和歌山レア焼き、神奈川オトナの苦味、静岡「さわやか」は何位? 衝撃の「ローカル・ハンバーグチェーン店」ベスト15発表

和歌山レア焼き、神奈川オトナの苦味、静岡「さわやか」は何位? 衝撃の「ローカル・ハンバーグチェーン店」ベスト15発表

地方で“独自の進化”を遂げた「ローカル・ハンバーグチェーン」を店舗と料理の写真付きで紹介していく ©BUBBLE-B

長野ダクダク肉汁、群馬“爆弾”型、大阪コロッケ状態、福岡10秒提供…衝撃の「ローカル・ハンバーグチェーン店」ベスト15を決定 から続く

 地方で“独自の進化”を遂げた「ローカル飲食チェーン」。中でも全国チェーンにライバルも多い“ハンバーグ”は激戦ジャンルだ。日本全国の飲食チェーン店を巡る旅を続けるライターのBUBBLE-B氏に、旅をしたら立ち寄るべき全国に点在する「ローカル・ハンバーグチェーン店」ベスト15を挙げてもらった。

  前編 に続いて、いよいよ「ベスト8」を店舗と料理の写真付きで紹介する。(全2回の2回目/ #1 から読む)

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■8位 ボストン(大阪)

 あべのハルカスが見下ろす大阪の阿倍野で生まれた絶品ハンバーグのお店「ボストン」。戦後すぐの1952年に音楽喫茶として創業し、洋食店の時代を経て現在のハンバーグ専門店になった老舗で、現在も大阪でチェーン展開するハンバーグレストランだ。

 オーダーしたのは「デミグラスハンバーグ」。ふっくらと焼けたハンバーグと、バチバチと音を立てながら弾け飛ぶ油が気分を高揚させてくれる。ガロニ(付け合わせ)には皮付きのじゃがいもが丸ごと付いてくるのがワイルドだ。

 ハンバーグは箸で食べるスタイルで、柔らかく、サクサクと食べることができる。そして溢れ出る肉汁のジューシーさと、フルーティな味のデミグラスソースの相性も抜群で、“ごちそう”を頂いている感覚を存分に味わえる。大阪の街の、古き良き洋食屋のハンバーグといった趣だ。

■7位 つばめグリル(東京)

 つばめグリルが創業した1930年は、東京から神戸までの特急「つばめ号」が走り始めた年でもある。その名前にちなんで「つばめグリル」という店名になったのだという。現在は品川駅の高輪口にある品川駅前店を旗艦店とし、東京と神奈川でチェーン展開するハンバーグレストランだ。

 つばめグリルを一躍有名にしたのが、ハンバーグ(つばめグリルの言い方でハンブルグ)をアルミホイルに包み、ビーフシチューと共に包み焼きにした「つばめ風ハンブルグステーキ」。今では全店で1日6500食も出る人気メニューだという。運ばれてきたつばめ風ハンブルグステーキのアルミホイルにフォークを突き刺すと、中からブシュッと湯気が立ち上がる。この瞬間、テンションが上がらない者はいない。

 ハンバーグの旨味はアルミホイルで完全に閉じ込められ、そこにコクと少しの酸味のあるビーフシチューが合わさると、今まで経験したことが無いレベルの旨味の洪水がやってくる。ハンバーグは中までしっかりと火が通り、適度な噛み応えがある。

 そしてビーフシチューと共に煮込まれてホロホロになった牛肉が、ハンバーグとは対照的なアクセントとなっている。このホロホロ肉がまた絶妙な旨味を醸し出しており、これがあってこそのつばめ風ハンブルグステーキであることは間違いないだろう。

■6位 ぎゅう丸(佐賀)

 1981年に創業した「ぎゅう丸」は、主に九州北部でチェーン展開するハンバーグレストランだ。その本店は佐賀の嬉野にあり、牧歌的な風景が広がる国道沿いにポツンと出現する。

 運ばれてきたのは、その名もストレートな「ハンバーグ」。ビチビチと音を立て、箸が入れられる瞬間を待っているかのようだ。オニオンソースはハンバーグにかけるのではなく、この中にディップして食べるのがお店のオススメとのこと。

 ふっくらとしたハンバーグに箸を入れると、肉汁がブシュ…と音を立てて流れ出る。この瞬間のためにこれまで生きてきたと言っても過言ではない。ホロロと柔らかいハンバーグをオニオンソースの中にディップして口に運ぶと、ぎゅう丸のこだわりの味が、口の中でまろやかに溶けていく。

 ぎゅう丸のもう一つの名物はこれ、「パイ包みスープ」。その名の通り、コーンポタージュスープの入ったマグカップの上を、大きなパイ生地が包んでいるものだ。パイ生地はそのまま食べる? もしくはスープにディップして食べる? 食べ方は自由なのだそうだ。

■5位 マ・メゾン(愛知)

