“ホストのためにパパ活を頑張れる” 高校生で600万円を貢いだ少女が少年院で語った“告白”

“ホストのためにパパ活を頑張れる” 高校生で600万円を貢いだ少女が少年院で語った“告白”

中村すえこさん

「お母さんと思えない。他人感覚しかない」 覚せい剤で逮捕された17歳の少女は、なぜ児童養護施設に“いられなくなった”のか から続く

?中学を卒業してわずか半年後に暴走族・レディースの総長となり、自身も少年院に入院した中村すえこさん。中村さんは、退院した後に少年院への支援活動を始め、2019年には、女子少年院へ入った少女たちが、犯罪に手を染めざるを得なくなった背景を描いたドキュメンタリー教育映画『記憶 少年院の少女たちの未来への軌跡』を製作した。

 その映画を元に執筆した著書『 女子少年院の少女たち ―「普通」に生きることがわからなかった 』(さくら舎)より、一部を引用して紹介する。(全2回の2回め/ 前編 を読む)

◆◆◆

■歌舞伎町を歩いているときにキャッチされて

「そのホストクラブはさ、なんで行くようになったの? ? きっかけは?」

「ユーチューブでホスト見てて、かっこいいなって思ったんです。新宿で遊ぶことが多くて、歌舞伎町を歩いているときにキャッチされて。初回500円だし、好奇心で。高2のときです」

 パパ活もホストもネットか。私の時代と違って現代の子どもは生きるのに大変だな、便利のすぐ裏側に刺激も危険もあるのだから。

「ホスト楽しかった? ? ハマった?」

「はい」

「で、ホストにはいくら使ったの?」

「600万くらい」

「えっ、600万円!?」

 金銭感覚はどうなってしまっているのだろう。

「お金を払っている自分が好きっていうか、そのために頑張れる」

 あちこちでシャンパンコールが鳴り響くなか、美和(仮名)もまたシャンパンを入れる。

 まわりの客が大盤振る舞いしているのを見ると、負けず嫌いだから私も、という感じでさらにお金を使う。お気に入りのホストをナンバーワンにしてあげられるのは私だけと信じ、客と客とが使うお金を競い合う。

 一回の支払いは30万円くらい、ツケがたまり、あとで返したお金を含めて600万円になった。

 自分に何の見返りもないことも重々承知していたというが、お金を使うことがホストへの自分の愛情表現だった。そのために頑張れる。そのためにパパ活を頑張れるということだ。

■ホストにお金を落とすためのパパ活

「パパ活のパパは毎日探すの?」

「探すときもあるけど、同じ人と何回かとか、それが5〜6人。それと月に20万くれる人が5〜6人いたかな」

 パパはだいたいが50代の男性で、ときにはいやだって思うこともあったという。

 私だって、ずっときれいに生きてきたわけじゃない。しかし、

「大切にしたいと思った人ができたら、ほかの人とはいやだと思うんだけど……」

 思わず、口に出してしまった。

「いちばん大切な人はホストだったので、その人を支えるためならって思っていました」

 理解できないけれど、もうこれは自分の感覚で話を受け取ったらダメだなと思った。

■セックスをお金に換えて、すべてをホストに貢ぐ少女

 美和的には、パパ活をしていることに対し、風俗じゃないからいやになったらやめられる、自分は働かされているのではなく、進んで働いているという認識でいたようだ。

「そのとき頭おかしかったかも。1ヵ月にいくら稼げるかメモってて。その月の次の月はもっとこうしようとか。強迫的にお金稼がなきゃっていうのとかあったかも……」

 美和はホストを愛しているというより、ホストのためにこれだけ貢ぐことができる自分が好きだったのではないかと私は思った。

 セックスをお金に換えて、すべてをホストに貢ぐ。どちらにせよ、もう何も見えていなかったのかもしれない。

「べつにさびしさを埋めるためとかじゃなくて、日常がつまらなかったんですよ。いま思い返すと、それが幸せだったんだなって思うけど、私は刺激を求めちゃったから」

 これがいまの子の現状なのかもしれない。むかし私は「普通」にあこがれた。でも、もしかしたらあこがれていたのは「普通」ということではなく、現実からの「脱出」だったのかもしれない。自分がいる世界じゃない、別の世界へ。

 選択肢の多いいまの社会、ちょっとしたボタンのかけ違いがその先の人生を別の方向へと進めさせてしまうことがわかった。たとえば、この美和のように非行の道へと。

 そのボタンのかけ違いはどこからはじまっていたのだろう。

「自分は傷ついていないですし、傷つけたいと思っているわけでもないんですけど、今回のことで親がどれだけ傷ついているのかがわかりました」

 傷つけたい?

