面接スキップでいきなり最終選考の学生も…学生が知らない新卒採用の「裏側」、受かる学生の共通点

面接スキップでいきなり最終選考の学生も…学生が知らない新卒採用の「裏側」、受かる学生の共通点

合同説明会の様子(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 6月23日付記事『1人で大手6社内定も…就活が空前の「学生有利」、内定辞退激増で企業がおびえる時代に』では、就職活動の実態について、キャリアデザイン研究所代表取締役社長で就職コンサルタントの坂本直文氏の話をお伝えした。 

「空前の売り手市場」といわれる今、優秀な学生を確保したい企業は早くから囲い込みを行い、そのため就職活動は早期化している。一方で内定を辞退する学生も多く、採用活動が秋〜冬まで続くなど、長期化しているのも実情だ。 

 今回は、企業選びのポイントやほかの就活生との差別化を通じて、学生が内定を得るためのノウハウについて、さらに坂本氏の話をお伝えする。
 
●志望企業は4つに分類すべき 
 
――就活生は、いつから何をすべきなのでしょうか。 
 
坂本直文氏(以下、坂本) 3年生の7月には、就職情報サイト主催のインターンシップセミナーが開始されます。事実上、この時期から就活が始まるということです。夏・秋・冬にインターンが実施されますが、学生は多くの企業のインターンに参加すべきです。 

 理由は、自分はどんな仕事が向いているかを理解できるから。また、もうひとつは、インターンが実質的に採用選考の場になっているからです。8月は多くの企業がインターンを行いますが、そこには採用枠が設けられています。学生たちには、インターンが本選考の入り口になっているという実態を知ってほしいです。

 2月頃には非公式のシークレット会社説明会も開催され、水面下で選考を進めて、3月には内定を出している経団連加盟企業もあるぐらいです。そこで興味深いのは、内定者に対して、「知り合いの学生を集めてほしい」と「業務命令第一弾」を出していること。そうすることで、芋づる式にさらなる囲い込みを狙っているのです。

 話がトントン拍子に進むのは、学生にとってはいいことのように思えます。しかし、それは「交際していないのに結婚が決まってしまう」ようなもので、ミスマッチにもつながっています。そこで違和感を覚えた学生が内定を辞退することで、就活の長期化につながっています。

――学生のなかには、数多の企業からどうやって自分が行きたいと思うところを選べばいいのかわからないという人もいると思います。企業選びのポイントはなんでしょうか。

坂本 まず、志望を「第一」「第二」「第三」「第四」の企業群に分類することから始めましょう。

「第一」は、まさに就職したい企業。「第二」は第一に挙げた企業の関連企業やライバル企業。つまり志望業界です。「第三」は志望以外の業界から。「第四」は経験を積むための力試しとして。

 このように分類して、さまざまな業界や企業を知ることが、自分の志望する業界や企業を本当に理解することにつながります。それには『「会社四季報」業界地図』(東洋経済新報社)などを参考にするのがいいでしょう。業界動静や売上高だけではなく、平均勤続年数や月平均残業時間、休暇制度、離職率、女性社員の育児休業制度取得率・有子率なども載っているため、そうした「働きやすさ」にも着目すべきです。

●企業研究に欠かせない3つの情報収集法

――志望の業界や企業を見定めた後は、何をすべきでしょうか。

坂本 企業研究のための情報収集として、「IR情報」「新聞記事」「社員交流」の3つの方法を勧めています。

「IR情報」は投資家向けの情報ですが、「トップメッセージ」と「中期経営計画」さえ見ればOKです。「中期経営計画」を見れば、その企業がどういう方針でどんな方向に進もうとしているかがわかり、「トップメッセージ」はその計画をコンパクトにした内容であることが多い。この2つを見るだけでも、企業の全体像を把握することができます。

「新聞記事」については、購読して毎日隅から隅まで読めというわけではありません。ある大学の商学部教授が生徒に対して行った調査では、新聞を購読している学生は100人に1人の割合。今は親御さんも購読していない世帯が増えているので、学生にとって新聞は身近なものではなくなりつつあります。

 新聞活用法は2種類あります。ひとつは、購読契約して情報収集や分析のツールとして日々活用すること。もうひとつは、データベースとして活用することです。後者の使い方を知っていると、就活で大きな差がつきます。簡単にできることなので、ぜひおすすめします。

