綾瀬はるか『奥様は、取り扱い注意』、DVを加害者への暴力で解決が波紋か

綾瀬はるか『奥様は、取り扱い注意』、DVを加害者への暴力で解決が波紋か

綾瀬はるか

 綾瀬はるか主演の今クール(10〜12月期)の連続テレビドラマ『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)の第1話が4日、放送された。

 ある国の情報機関の特殊工作員(綾瀬)は、憧れの“普通の生活”を手に入れるべく、自身が関与した中国での事件で死亡したことを装い、日本で「伊佐山菜美」という他人の戸籍を手に入れ、総合商社の受付嬢として働いていた。そして晴れてIT企業経営者・勇輝(西島秀俊)と結婚して平穏な家庭の“普通の主婦”として日々働いていたが、半年たっても料理は上達せず、平凡な生活に飽きていた。

 そんななか、近所の主婦である優里(広末涼子)、京子(本田翼)と仲良くなり、夫からDVを受けている知花(倉科カナ)をなんとか助けようと奮闘する。そして菜美ら3人は知花の前で夫・喬史に詰め寄るも、知花は喬史に言いくるめられてしまい、菜美たちに謝罪する羽目に。後日、ついに知花は喬史に離婚を切り出すが、喬史に包丁で腹部を刺されてしまう。入院した知花を菜美が見舞いに行き、喬史を刑務所に入れたいか尋ねるが、知花はそれを拒絶する。すると菜美は「私が何とかしてあげる」と言ってその場を去り、単身で喬史の家に乗り込み、喬史に暴力を加えて、ついに知花との離婚をのませるというストーリーだ。

 エンディングでは、優里や京子もそれぞれ家庭に問題を抱えており、第2話以降では、そんな2人と菜美が同じ悩みを持つ街の住人たちの問題を解決して救っていくというストーリーであることが明かされるのだが、第1話を見た感想としては、あまりに設定がブッ飛んでいて、それなりにおもしろかった。

 まず、「特殊工作員」とは思えぬ“おっとりとした顔”で派手なアクションを繰り広げ、次々と男たちをなぎ倒す綾瀬のギャップは見ていて思わず笑ってしまったが、アクションシーンは今後も同ドラマの見所になっていくのは間違いないだろう(ちなみに、綾瀬が動くたびに揺れる結構大きめの胸も、男性視聴者にとってはエロな見所かもしれないね)。

第1話でも喬史の首根っこを掴んで、その頭を“ゴーン”と思いっきり家具に叩きつけるシーンは、ゴールデンタイムを過ぎた夜10〜11時台という遅めの時間帯とはいえ、「そこまでやっちゃって大丈夫なのか……」と心配してしまうほどインパクトがあった。また、どうみても強そうには見えない華奢な体つきの綾瀬が、元ボクサーという設定の喬史をコテンパンにやっつける姿には爽快さも感じた(それにしても、綾瀬から喬史への一発目の往復ビンタがシャレにならないほど強くて、喬史の首上がエゲツないほど曲がっていたが、喬史にケガはなかったのだろうか)。

●気になる点

 しかし、DVという暴力事件を、結果として加害者(=喬史)への暴力によって解決するというストーリーそのものには、少し疑問を感じざるを得なかった。菜美が知花にプレゼントした人形が知花の家のリビングに飾られており、実はその人形の目の部分にはカメラが仕込まれていて、そこには喬史によるDVや包丁で刺す場面も録画されていることを、菜美は喬史に告げる。その人形を渡すよう要求する喬史に対して菜美は暴力を加え、「動画をインターネットに晒されて、全てを失いたくなかったら離婚しろ」と迫り、喬史は折れるのだが、何か釈然としない。

 やはり疑問を感じるのは、DVは立派な暴力犯罪だが、そのDVを、同じく暴力によって解決するというのは、DVの解決策として適切なのだろうか、許されるのだろうか、という点だ。DVや包丁で腹を刺すという重い罪を犯した喬史が、社会的にはまったく罪に問われることがないまま、日常生活に戻るというのも腑に落ちない。さらに、無事に喬史に離婚をのませて帰路についた菜美は、笑顔で「気持ち良かったー」と口にするが、こうした一連のシーンは暴力の肯定と受け止められる懸念はないのだろうか。

 ドラマとしては見応えある出来に仕上がっているだけに、今後波紋を呼んでしまわないかが、気になるところである。
(文=米倉奈津子/ライター)

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