「ノーベル平和賞」だから何をしてもいいってわけでもねえだろ――2018上半期BEST5

「ノーベル平和賞」だから何をしてもいいってわけでもねえだろ――2018上半期BEST5

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2018年上半期、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。いいね!部門の第3位は、こちら!(初公開日:2018年1月18日)。

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 今年は大河ドラマが「西郷どん」だそうで、NHKもなんでこう毎回戦国や幕末をやるのかと思うんですよね。どうせやるなら鄭成功とか調所広郷など、みんなでオランダをぶん殴りに行ったり、密貿易で財政立て直したりっていうようなプロジェクトX的なもののほうが面白いと思うんですけど。

 問題はその西郷隆盛のいた薩摩ですが、彼らの偉いところってイギリスと戦争したことなんですよね。凄い。鹿児島県がイギリスと戦争して、やべえ欧米めっちゃ強いやんけ、こりゃあかんわとなって、なぜ関西弁なのかは分かりませんが、開国へとシフトしていくわけであります。

 そればかりか、薩摩藩が同盟を組むに至った長州藩なんて、山口県の一部なのにイギリスアメリカフランスオランダとかいう欧米オールスターズ相手に戦争して惨敗して33-4だったりしました。長州もまた、巨人より弱いはずのロッテに完敗して、こんにちがあるわけです。

■ノーベル平和賞団体ICAN 安倍ちゃんに会わせろ騒動

 で、時代は下って太平洋戦争で負けに負け、戦後復興頑張ってどうにかなった我が日本も、成功のストーリーは過去のものとなり、いまや少子高齢化と国力減衰に悩む普通の老人の国になりました。戦争の悲惨な経験も過ぎ去って、世界で戦争によって核兵器の犠牲者を出してしまった唯一の国としてのんびり営業しておるわけです。

 そこへ、2017年12月にノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーン(通称:ICAN)」とかいう反核兵器団体の皆さんが騒いでおるわけですよ。よく聞いたら、その代表が日本にくるので安倍晋三総理と会いたいといってアポ取ったらしいんですが、我らが安倍ちゃん、予定がつかないからって断ったらしいんですよ。

 ああ、もちろん私も戦争反対です。核兵器なんてとんでもないよね。核ミサイルとかやめようぜって思います。そこは超同意します。

ICAN事務局長来日:安倍首相、なぜ会わぬ - 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20180116/k00/00m/040/149000c

安倍首相とICAN局長の面会断る=政府:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018011500463&g=pol

 でも、なんかこのICAN、ノーベル平和賞を取った割に、安倍ちゃんと会えなかったと言って一緒に騒いでいるのが日本共産党とか福島瑞穂さんとかそっち方面なんですよ。なんで核兵器を保有してもいない我が国の総理に会えなかったと、野党の皆さんと一緒にわいわいやっているのか理解できません。

■アメリカにまず言えよ

 2017年12月14日に、安倍ちゃんが1月12日から18日まで欧州歴訪と報じられておったわけで、そこはまあ外遊日程があるんでしょうってことで、常識的にはそこの日程に東京で面談させろと言っても「馬鹿なんじゃないの」で終わる話であります。ところが、このICANが訪欧日程が発表された後の12月下旬に、当の外遊中の日程に「ICANの代表が来日して3日間滞在するので安倍ちゃんに会わせろ」と言ってきたそうです。

https://twitter.com/nuclearban_jp/status/952665273106132992

 いや、だから安倍ちゃんいねえって言ってんだろ。初めから分かっている不在の日程を狙ってアポ取りに行くとか、ノーベル平和賞は取れても知能指数は一桁なんでしょうか。いくら安倍ちゃんが馬鹿でも、フィックスの終わっている外交日程に会談を申し込まれて会うことは無理です。確実に頭悪いと思うんですよね。それとも、ブルガリアやエストニアその他歴訪国の予定を切り上げてでもICANの代表に会えとでも言うんでしょうか。

 さらに、広島や長崎といった核兵器が落とされ被害者が出た地域に行って、核廃絶を訴え、日本が被爆国として陣頭に立つべきって言ってました。戦争の責任がどこにあるかはともかく、核兵器を落としたのはアメリカですよ。アメリカにまず言えよ。

■もしも核兵器を本当になくそうとするならば

 何しろ、核廃絶という崇高な目的があるのは誰も否定しないとして、核保有国がまったく批准していない核兵器禁止条約に核兵器もってない日本が「さんせーい」といっても意味がありません。少なくとも、このICANの連中は日本に来て安倍ちゃんに文句言う前に核開発に邁進しておられる北朝鮮の金正恩さんとか、互角のレベルで煽り合っているトランプさんに文句を言いに行くべきです。

 中国や北朝鮮、ロシアなどが核兵器を日本に向けている可能性のある中で、核兵器による抑止力をアメリカとの軍事同盟で活用しなければならない日本が、綺麗事で牧歌的な核兵器禁止条約の批准をしないのは仕方のないことで、もしも核兵器を本当になくそうとするならば核兵器持っているところに言いにいけよって思うんですよね。

 そもそも、核兵器禁止条約についていえば16年10月に軍縮を扱う国連総会第一委員会で、多国間の核武装撤廃交渉を来年から開始する決議案に反対した国は、ほかならぬアメリカや英仏露日であって、そのときのアメリカ大統領はノーベル平和賞を09年に受賞したバラク・オバマ元大統領であります。同じノーベル平和賞を受賞しているオバマも「Yes, we can」とか言ってましたが、お前らICANの核廃絶とは平和実現のやり方が違うってことなんでしょうか。

 そんで、このICANの人たちはどういう理由か、日本共産党の皆さんと写真撮ったり、いわゆる左翼界隈、反権力の面々とつるんで安倍ちゃん批判をしておるわけです。誰かこの運動は筋が悪いと説明できるまともなブレーンがいなかったんでしょうか。安倍ちゃんに会えなかったといっても、日程が合わなかったりメリットがなければ会わないでしょう。

■金正恩さんにバスケットボールの話をしながら説得してほしい

 いうに事欠いて、安倍ちゃんがICAN代表と会わなかったことで、日本が悪かったことになってます。「広島、長崎以外で同じ過ちが繰り返されていいと思っているのではないか」と煽られたらしく、つまりは日本で、世界でどかんどかん核兵器が落ちて人が死んでもいいと日本人が思っている、とでも言いたそうです。

ICAN事務局長が広島で講演 「日本は足踏み外した」と批判 | 2018/1/15 - 共同通信 https://this.kiji.is/325573671761560673

 結局、核兵器を持っていない国が「核兵器の廃絶をしよう」と核兵器禁止条約を批准しても、もうすでに核兵器を持っている国々の利益がより強固になり、核兵器の意味が相対的に強くなってしまうという当たり前のことを理解できていないのではないかと思います。北朝鮮が国民の安寧や自国経済を犠牲にしてでも核兵器開発に血道を上げるのも、その核開発の進捗が日本を含む東アジアで大きな問題と捉えられているのも、ひとえに「訳の分からん奴らが核兵器を持つとヤバイ」という認識があるからです。

 もしもICANが本当に核兵器の廃絶を願い、新たな核保有国の出現を抑えたいと思っているのであれば、一刻も早く平壌入りして金正恩さんにバスケットボールの話をしながら説得してほしいと思うんですよね。

 そういう交渉が本当にICANに可能なら、日本人みんなでこのICAN代表を祀り上げる大河ドラマをやるようNHKに働きかけると思いますよ。何なら、上野駅前に石化した代表が置かれることになるかもしれません。

 さ、どうぞ北朝鮮へ。

(山本 一郎)

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