『セシルのもくろみ』、吉瀬美智子の「神々しい美」が圧巻…がっかり演技の真木よう子

『セシルのもくろみ』、吉瀬美智子の「神々しい美」が圧巻…がっかり演技の真木よう子

『セシルのもくろみ』公式サイトより

 女優の真木よう子が主演するドラマ『セシルのもくろみ』(フジテレビ系)の第3話が27日に放送され、視聴率は前回より0.3ポイント増の4.8%(関東地区平均、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。唯川恵の同名小説を原作としたこのドラマは、ファッション雑誌業界を舞台にさまざまな女性たちがぶつかりあいながら幸せを探していく物語。真木は、たまたまスカウトされて読者モデルとなり、成功の階段を駆け上がっていく主婦・宮地奈央を演じる。

 今回は、ファッション誌「ヴァニティ」のカバーモデルを務めるハマユカこと浜口由華子(吉瀬美智子)がものもらいになってしまい、撮影が延期になってしまうという騒動が発生。ハマユカが間に合わなかった場合の代替企画として読者モデルで誌面を埋めることに。その頃奈央はハマユカの自宅を訪ね、彼女が本当は夫によるDVでケガをしていたことに気づくが、表沙汰にしないようにと本人から言われてしまう。ところが後日、作家であるハマユカの夫がスランプに陥り、アルコール依存症で妻に暴力を振るっているとの記事が週刊誌に載ることがわかった。編集部でハマユカと遭遇した奈央は、本当は離婚したいのに雑誌に迷惑をかけるからと我慢しているのではないかと問いただすが、彼女は「真実はどうあれ、幸せで完璧な女性としてあこがれられる存在であることが私が選んだ道なの」とキッパリ答える――という展開だった。

 話が進むにつれて奈央のキャラクターが徐々にまともになりかけていることもあり、真木の演技もだいぶ見やすくなってきた。今回はまあまあいいかなと思って見ていたが、終盤になってやっぱりヤンキーキャラが炸裂。イメージダウンを恐れ、早いうちにハマユカを切ったほうがいいのではないかと話す編集部員やライターたちに向かって、「何なんだよお前ら。はっ? 何言ってんの?」とコンビニの前にたむろする輩のような口調ですごんで見せた。

「代わりのある人間なんてどこにいるっていうんだよ!」といいことも言っているのに、あまりにもガラが悪くて台無しである。最後にはゴミ箱か何かを蹴飛ばして編集部から出て行くという傍若無人ぶり。これはもう「熱血」とか「体育会系」とかいう言葉では片付けられないし、中学生の息子がいる親なのに社会人として欠陥があるとしか言いようがない。つくづく、「破天荒で型にはまらないキャラクター」をがさつな乱暴者としてしか表現できない演出と真木の演技にはがっかりさせられる。

 これとは対照的に、回が進むごとに存在感を増しているのがハマユカを演じる吉瀬だ。奈央が自宅に訪ねて行った時はこれまで通りの穏やかな顔で接したが、モデルの前に1人の人間としての人生を大切にしてほしいと奈央が編集部の屋上で諭した時には顔つきが一変。美しさの中に冷たさをたたえた表情で、「(モデルとしての)ハマユカなしに浜口由華子はないの。家庭もヴァニティも何も手放すつもりはない」と突き放した。奈央をまっすぐに見つめて信念を語るハマユカには、とても言い逆らえない迫力がある。

 ラストの撮影シーンでは、奈央が見学していることに気づいても表情ひとつ変えないポーカーフェイスから、スイッチが入ったようにはじけるような魅力的な笑顔をレンズに向けた。素直に「モデルさんってすごい」と思える場面は、モデル出身である吉瀬の本領発揮といったところだろう。視聴者の反応も上々で、「喜びも悲しみも全部取り込んでそこに立っている姿が怖いほど美しかった」「最後のハマユカスイッチ入る瞬間の笑顔ゾッとした。最高にかっこいい吉瀬美智子」「吉瀬さんの撮影シーン神々しくて、テレビ画面から美が溢れる」「吉瀬さん演じるモデルのプロの笑顔とオーラに圧倒される」といった感想が上がっていた。

 制作側が描きたいであろう、「型破りな主人公がファッション界の常識を次々に打ち破ってのし上がる」というストーリーがいま一つ盛り上がりに欠けるため、圧倒的な存在として描かれるハマユカを演じる吉瀬ばかりが目立ってしまっている本作。視聴者の中には、「主演が真木でなければもう少し視聴率が取れた」との辛辣な声もある。今さら主演は変えられないが、せめて真木がもう少し役になじんでくれたらと願わざるを得ない。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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