郵便局、郵便事業ジリ貧で急速に投信販売に傾斜…日本郵便、主力は金融事業に

郵便局、郵便事業ジリ貧で急速に投信販売に傾斜…日本郵便、主力は金融事業に

日本郵政ビル(「Wikipedia」より)

 日本郵政は貯金頼みの経営から転換した。日本郵便とゆうちょ銀行は6月7日、投資信託の販売拡大策を明らかにした。

 低金利の時代が続き、郵便貯金の魅力が大幅に低下している。さらに、マイナス金利の影響で、郵便貯金を集めても運用難だ。こうした苦況を打開するために、投信販売による手数料収入を増やすことにした。

 投信を販売する郵便局を投資信託取扱局、投信の相談に乗る郵便局を投資信託紹介局という。取扱局は、現在の1315局から年度内に100局積み増す。805局にとどまっている紹介局は7月10日から1万6686局へと、一気に20倍に拡大する。

 ゆうちょ銀行の2017年3月期決算によると、預金残高は179兆円で、前期より1兆6000億円増えた。しかし、資金利益(資金運用収益−資金調達費用)は1兆2000億円となり、前期より1300億円減った。資金粗利鞘は0.6%と5年間で最低の水準に落ち込んだ。マイナス金利の影響が色濃く出た。

 ゆうちょ銀行と日本郵便は、三井住友信託銀行や野村ホールディングス(HD)と共同で15年8月にJP投信を設立した。資本金は5億円で、出資比率はゆうちょ銀行が45%、日本郵便が5%、三井住友信託が30%、野村HDが20%。投信商品の取扱いを16年2月から始めた。

 ゆうちょ銀行の17年3月期の投信の販売額は5443億円。JP投信が寄与し、前期比27%増と大幅に増えた。これで自信を深め、本格的な攻勢に出る。郵便局を投信販売の窓口にすることで、日本郵便に入る手数料収入を増やし、収益改善の切り札にする方針だ。

 日本郵便の17年3月期の決算は、豪トール・ホールディングス買収にかかわるのれん等の全額に相当する3923億円を減損損失として計上した結果、最終損益は3852億円の巨額赤字に転落した。

 本業である郵便・物流事業の売上高にあたる営業収益は1兆9299億円で営業利益は120億円。営業収益は全体の51%を占めるが、営業利益は同22%にとどまる。

 日本郵便の稼ぎ頭は、金融窓口事業だ。郵便局は全国に直営郵便局2万75局、簡易郵便局3968局、合計2万4057局ある。窓口業務は、ゆうちょ銀行の代理店として銀行代理業務や金融商品の仲介業務を行っており、その手数料収入がある。かんぽ生命保険の新規契約の増加により、営業収益は前期より261億円増え1兆3864億円、営業利益は240億円増え633億円になった。金融窓口事業の営業利益は全体のそれを上回る。つまり、金融窓口事業の利益がほかの部門の赤字を補?して、日本郵便の屋台骨を支えているということだ。

 投信の販売を加えることで、さらに手数料収入を増やし、収益を引き上げるとしている。

●投資信託の回転販売の懸念

 金融庁は14年7月に発表した金融検査の年次報告書で、銀行の手数料稼ぎを目的とした回転販売を槍玉に挙げた。回転販売というのは、販売した投信を2〜3年で乗り換えさせる販売手法をいう。

 投信を、「販売手数料を稼ぐための商品」とみなしている銀行や証券会社は多い。個人投資家に長期保有してもらうより、新しい商品を次々に販売して乗り換えてもらったほうが、販売手数料が稼げるからだ。

 投信は販売額や販売手数料といった目標が設定しやすい商品である。郵便局が投信販売を強化することに対して懸念する声があるのはこのためだ。郵便局の小金持ちの顧客は高齢者が多い。金融知識に疎い高齢者を投信の回転販売に誘導する営業手法が横行しないよう願うばかりだ。
(文=編集部)

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