こんな『コード・ブルー』見たくない…強引すぎるバラバラ展開、ワンパターンに胸焼け

山下智久、新垣結衣ら出演『コード・ブルー』第9話視聴率は13.9% 来週が最終回

記事まとめ

  • 山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、新木優子ら出演の『コード・ブルー』第9話は13.9%
  • ドクターが次々と救命を離れるかもしれないという無理やりな展開が強引だったという
  • 来週には最終回が放送されるが『コード・ブルー3』は"とにかく残念"と記事では指摘

こんな『コード・ブルー』見たくない…強引すぎるバラバラ展開、ワンパターンに胸焼け

こんな『コード・ブルー』見たくない…強引すぎるバラバラ展開、ワンパターンに胸焼け

「いらすとや」より

 山下智久、新垣結衣が主演を務める連続テレビドラマ『コード・ブルー』(フジテレビ系)の第9話が11日に放送され、平均視聴率は13.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)にとどまった。先週は15%台に乗ったものの、再び先1.5ポイントのダウンで13%台に戻ってしまった。いよいよ来週で最終回を迎える。視聴率を戻すことはできるのか、さらなるダウンとなってしまうのか気になるところだが、全話の平均視聴率は14%程度にまとまることはほぼ確実で、昨今の月9ドラマとしては目を見張る数字であったことは間違いない。

 緋山美帆子(戸田恵梨香)が緒方博嗣(丸山智己)との関係を深め、気持ちが弾む日々を送るなか、チームリーダーの白石恵(新垣)は患者の死から立ち直れていない灰谷俊平(成田凌)や、天野奏(田鍋梨々花)のことでトロント行きを断った藍沢耕作(山下)の心中を察して心が晴れない。橘啓輔(椎名桔平)と三井環奈(りょう)も、心臓病の息子・優輔(歸山竜成)の後ろ向きな発言を心配していた。

 それでも、翔北救命救急センターはチームとしての成長を遂げ、搬送された3名の重体患者をチームプレーで全員救い、それぞれが充実も感じていた。だがそんな折、緋山に周産期医療センターに医局長として戻る話が持ち上がり、灰谷はフライトドクターを辞退、藍沢はトロント行きを改めて打診されることに。名取颯馬(有岡大貴)は、緋山への針刺し事故騒ぎが原因で父親に自分の病院へ戻るよう説得され、そして橘の息子にも心臓移植の順番がまわってくる。しかし、優輔は移植を拒否する。1時間以内に移植承諾の返事をしなければいけない状況のもと、焦る橘と三井に優輔の担当医である井上宣顕(滝藤賢一)は「あと50分ある、ちゃんと話をしろ」と言葉をかける。

 救命チームがバラバラになる予感がしていた白石は、今朝処置をした骨盤骨折の患者で車椅子ラグビーの日本代表チームのエースでもある両角孝平(成田瑛基)のチーム論を聞き、リーダーの在り方を改めて考えるのだった。

 優輔は橘に移植を拒否する理由を話す。「たくさんの命を救ってきたお父さんが大好きだったけど、僕が病気になってからお父さんは他の子どもの死を待つようになった。僕が死んだら元のお父さんになる」と。言葉を失った橘は、息子の移植に対して葛藤しはじめる。

 そして藍沢は両角が過去の転落事故で負ったという頭蓋骨の傷痕が気になっていた。新海広紀(安藤政信)から気にし過ぎだと指摘された直後に両角の容態は急変。藍沢、新海、白石が緊急手術に臨むが両角は命を落とす。エースを失ったチームは憔悴するも「破天荒であるべきエースに、チーム全体のことを考えるように押し付けた自分たちが両角を選手として殺した」と後悔の念を口にする。その言葉を、白石は救命のエースである藍沢に重ねて聞いていた。

 一方、移植を躊躇する橘は緋山に檄を飛ばされ、優輔を諭す前に移植を承諾。納得できない優輔を無理やりドクターヘリに乗せ、「お前に嫌われても、お父さんはお前に生きていて欲しい」と話す。優輔も移植手術を受け入れ、涙を流した。

 移植に向かったヘリを見送った緋山は安堵するが、丸山からは交際を断られてしまう。丸山は「緋山先生が周産期医療センターに戻ったら、身体に障害を抱えた自分はいずれ負担になる」と伝えるのだった。白石も藍沢にトロントに行くべきだと話す。そして冴島はるか(比嘉愛未)は、夫である藤川一男(浅利陽介)に命の危険がある現場に行かないでほしいという思いを強くしていた。

 そこへ、開通前の地下鉄の天井が崩落したとドクターヘリ要請が入る。開通前の記念ウォークに参加していた300人が事故に巻き込まれた現場は大混乱を極め、灰谷以外全員が駆けつける。さらに藍沢や藤川が線路内で処置に奔走する最中に再び天井が崩落し、藍沢が巻き込まれてしまうのだった。

 藍沢が瓦礫に埋まったラストに「またか……」と視聴者のため息が聞こえてきそうな第9話だった。医者側に危険が迫るパターンに胸やけが起きそうだ。そして今回は1時間という短時間で人の人生が変わるというストーリーだったのだが、この「1時間」というキーワードが白石のセリフ以外にまったく意味を持っていなかった。1秒1秒が迫ってくるような緊迫感もなければ、白石と横峯あかり(新木優子)以外すべててのドクターが次々と救命を離れるかもしれないという無理やりな展開も強引で嘘くさい。白石がナレーションで説明してくれなければ、何日も経っているようにしか見えない中途半端な設定だった。

 来週には最終回が放送される。撮影は終了しているだろうからもう何を言っても仕方がないのだが、『コード・ブルー3』はとにかく残念だったの一言に尽きる。登場人物が医師やナースであるからこそ描けるドラマは排除され、視聴者を驚かせるビックリ箱の展開を考えることだけに注力し、各キャラクターの人格や過去の出来事を全て無視して作られたドラマだと感じた。冴島や三井先生を見たくないと思い、白石や藤川をドラマに必要ないと思う日が来るなんて放送が始まる前には思いもしなかった。

 新しく登場したフェローの3人は、描かれたウェイトが重かった割には魅力に欠け、視覚的に覚えているだけで感情的には何も残っていない。子犬のように怯える灰谷と、髪の毛をクルクルする横峯と、小生意気な名取の表情しか最終的に頭に残っていない。藍沢は感情の中心が奏にいったことで軽くなり、緋山は新しく投入された恋愛要素に巻き込まれて医者としての魅力が消えてしまった。

 つまらないドラマを作ろうと思う人なんていないはずなのに、どうしてここまでの作品になってしまったのか。勝手な憶測だが、作品の色を決めるリーダーが誰なのかがはっきりしていなかったのではないかと思う。映画であれば監督が、舞台であれば演出家が、作品の世界観をデザインし、現場で起こるさまざまな意見やトラブルを回収して最終的な決定をくだす権利を持つ。もちろん脚本家やプロデューサー、出演者と意見を交わしながらだろうが、最終決定権は監督や演出家が握っているはず。

 テレビドラマの場合は、そこが曖昧になりやすいように感じる。殊更、『コード・ブルー3』の世界観が感じられないごった煮状態を見てしまうと、いろんな意見がまとまらないまま作品に投入され、最後にどうにもならなくなった料理を「とにかく辛ければ客は満足するだろう」と刺激的な調味料を入れまくって完成させたような印象を受ける。もう2度と食べたくないという思いと裏腹に、この味のまま『コード・ブルー』を終わらせないでほしいという複雑な思いで揺れている。
(文=西聡美/ライター)

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