トランプの「フェイクニュース」批判は完全に正しい…ヒラリーの暗黒情報を封殺

トランプの「フェイクニュース」批判は完全に正しい…ヒラリーの暗黒情報を封殺

トランプ米大統領(AP/アフロ)

 一昨年、ドナルド・トランプ氏が大統領選に出馬して以来、アメリカのほとんどのメディアはヒラリー・クリントン氏が勝利を収めるという前提で報道してきたことは明らかだが、その報道を真に受けて日本でもクリントン氏が勝利するという前提で報道されてきた。

 筆者は大統領選挙が行われる3カ月以上も前の昨年7月に『アメリカはなぜトランプを選んだか』(文藝春秋)を上梓した。トランプ氏が大統領になることは間違いないという確信があったからだ。この本の執筆のために、トランプ氏のそれまでの著書、演説、ツイッターを原稿締め切りぎりぎりまで精査した。

 さらに、クリントン氏の来歴も精査したところ、あまりにも暗黒の部分が多く、一部でもこれが国民に知られることが重要であると感じたのは筆者だけではないだろう。

 だが、日本のメディアはクリントン氏の暗黒の歴史を一切報道しなかった。筆者はアメリカや日本の偏向報道を横目で見ながら、自分独自の方法で情報収集に専念した。その結果、クリントン氏の暗黒情報をすべて掌握していた連邦捜査局(FBI)の内部にいる捜査官が、ほぼ全員“反ヒラリー”になっていることもつかんでいた。

 投票日の10日ほど前にジェームズ・コミーFBI長官(当時)が、クリントン氏にかなり不利になる発言をしたことは記憶に新しいが、のちに敗因のひとつとして彼女自身がそのことを挙げている。FBIからみると、クリントン氏は大統領になってはいけない人物であったのだ。コミー長官の発言は、最後の有効なボディブローであったかもしれない。

 さて、この6月末、コロラド州アスペンで開かれたアスペン・アイデアズ・フェスティバルの討論会のひとつは「トランプ時代のジャーナリズム」がテーマだった。その会場からは、次のような叫び声がコーラスのように聞こえてきた。

「メディアは嘘をついている」
「報道が偏りすぎだ」
「きちんと仕事をしていない」

 確かに、この叫び声は当たっている。特にニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙の報道には悪意を感じるほどだ。昨年、ニューヨーク・タイムズ紙が、トランプ氏から性的嫌がらせを受けたなどとする女性たちの証言を集めて大々的に記事にしたときは、開いた口がふさがらなかった。

●日本のメディアも米主要メディアの偏向報道を受け売り

 トランプ氏の最大の強みがツイッターであることは今さら言うまでもないが、メディアというフィルターを通さずに直接、国民に自分の考えを伝えるこの方法は、実はジャーナリストたちを翻弄している。

 フィナンシャル・タイムズのギリアン・テット氏によれば、このツイートいう方法は、3つのDを生じさせるという。ひとつはDisintermediation(トランプ支持者に直接メッセージを伝える)、2つ目がDistraction(悪いニュースから注意をそらす)、そして3つ目はDestabilization(不意にツイートすることで、ジャーナリストを劣勢に立たせる)。この3つのDが合わさって4つ目のD、つまりDisorientationを生じさせているという。これはジャーナリストと、報道を受ける側である消費者の、方向感覚を失わせるという意味である。

 トランプ氏が主流メディアに対して「fake news(フェイクニュース)」という言葉を繰り返すのは当然である。fakeは「偽」という意味であるが、もっと広い意味でトランプ氏は主流メディアを批判している。「あまりにも偏っている」という意味も含まれていると考えるべきだ。

 ロシアゲート問題にしても、アメリカ国民はほとんど関心がないという調査が出ているのに、首根っこをつかんだかのように主流メディアはその報道に日々明け暮れている。日本の報道も同じだ。今のトランプ政権にとって、ロシアゲート問題は最重要問題ではない。「オバマケア」(バラク・オバマ前大統領が推進させていた医療保険制度改革)の代替案である「トランプケア」が最重要課題のひとつであることは誰の目にも明らかだ。

 では、主流メディアにだまされないようにするには、どうしたらいいか。それは、英語で右派のニュースも読むことだ。無料で読めるオンラインニュースはたくさんあるが、どれも偏っている。たとえば、極右のオンラインメディアではブライトバート(Breitbart)があるが、毎月4500万人に読まれているという。日本人でこのニュースを読んでいる人がどれだけいるだろうか。特にトランプ氏の言うように、主流メディアほど反トランプ報道が多いので、それと反対の立場を取るオンラインメディアを読むことは重要だ。

 一昔前のメディアと今のメディアの違いは、報道の偏向度にある。昔はひとつのメディアでできるだけ偏らない報道が良いとされていたので、両方の見方を知ることができたが、最近はオンラインメディアの台頭により、偏向報道が前提となっていることを認識しておかなければならない。「ひとつのメディアで、バランスが取れた報道はない」と言っても過言ではないだろう。主流メディアといわれるメディアでさえ、悪意を感じるほど偏った報道である。

 FOXのようにトランプ氏寄りのメディアもあれば、反対に「フェイクニュース」呼ばわりされたケーブルニュースネットワーク(CNN)のように反トランプ派のメディアもある。また、日本で報道されているのは、この反トランプ・メディアの情報が基であることを忘れてはならない。日本のテレビ番組に出ているコメンテーターも、ほとんどが反トランプである。

 主流メディアがトランプ氏のツイッターに翻弄されているのを見るのは、ある意味痛快であるが、読者や視聴者は主流メディアの報道やそれを受け売りしているコメンテーターの発言をそのまま信用してはならないのである。
(文=大野和基/ジャーナリスト)

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