『貴族探偵』相葉雅紀に主役の荷は重すぎ感、際立つ…… ネタもバレバレで壮大なスベり劇

『貴族探偵』相葉雅紀に主役の荷は重すぎ感、際立つ…… ネタもバレバレで壮大なスベり劇

『貴族探偵』公式サイトより

 嵐の相葉雅紀が主演する月9ドラマ『貴族探偵』の最終回(第11話)が26日に放送され、平均視聴率は9.8%(関東地区平均、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。初回こそ11.8%と2桁スタートを切ったが、2話以降は1桁が続き、最終回も前週から1.8ポイント増えたものの2桁には届かなかった。

 最終回は、日本有数の門閥である具同家で起こった連続殺人の解決編。謎解き自体はどうでもよかったが、これまで一度も推理を当てたことのない愛香(武井咲)はこの事件でついに真相を言い当てた。貴族探偵(相葉)の使用人たちによる「貴族探偵が犯人」との誤った推理を覆し、貴族探偵を無実の罪から救った――という、これまでの構造をひっくり返すカタルシス満点の展開となった。

 だが、続く場面ではそもそも具同家に愛香を招いて探偵をさせたのは貴族探偵であったことが明らかに。愛香は貴族探偵を助けたと思っていたが、実は最初から貴族探偵の駒として働いていただけだった、とのオチが描かれた。愛香の師匠である切子(井川遥)が実は死んでおらず、政宗是正なる人物に命を狙われていたために身を隠していたことも明らかになった。

 広げた話をまあまあきれいにまとめた最終回ではあったが、多くの視聴者が予想していた範囲内だったとも言える。政宗是正が貴族探偵でないことは誰しも気付いていたし、切子が生きていることも、貴族探偵にかくまわれていることもほとんどの人が予想していた。「貴族探偵は愛香を見守っていて、探偵として成長させようとしていた」との真相も、かなり早い段階で視聴者にバレていた。ファンタジーなドラマと自称していただけに、もう少しトリッキーな仕掛けを視聴者に投げかけてくれていても良かったのではないか。

●『貴族探偵』が失敗した理由

 原作ファンからは好評だった一方で、視聴率的には伸び悩んだ今作。失敗の原因をすべて相葉に押し付けるような見方もあるかもしれないが、さすがにそれはフェアではない。全11話のなかでは、迫力あるいい演技も何度か見られた。ただ、最終回においても甘いセリフを言う時には途端にぎこちなくなっていたあたりを見ると、やはり少し荷が重かったのは事実だろう。

 最も大きな敗因は、視聴率の推移を見ても明らかな通り「初回のつまずき」だろう。主役であるはずの相葉はなかなか登場せず、いざ登場したかと思えば貴族にはとても似つかわしくない棒読みで視聴者をずっこけさせた。地道に捜査している愛香が報われず、何もしていない貴族探偵にボロクソ言われてしまう展開も理解されなかった。鼻形(生瀬勝久)がいちいち寒いギャグを入れてくるのをうっとうしく感じた人も少なくないだろう。ミステリーとしてもいまひとつおもしろくなく、コメディーとしても完全にスベッているドラマを見せられて、「いったい何をしたいのかわからない」と初回で見限る人が少なくなかった。中盤以降はコメディー色を払拭して本格ミステリー路線を狙っていったが、序盤で離れた視聴者を取り戻すことはできなかった。

 貴族探偵を正体不明の人物として描こうとするあまり、善人なのか悪人なのかすら視聴者に提示されないままドラマが進行したのも、結果的には失敗だったと言えるだろう。ドラマ全体の構造として仕方がなかった部分ではあるが、これによって視聴者は貴族探偵を応援して良いのかどうか判断が付かず、毎度貴族探偵が勝利するのを見てもスッキリしない気分にならざるを得なかった。
 原作者の麻耶雄嵩氏は、「自身は動かず使用人に捜査を任せる貴族探偵は水戸黄門をモデルにした」と明かしているが、このドラマにおける貴族探偵は水戸黄門ではなかった。水戸黄門が正義の味方であることは最初から視聴者にわかっているが、貴族探偵は最終回に至るまでその意図が明かされなかったからだ。

 もし貴族探偵を水戸黄門として描きたかったのであれば武井咲が演じた愛香は不要だったし、愛香をレギュラーの登場人物として据えたのであれば、「貴族探偵ニアリーイコール水戸黄門」の裏設定を捨て去った上で、ドラマとしての構造を作り上げるべきだったと思う。とはいえ、「一見正しい推理が示された後に、その上を行く真相が明かされる」という二段構えの謎解きを肝とするなど、意欲的な作品であったことは評価に値する。今作のスタッフがまた違う作品で新たなミステリーの形を作ってくれることを期待したい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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