 では、データベースとしての新聞活用法を具体的に説明します。まず大学の図書館に行き、「日経テレコン21」や「聞蔵」といった“過去記事検索サービス”を使って志望企業・志望業界の過去記事を検索します。

 すると、企業の経営動向、記者や専門家の調査分析、社長のインタビュー、現場の社員や消費者の意見などの記事が、瞬時にリストアップされます。そこから自分が興味のある仕事に関する記事を選んで印刷し、ファイリングしましょう。1年分を調べたとしても、1業界1時間程度しかかかりません。客観的な新聞記事のため、ときには企業にマイナスの情報が書かれている点も参考になります。地方版や海外版の記事も検索可能です。なお、新聞社と契約すれば自宅のパソコンでも同様の作業ができます。

 3つ目の「社員交流」ですが、OB・OG訪問はもちろん、OBやOGがいなくても、会社説明会やセミナーの場で社員に質問したり話しかけたりすることで交流できます。その際、「御社のトップメッセージを拝見しましたが……」「○月○日の○○新聞の記事についておうかがいします」というふうに企業研究の成果を踏まえてアプローチすると、「この学生は意欲があるな」と印象は格段によくなります。

――ほかに、会社説明会ではどんな点がポイントになりますか。

坂本 人気企業の場合、早めの時間帯は多くの学生が集まります。しかし、同じ企業でも遅めの時間帯は空きが多いため、狙い目です。よりマンツーマンに近いかたちで、じっくりと質問することができます。不人気企業は早め、人気企業は遅めの時間帯に参加することを勧めます。

 もうひとつは、前に立って説明している社員以外に話を聞くこと。後ろで学生を誘導したりしている社員は人事関係者が多いのですが、あえてその人たちに話を聞くことで、情報源を独り占めできます。

 質問することは、非常に大事です。会社説明会で意欲的に質問した学生が、一次・二次面接をスキップして、いきなり役員面接にたどり着いたケースもあります。丁寧な企業研究に裏打ちされた質問をしたことで、その意欲を買われたのです。

 会社説明会の場にいる人事社員は、一次面接・二次面接で面接官を担当する人であることを学生たちに知ってほしいです。彼らは役員面接に上げる決定権を持っています。今は企業側も採用意欲が高いため、「この学生はぜひほしい」と思ったら、面接をスキップしてでも採用します。

 なお、合同説明会や会社説明会で、すでに“選考”が始まっていることがわかっている学生は、参加態度がまったく違います。事前に質問を考えてノートに書き出してありますし、当日は手すきの社員を探して質問に行くことを当たり前のようにやっています。

●就活生が陥りがちな「落ちる心理学」とは?

――企業に選ばれる学生の条件や共通点はありますか。

坂本 これは変わらず、「対人コミュニケーション能力」「誠実さ・信頼感」「行動力」「仕事への意欲興味」の4点です。

 企業側は、この4点を重視して選考を進めます。合同説明会などで学生が提出する参加カードに、企業は学生の評価を書き込んでいます。そして、好印象の学生に対しては「見学会(懇親会、質問会)を開催します」と呼び出して、実質的な面接を行っているのです。

 そこで、先ほど述べた3つの情報収集を中心に企業研究を行っていれば、たとえ抜き打ちの面接があっても、「○○新聞のインタビュー記事を読みました」と言うことができ、一気に志望企業との距離が縮まります。それは、内定に近づくということです。深く企業研究をしているか否かが、分かれ道となり得るのです。

――「こういう学生は内定が遠ざかる」という特徴はありますか。

坂本 やはり「この業界なら、どの企業でもいい」という姿勢の学生は落とされやすいといえるでしょう。業界や企業の研究が甘く、漠然と「入りたい」と言われても企業側は困惑します。

 内定が取れない学生の共通点は「集団同調性バイアス」に陥っていることです。私は、「落ちる心理学」「内定が取れない心理学」と呼んでいるのですが、みんなと同じ行動をしていると安心する一方で、「みんながやっていないからいいや」と大事なことに手をつけない……。それでは、ほかの学生と差別化することはできません。

 先ほど述べた企業研究の方法ついて、「IR研究も新聞のデータベース化も、みんなやっていないのにやる価値があるのでしょうか?」と聞いてきた学生がいます。

 まわりの学生が新聞を読んでいないからこそ、新聞記事を読むことは差別化になります。みんなと同じ合同説明会に行くのも大事ですが、みんなが行っていないセミナーなどに行けば、そこでの情報は自分しか得られない貴重なものになります。

●SNSで内定取り消しも…名刺が人事に大好評?

