儲けを示す営業利益は4期連続の減益となった。売上高では業界トップを走っているものの、営業利益は日本テレビHDの4割強にとどまる。主力のテレビ事業が絶不調であることが大きい。

 12年3月期には、フジテレビの営業利益は250億円で全社の営業利益(332億円)の75%を叩き出しており、テレビが稼ぎ頭だった。その後、営業減益が続き、17年3月期の営業利益は40億円で、全社営業利益の18%でしかない。

 稼ぎ頭は都市開発事業にとって代わった。同事業の営業利益は16.2%増の109億円で、全社営業利益の49%を占める。いまやフジ・メディアHDの収益は都市開発事業が支えているという構図だ。

 フジ・メディアHDの株主総会は例年、視聴率の低迷やROEが5%を割っていることが追及され、怒号が飛び交う。今年も、“シャンシャン総会”とはいきそうにない。
(文=編集部)

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