加計学園文書、リーク元は内閣官房職員と特定か…前川氏、文科省内で職員から厚い尊敬

加計学園文書、リーク元は内閣官房職員と特定か…前川氏、文科省内で職員から厚い尊敬

前川喜平氏(写真:日刊スポーツ/アフロ)

 国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 今、永田町では「国会は6月18日に無事閉会を迎えられるのだろうか」という声が飛び交っています。安倍晋三首相と加計学園のスキャンダルに便乗して、「テロ等準備罪」(いわゆる共謀罪)を新設する組織犯罪処罰法改正案の成立を阻止しようとしている野党の戦略が成功しているようです。

 しかし、7月2日に投開票が行われる東京都議会議員選挙に集中したい自民党と公明党は、おそらく週末も利用して、なんとか18日の閉会日までにすべてを終わらせてしまうでしょう。

●大混乱の永田町、自民党が野党の追及封じを指示

 国会の文部科学委員会は、文部科学省の高級官僚の早稲田大学への天下り問題や森友学園問題に対する世間からの関心や批判が弱まり、「やっと、残りの法案の審議に入れる」と思ったところで、加計学園に絡む疑惑文書が表に出てきてしまいました。

 国内で50年ぶりとなる獣医学部の新設計画をめぐり、加計学園で進めるように内閣府から文科省に対して「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」などの働きかけを含めた文書が8枚も出てきた件です。

 しかも、文科省の事務方のトップである文部科学事務次官を務めた前川喜平さんが、その文書を「本物」と認めたことで、永田町と霞が関は大混乱。「前川砲」とまで呼ばれる事態になっています。

 そのため、この原稿を書いている6月初旬の段階でも、文科委員会が開かれる予定がありません。このタイミングで開会すると、法案の審議ではなく加計学園問題をテーマにした一般質疑になってしまう可能性が高いため、自民党の国会対策委員会が「野党に追及の機会を与えないように」と、委員会を開かないように指示しているのです。

●文科省職員が出会い系バー報道に怒り…

 そんななか、ストレスがたまりにたまった文科省の職員たちが、憂さ晴らしのために居酒屋に集まっていました。ちょうど、前川さんの「出会い系バー通い」が報道されていた時期です。

 さぞかし前川さんに対して不満があるかと思いきや、意外にも、職員たちの怒りの矛先は「官邸」でした。前川さんは、教育について自分の理想を持ち、部下からも尊敬されていたからです。

 前川さんは、文科省の天下り問題が発覚した際に、「実際には関与していない部下たちの監督責任が問われるのであれば、トップ(事務次官)である私が辞職しなければ、部下たちに申しわけが立たない」という理由で、再三慰留されたにもかかわらず、自ら身を引きました。そのときに慰留していた人こそ、菅義偉官房長官だったと聞いています。

 しかし、加計学園問題で前川さんが証言した後、菅官房長官が前川さんについて「(天下り問題で)自ら辞める意向をまったく示さず、地位に恋々としがみついていた」と記者会見で説明していたので、ものすごい違和感がありました。

 そして、出会い系バー問題です。「出会い系バーに貧困女性の調査のために通っていた」というのは、一般的な感覚ではありえない話だと思います。しかし、居酒屋にいた文科省の職員たちは、「前川さんなら、調査もあり得る。記者たちも一緒に行っていたのに、どうして名乗り出てくれないんだ!」と怒っていました。

 前川さんは大資産家の出身で経済的にも恵まれていたようで、事務次官のポストや天下りの退職金などを当てにするような方ではないようです。官邸からどんどん出てくる前川さんの「個人攻撃情報」に対して、週刊誌などは前川さんの「美談」を報じています。

 ちなみに神澤の知り合いの記者さんも、前川さんが通っていたというバーに行ったそうですが、報道にあるような売春目的全開のお店ではなかったようです。その記者さんは、「ほかの客もそんな感じじゃないし、前川さんは100%買春していないと思うよ」と言っていました。

 今回、前川さんは自分の家族を守るため、調査対象だった出会い系バーの女性たちを守るため、あえて公の場で証言したのだと思います。現在の前川さんは民間人で無職なので、「なくすものはない」と開き直っているため、安倍政権と“刺し違える”覚悟もできているようです。

 一方で、菅官房長官は官僚の人事権を握っています。官邸の内閣人事局の局長は内閣官房副長官ですが、実質的には官房長官が強い影響力を持っているのです。

 そのため、現職の官僚たちは官房長官の意向に従うしかないわけですが、もはや永田町内では、安倍総理をかばう菅官房長官の「女房役」も「度が過ぎている」ともっぱらの噂です。

●文書の流出元は内閣官房の職員だった?

 居酒屋にいた文科省職員たちによると、官邸は「文書の出どころ」を「前川さんルート」に仕立て上げたいようです。

 確かに、文書は文科省内で共有されていたと思いますが、公式な文書ではないので、文科省はその存在を認めることはしない(できない)と思います。良し悪しは別として、そもそもこの程度の“働きかけ”は珍しいものではないでしょう。そのため、この文書の存在を「公式に認めろ」という野党の戦略は、時間稼ぎにしかなりません。

 しかし、文科省は独自にいろいろなインテリジェンスを駆使して、流出元の個人を特定したそうです。それが、なんと「内閣官房の職員」ということなのですが、さすがに名前はごく一部の人の胸にしまわれているそうです。

 どんな方法で調査したのか、とても興味深いのですが、さすがに国家機密レベルなのか、具体的なことは教えてもらえませんでした。しかし、もし本当に内閣官房の職員なのであれば、「やっぱり、獣医学部新設は官邸の指示だったのかな」と疑いたくなります。

 それにしても、前川さんの個人攻撃に終始している菅官房長官や安倍首相の発言を聞いていると、「逆に、自分たちの評判を下げるのではないか」と思ってしまいます。
(文=神澤志万/国会議員秘書)

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