貴乃花「参院選出馬説」 新聞報道で深まる“貴が支持する政党”の謎

元貴乃花親方「参院選出馬説」を東スポなどが報道 過去に「衆院選の話題」熱弁も

記事まとめ

  • 貴乃花親方の「参院選出馬説」について東スポ、日刊ゲンダイ、夕刊フジが報じている
  • 「衆院選の話題」について熱弁をふるったという以前のエピソードを日刊スポーツが掲載
  • 「支持政党名は伏せるが、安倍自民党に対抗する野党の奮闘を熱っぽく話していた」とも

貴乃花「参院選出馬説」 新聞報道で深まる“貴が支持する政党”の謎

貴乃花「参院選出馬説」 新聞報道で深まる“貴が支持する政党”の謎

©AFLO

 貴乃花親方が相撲協会に退職届を出した件。

 朝刊スポーツ紙はそのあと動静を報道しているが、夕刊スポーツ紙&タブロイド紙は次のステージに行っている。

「貴乃花、来年夏の参院選出馬説」である。

■貴乃花をめぐる見事な「3紙共演」

 東スポ、日刊ゲンダイ、夕刊フジの3紙が見事に共演していた。

 見出しを並べてみよう。

「引退貴狙う 鵜の目鷹の目 『来夏参院選の目玉』政界進出の話も」(東スポ 9月27日発行)

「安倍自民の目玉候補 貴乃花 飛び交う参院選出馬説」(日刊ゲンダイ 9月28日発行)

「貴 来夏 参院選出馬プラン」(夕刊フジ 9月28日発行)

 この中で気になるのは東スポの「貴狙う 鵜の目鷹の目」という見出しである。「貴」と「鷹の目」をかけてきた。

 東スポ見出しと言えば90年代初期の湾岸戦争時に「フセイン インキン大作戦」(1990年11月23日)という不朽の名作がある。

 当時のフセイン・イラク大統領が米軍にインキンパニックをまき起こさせ、かゆさで戦意喪失させる作戦を考えているという記事だったが、素晴らしかったのは見出しの軽快さ。個人的には日本語ラップはここから始まったと思っている。今回の「貴狙う 鵜の目鷹の目」は東スポの伝統がさく裂した。

■各紙それぞれの「貴出馬説の根拠」は?

 では、各紙の「貴乃花参院選出馬説」の根拠はなんだろう。

 東スポは貴闘力(かつての貴乃花親方の兄弟子)の証言に注目した。

「以前、俺は『相撲協会なんて辞めてしまえ! 国会議員にでもなって、協会の上の文部科学省に行って勝負してこい!!』と言ったことがある」(貴闘力・9月25日のAbemaTV)

 これに対して貴乃花親方は「弟子がいるから……辞められないです」とちゅうちょした様子で答えたという。

 このことから《その弟子たちも親方の元を離れる。障害がなくなった今なら、政治家転身も100%ないとは言い切れない。》と東スポは書く。

 日刊ゲンダイは参院選出馬説どころか「安倍自民の目玉」と書いた。その理由。

《貴乃花の「参院選出馬説」は、25日、本人が“引退会見”を開いた直後から流れはじめた》

?「貴の出馬話は、政界と相撲界の両方から流れています。『安倍官邸が直接関わっている安倍案件だ』ともっともらしく解説され、『二階幹事長の周辺が貴のタニマチに接触した』という情報もあります。(政界関係者)」

「噂」を載せるのはタブロイド紙の醍醐味である。

■貴乃花=自民党という噂を深読みしていくと……

 しかしこういう噂が流れるのも《実際、安倍自民党は、喉から手が出るほど参院選の目玉候補が欲しいはずだ。なにしろ、自民党はいまから苦戦が予想されている。》との解説のように、自民党のリアルな現状があるからだ。貴乃花に出てほしいという願望が「説」に変わったのかもしれない。噂はなぜ発生するのか? というメカニズムを見た思い。

 夕刊フジは《永田町で「政界進出」の観測が流れている。》と冒頭に。やはりそういう噂は流れているらしい。

 記事には政治評論家の《「個性的なキャラクターは政治家と共通するが、強固な支持者と反対派に割れるタイプではないか。保守系野党で、議席拡大が急務である日本維新の会や希望の党などが擁立に意欲を見せれば、面白くなりそうだ」と期待を示した。》という寸評が。

 夕刊フジは「改革実現には、与党に所属した方が断然有利といえる」と書く。確かに日刊ゲンダイの「安倍自民の目玉候補説」を読まずとも、相撲の伝統のイメージや政財界とのつながりから、出馬するなら貴乃花=自民党というイメージを勝手に想像してしまう。

 しかしです。「おっ……」というコラムを見つけてしまったのである。ひょんなところで「貴乃花と政治」が語られていたのだ。

■衆院選の話をする貴乃花

 日刊スポーツの「とっておきメモ」というコラムだ。貴乃花が会見を開いた翌日に、記者が以前のエピソードを書いていたのだが「お宝」はそこにあった。

 記者が昨年10月20日の大阪巡業で貴乃花から「ちょっと話をしよう」と言われ、体育館の外で1時間熱弁を振るわれたという。

 その1時間の熱弁とは「2日後に控えた第48回衆院選の話題」だったというのだ。

「巨大勢力に立ち向かうって、すごいエネルギーがいるんだよね。俺はさぁ……」と貴乃花は語りだした。

《支持政党名は伏せるが、安倍自民党に対抗する野党の奮闘を熱っぽく話していた。協会内における自分の立ち位置と重ねていたのだろう。》(日刊スポーツ9月26日「とっておきメモ」)

 どうですか皆さん、ほーっと思いませんか。

《巡業と重なり期日前投票に行けないことにも、不満を抱いていた。》とも。

■貴乃花のガンコな姿からすると共産党の可能性だって

 ちなみにそれから1週間しないうちに日馬富士による貴ノ岩暴行事件が発生したというので、まだ大々的に相撲協会と対立が表面化していない頃だ。そのときでもこのアツさ。お題は「安倍自民党に対抗する野党の奮闘」。

 貴乃花は支持政党名を出して語っていたというが、果たしてどこの政党だろう。野次馬の血が騒ぐ。この時点ではすでに希望の党はゴタゴタしていたので「野党の奮闘を熱っぽく話していた」なら立憲民主党だろうか? いや、貴乃花のガンコな姿からすると共産党の可能性だってある。なんなら(と言ったら失礼だが)社民党や日本維新の会もある。

 こうしてみると、貴乃花の政界進出は今の時点では噂だとしても今後どこかの政党がアツく口説けば意外な展開になるかもしれない(自民党がうっちゃりを決めたりして……)。

 タブロイド紙のまさかの噂が時として本当になっていく過程を見るのも、新聞を媒体別に読み比べる面白さである。

(プチ鹿島)

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