 ああそうか。美和はセックスで自分を傷つけたい子がいるということを知っているんだ。自分はそれではないっていっているのか。

■整形をくり返した心の裡

「そのホストとは切れてないの?」

「切れてる」

「またホストに夢中になっちゃうかもしれないって思う?」

「どうなんですかね。お金なしで愛してもらえる人がいいというか。……私、すごい自分に自信がないんですよ。パパ活でお金をもらっていることで、自分に価値があるって感じることができて満足していたのかも」

 この美和の気持ちは、共感できる言葉だった。私も、自分を受け入れてもらったり、認めてもらったり、誰かにあてにされることで自分の存在価値を感じたことはある。

 美和の場合、その対価がお金だったというだけだ。しかし、美和はどうして自分に価値をつけたかったのだろう。自信がない、これが関係しているのか。

「自信がないのはなんで?」

「うーん。子どものころとか容姿でからかわれて」

 美和は知的でかわいらしい顔をしているが、幼いころに容姿でからかわれたことにずっとコンプレックスを持っていたようだ。

「私、6回整形しているんですよ」

「6回!?」

■美しくなったら何かが変わると思った

 それは二重にした高校の合格祝いからはじまった。次の整形は、二重をよりよくするため。その次は涙袋に注射をした。その次は鼻を、あごを……と、少年院にくるまでつづいた。整形のお金も、もちろんパパ活で稼いだものだ。

「美しくなったら何かが変わるかと思ったんです」

?

 たしかに女性なら、きれいになりたいと誰もが思うことだと思う。ダイエットしたり、メイクを覚えたり。女性なら、というかいまの時代、誰もがといっていい。美を意識することはもっともなことであると思うし、美を意識する自分でいたいとも思う。

 美和のいう、美しくなったら何かが変わる、というのはどういったことなのだろう。

「私、ひとつのことに集中するとまわりが見えなくなっちゃうので、整形が何かを変えてくれると思ったら、あとは何も考えられなかった」

「何か、って?」

「整形した先に何かを得られると思ってたんですよ。何かはわからないけど。だから早く整形したいと思ってた」

「その何かは得られたの?」

「何かって漠然としているけど、求めるものが手に入るかもしれないって思ったけど……」

 整形したら何かが変わる、と思っていた美和。しかし、その「何か」を変えることはでき なかった。男の人がやさしくなったとか、違う扱いをされるようになったとか、目に見える変化はあった。でもそれは自分が求めていた変化ではなかった。

 何を変えたいか、自分自身もわからない。

 何を変えたいかわからないが、自分の容姿を変えることができたら、何かが変わる。

 容姿が変われば、求めているものが手に入ると思っていた。

 美和は、そのときのことを、「目の前の自分の世界を変えたくて、必死にもがいてたのかなって」といった。

■内面の気持ちの持ち方が変えてくれるんだなって思うようになった

 美和の目の前にはどんな世界があったのだろう。

「ひとつ、質問していい?」

 美和がうなずく。

「過去の自分がいるじゃん。その過去の自分は、何が変わるって思ってたんだと思う?」

 くり返しの質問になっていることはわかっていた。だが、私は過去の自分を客観的に見ることは、問いからはじまると思っている。

 もう少し、もう少し、そのときの自分と向き合うことができれば、気づきがあるかもしれない。それこそ漠然とした理由だが、彼女たちと向き合うために私にあるのは経験だけ。

「なにか、世界を変えたい、自分の見える世界を変えたいと思っていたけど、それは整形で変えられなかった。もっと内面の気持ちの持ち方であったりとかのほうが変えてくれるんだなって、いまは思うようになった」

 変えたい何か、についてはまだ自分でもわからないけど、大事な部分はいろいろ考え、見えはじめているようだ。答えよりも、こうやって振り返り、自分を見つめ直すことは大事なこと。いまはそう思える、という美和の変化に少し安心した。

(文=二階堂銀河/A4studio)

INFORMATION

ドキュメンタリー映画 「記憶2」(仮題)オフィシャルサイト

https://nakamurasueko.com/kioku2.html

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(中村 すえこ)

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