池上彰氏が「生産性」問題を考える

池上彰氏が「生産性」問題を考える

杉田水脈氏 ©時事通信社

■Q 人間の「生産性」とは。

 自民党の杉田水脈衆院議員が「新潮45」(2018年8月号)に寄稿した「『LGBT』支援の度が過ぎる」の中で、〈彼ら彼女らは子供を作らない、つまり「生産性」がないのです〉という表現がいまだに物議をかもしています。池上さんは、人間の「生産性」とはどんなことを指すと考えますか?(20代・女性・学生)

■A 戦後の日本では、働く人たちが「生産性に寄与するかどうか」だけで判断されることもありました。

 人間について「生産性」という表現を使うこと自体が間違いです。人間は、生きているだけで素晴らしいのです。

 戦後の日本は、経済成長を至上命題にしてきました。働く人たちは、生産性に寄与するかどうかだけで判断されることもありました。「生産性が低い」と判断されると、簡単に解雇されてきた歴史があります。

 あるいは、企業側が一方的に「生産性が低そうな奴」と判断して採用試験で落とすこともありました。

 利益を重視する企業としては、やむをえない部分もあったかもしれませんが、すべての国民の幸せを実現するべく努力しなければならない国=政府は、人間を生産性で判断してはならないのです。

 命の尊さ、素晴らしさは生産性で測ることができません。血の通った人間であれば、その常識をわきまえてほしいと思います。

(池上 彰)

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