「普通の人」新垣結衣、『コード・ブルー』で放つ「得体の知れない魅力」

「普通の人」新垣結衣、『コード・ブルー』で放つ「得体の知れない魅力」

『コード・ブルー』公式サイトより

 山下智久、新垣結衣が主演を務める『コード・ブルー〜ドクターヘリ緊急救命〜THE THIRD SEASON』(フジテレビ系)が17日に放送され、初回30分拡大版の平均視聴率は16.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好発進となった。7年前に同じ月9枠で放送されたシーズン2も平均視聴率16.6%を記録した人気シリーズ。月9への出演が罰ゲームと揶揄されるほど低迷してしまった現在、オリジナル作品での勝負は避け、人気作品の続編でなんととか名誉挽回をしたいというところか。『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)で国民的人気女優の名をほしいままにしたガッキーの力で、起死回生なるか? 

 人材不足が深刻な問題となっている翔陽大学付属北部病院・救命救急センター。腕の良さで信頼を獲得した藍沢耕作(山下智久)は同病院の脳神経外科へと移り、向上心の強かった緋山美帆子(戸田恵梨香)も他院で産婦人科医として活躍していた。フェローと呼ばれるフライトドクター候補生たちは、技術面でも精神面でも頼りにならず、白石恵(新垣結衣)や藤川一男(浅利陽介)は頭を抱えていた。そんななか、三井環奈(りょう)に懇願されて緋山が戻ってくるが、代わりに三井が現場を離れることを知り緋山は激怒する。

 問題が山積した救命の現状とは裏腹に、次々とドクターヘリの要請が入り、運ばれてくる患者は後を絶たない。対応しきれない現場から藍沢に応援要請が入る。内臓の出血が止まらない患者を目の当たりにして動揺を隠し切れないフェローと、そのフェローを諭しながら処置を進める白石のもとへやってきた藍沢は、あっさりと出血の原因を突き止めてみせた。

 救命救急部・部長の橘啓輔(椎名桔平)や白石は藍沢に改めて、「救命に戻ってきてくれないか」と掛け合うが、脳外科医としての名声を手に入れたい藍沢には断られ、フェローたちを一人前に育てるしかないと気持ちを切り替える。ところがそこへ、七夕祭りの山車の転倒によって負傷者多数とドクターヘリ要請が入る。悲惨な現場に混乱するフェローたちは使いものにならず、白石は再び藍沢に応援を要請する。

 現場に到着した藍沢は、山車と家屋に挟まれた少年から手が離せない白石に駆け寄り、「お前が重傷患者にかかりきってどうする。現場の指揮を執れ」と少年の処置を引き受け、白石をリーダーとして送り出す。藍沢の言葉に背中を押された白石は、フェローや他の医師、消防へと的確な指示を出して、全員の命を救ったのだった。

 その夜、緋山は三井の息子が難病に侵され、命の危険が迫っていることを知る。そして、藤川は恋人であるフライトナースの冴島はるか(比嘉愛未)が妊娠していることを知る。それぞれが新たな局面にぶつかる中、藍沢が救命に戻ってくるのだった。

 すべにおいてに安定している作品で、予想通りの好発進。人気シリーズの続編なので、初回を見て脱落する視聴者も少ないと予想される。フジの目論見通りの展開になりそうだ。

『コード・ブルー』の良さは、まずキャスト陣の演技力が高いところ。下手な役者が一人でもいると、どんなにうまい役者が揃っていても、その下手な一人に意識が向いてしまうのが人の常。山下の本業が役者なのか、歌手なのか、アイドルなのか迷うところだが、メインキャストが若いながら、すべて本業「俳優」というキャスティングは、大きな成功の鍵となっているように感じる。

 そして出演ドラマが必ず当たると言われる新垣結衣の安定感はさすが。良い意味で、こんなにも我を出さずに魅力的なキャラクターを体現できる新垣のバランスの良さは、他の女優にないスキルだ。嫌われる要素がないと逆に同性からは嫌われがちだが、新垣においては同性からの好感度も非常に高い。

 ドラマのヒロインとして白石恵のキャラクターを考えると、当り障りが無さ過ぎて、緋山や冴島といった我の強いキャラクターや、フェローの中で最も臆病でドジな横峯あかり(新木優子)に食われそうなものだが、新垣が演じると白石こそがヒロインで唯一無二の存在になる。医療系ドラマはこれまで数知れず存在し、どぎついキャラクターが人気を博してきた印象が強いが、白石は完全なる「普通の人」で人気を博しているところが凄い。

 ドラマの舞台こそ救命救急センターという非日常的な場所だが、ドラマとしてストーリー展開は普通で、そこに普通の人が普通の葛藤を抱くという構成だが、新垣の魅力で画面に見入ってしまう。演じてます! という気負いもなければ、好感度を上げたいという下心も見えない。改めて不思議な魅力を持つ女優だと思った。

『コード・ブルー』も悪くはないが、フジはこの新垣の魅力をさらに引き出すようなオリジナル作品で勝負する勇気を持ってほしかった。続編は大失敗こそしないが、新境地も拓けない。及び腰で視聴率を稼いでも、本当のドラマファンは戻ってこないのではないか、そこだけが気になるポイントだった。
(文=西聡美/ライター)

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