5年で3度の謝罪 ヤマト山内社長 不祥事相次ぐ理由

5年で3度の謝罪 ヤマト山内社長 不祥事相次ぐ理由

頭を下げる山内氏らヤマト経営陣 ©共同通信社

 ヤマトホールディングスの山内雅喜社長が8月31日、子会社の引っ越し代過大請求を巡る記者会見で「全てのお客様の信頼を裏切り深くお詫び申し上げます」と頭を下げた。それを見た私は、既視感(デジャブ)を見ているような錯覚に陥った。山内氏が、記者団を前に頭を下げるのは過去5年で3度目のこととなる。

 今回の発端は、子会社の元支店長が7月、以前より法人向け引っ越しで、実際より荷物量を多く算定し、料金の水増し請求が横行していると告発したこと。この支店長は2011年から内部通報したものの取り上げられなかったため、退職後、証拠を手に会見に臨んだ。それを受け、社内調査を実施すると、約5万件、計約17億円の過大請求が判明。外部専門家による調査の結果を受け、冒頭の陳謝となった。処分として山内氏を含む5人の役員が、役員報酬を自主返上するという。

 ヤマトの不祥事には、典型的なパターンがある。1つは、発覚の端緒となるのは、元社員や労基署、新聞報道などの外部からの情報発信であること。もう1つは、その処分が軽微であることだ。

 山内氏が最初に頭を下げたのは、ヤマト運輸の社長だった13年11月。10月に朝日新聞が、クール宅急便が真夏に常温で仕分けされている実態を報じたのを受けての対応だった。山内氏は「現場の声に耳を傾ける姿勢が経営陣に足りなかった」と語っていたが、処分は社長ら役員15人の減俸にとどまっている。

 次は昨年4月、労基署の是正勧告などによって窮地に立たされたヤマトがグループ全体で、200億円超という巨額のサービス残業代の支払いに追い込まれた時。山内氏は「対策の遅れが問題だった。(現場に)目が行き届かなかったことを反省している」と述べたが、この時も処分は、役員の減俸にとどまった。

 本来なら、昨年の未払い残業代の発覚で、トップの辞任があってしかるべきだった。しかし5年間で、3度陳謝しながら、山内氏は続投するのである。これだけ重大なコンプライアンス違反を繰り返しておきながら、トップが応分の責任を取らないのなら、社内にコンプラ軽視の悪習ができあがったとしても不思議はない。このままでは“4度目の正直”は望めないだろう。

(横田 増生/週刊文春 2018年9月13日号)

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