――ほかにも、就活生が陥りがちな“落とし穴”には、どんなものがあるのでしょうか。

坂本 若手のリクルーターと仲良くなることは大切ですが、企業側の人間ですから、話したことはすべて筒抜けだと思ったほうがいいでしょう。たとえ「ここだけの話」であっても、です。

 また、今はフェイスブックやツイッターなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の使い方も重要です。学生のSNSをチェックしているのは一部の企業ですが、志望企業にチェックされてもいいように、就活の時期になったら早急に、プロフィール写真をまじめなものにしたり不真面目な内容を削除したりすることをおすすめします。

 志望企業に対する批判的な書き込み、就職活動に対する後ろ向きな書き込みをするのは、もってのほかです。私は、企業の面接官向けの研修会で講師を務めることがありますが、参加した方の10%程度が、学生のSNSの内容を見て不採用にした経験がありました。

 一方、SNSを利用して志望企業の社員にアプローチして好印象を得る学生もいます。使い方次第では、内定に近づくためのツールとなるでしょう。

――差別化のために、ほかに就活生に勧めていることはありますか。

坂本 学生も名刺を持つことを勧めています。大学名や名前だけでなく、顔写真を載せて、裏にはメッセージを書いて渡す。これが、企業の人事担当者の間では大好評です。

 合同説明会や会社説明会で仲良くなった人事担当者と名刺交換をする際、感想や感謝の言葉を裏に書くことで熱意や意欲が伝わり、印象にも残ります。これを会うたびに3回繰り返せば、完全に顔と名前を覚えてもらえます。

 私は「内定が取れる心理学」と呼んでいるのですが、人間には頻繁に会う相手に好感を抱きやすい「単純接触効果」というものがあります。就活においても、何回も会って、繰り返し名刺やメッセージを送ることが、好印象ひいては内定を得ることにつながります。名刺を持って就活をする学生は、まだまだ少ない。だからこそ、差別化になるのです。

 大手航空会社に入社した学生は、合同説明会で誘導役の人事の社員に名刺を渡し、その後も同じ社員に繰り返し名刺を渡す機会がありました。その結果、内定の連絡もその社員から来たそうです。「名刺を渡す」のではなく、「手紙を渡す」というイメージでとらえるといいでしょう。その際、企業研究に基づいた質問やメッセージを書き込むことができれば効果は倍増です。

●志望企業の残業時間や有給休暇取得率は知るべき

――企業研究を踏まえて、学生が志望企業に確認すべき点はどんなことでしょうか。

坂本 具体的な仕事の内容、部署ごとのスケジュール、新入社員が行うべきことは確実に確認しましょう。企業研究だけでは、実際に自分がどんな仕事をするのかというイメージが湧きづらい。そこで、社員交流を通じて質問して、仲良くなったら「残業はどのくらいあるか」「有給休暇の取得率は?」なども聞いたほうがいいでしょう。

 学生のなかには、これまで中学→高校→大学とエスカレーター式に人生を歩んできた人も少なくありません。その延長で、就活も大学受験と同じように考えている人もいます。「志望企業に入社すれば、もう安心。幸せになれる」と考えている学生もいるかもしれませんが、終身雇用は昔の話です。入社前に大事な点を知らなければミスマッチにつながり、学生側にとっても企業側にとっても無益な結果になってしまいます。

――今もがんばっている就活生にエールを。

坂本 今は就活が長期化しているため、最後まであきらめないことが大切です。たとえば、大手損害保険会社では夏採用もあります。また、秋採用で大手出版社の内定を得た学生もいます。さらに、秋頃に企業からキャリアセンターに「もう1名、貴校から採用したい」という話が来ることもあります。

「最後まであきらめない」。これを、すべての就活生にメッセージとして送ります。

――ありがとうございました。
(構成=長井雄一朗/ライター)

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