 フランス語で「私の家」という意味を持つ、マ・メゾン。1981年に名古屋で創業し、今や名古屋のみならず海外にまでチェーン展開を行う洋食店だ。また、とんかつ店やあんかけスパなどの系列店があるのもマ・メゾンの特徴だろう。そんなマ・メゾンの1号店である星ヶ丘本店は住宅地にある一軒家といった佇まいで、まさに「私の家」そのものだ。

 マ・メゾン創業以来の伝統の味、「大きな大きなハンバーグ」。たっぷりのデミグラスソースに浸かったハンバーグは、真ん中に半熟玉子がトッピングされている。

 このデミグラスソースはマ・メゾンの肝いりで、何種類もの素材をじっくり煮込んで裏ごし器で漉すというのを何度も繰り返し、1ヶ月かけて作られるものだという。それだけに、他の店では味わったことのないほど深いコクとビターな味わいが絶品だ。

 驚くほど柔らかいハンバーグとデミグラスソースの組み合わせだけで昇天できるが、ここに半熟玉子の黄身とデミグラスソースがマリアージュすることで、これまでの人生で幸せだと感じた場面が走馬灯のように頭の中をかけめぐる。これはまさに、名古屋が生み出したミラクルだ。

 マ・メゾンが面白いのは、お会計の伝票代わりに鍵の形をした小物が使われるところ。これは、クロード・ルルーシュ監督の名作「男と女」にあるシーンが元ネタになっているのだとか? なんとも洒落ている。

■4位 炭焼きレストラン さわやか(静岡)

 静岡だけのローカルチェーン店なのに、今や全国的な知名度を持つハンバーグレストラン「さわやか」。長澤まさみさんやももクロの百田夏菜子さんといった静岡出身の有名人達が、こぞってさわやかのハンバーグ愛を語ったことでブレイクしたのも記憶に新しい。それでも静岡県から一歩も出ず、通販もせず、静岡県内の34店舗だけでハンバーグを焼き続けるという一糸乱れぬハードボイルドな姿は、キング・オブ・ローカルチェーン店の名にふさわしいのではないだろうか。

 看板メニューの「げんこつハンバーグ」は、その名の通りげんこつの拳のような大きさのハンバーグだ。運ばれてくると、真っ二つにカットされる。

 ハンバーグの中身はまだまだ赤いので、熱々のプレートに押さえつけられる。ムンムンと香ばしい煙が立ちこめたら、げんこつハンバーグへの期待がクライマックスに高まる。

 オニオンソースをかけてもらうと、ジューッと香ばしい音を立ててフィニッシュ。

 ナイフを入れ、ミディアムレアな焼き加減らしく少し赤いままの肉を口に運ぶ。しっかりとした歯応えと肉肉しいワイルドな味わいは、アンガス牛100%のキャラクターだろうか。そして何といっても、「げんこつ」の名に恥じないボリューム感。多くのファンを生み出すのも納得だ。?

■3位 ハングリータイガー(神奈川)

 神奈川が誇るステーキ&ハンバーグレストラン「ハングリータイガー」。横浜で創業したのは1969年、“ファミレス”がまだ日本に定着していないような時代。そして今でこそ牛肉100%のハンバーグを提供する店は全国にあるが、このスタイルもハングリータイガーが創始店だ。最盛期には都内も含め最大33店舗にまで店舗数を増やしたハングリータイガーだが、O-157問題とBSE騒動で3店舗まで激減するという激動を経験。しかしその後は着実に信頼と人気を取り戻し、現在では神奈川を中心に11店舗で運営されている。

 広いフロアの中心にそびえ立つトーテムポールがエキゾチックな保土ケ谷本店。写真左手にあるグリルでは、チャコールマンと呼ばれる焼き専門のシェフにより次々とステーキとハンバーグが焼かれている。チャコールマンは店の司令塔のような役目だという。

 大きなプレートで運ばれてきたのは、伝統の「オリジナルハンバーグステーキ」。目の前で真っ二つにカットされ、それぞれが鉄板に押しつけられるという“儀式”も、ハングリータイガーから始まった。

 ハンバーグにかけられたソースが独特だ。グレイビーソースといって肉汁を元に作られたものだが、その製法は当然ながら社外秘だ。甘さが少なく苦味とコクのある奥深い味で、他のハンバーグ店とは大きく異なるテイストは、まさに「オトナの味」だ。

「オリジナルハンバーグステーキ」はレアハンバーグではなく、中までしっかりと焼かれている。オーストラリア産牛肉100%の粗挽きということもあり、噛み応えはそこそこハード。しっかりと肉を噛むと、旨味が口の中で無限に広がる。オリジナルのソースと共にゆっくりと味わっていると、日本における牛肉100%ハンバーグの歴史そのものを食べているような、極上の時間が流れる。

■2位 ヒッコリー(愛知)

 名古屋に、黒毛和牛を使ったレアハンバーグを出す店がある。それが「ヒッコリー」だ。1984年に創業して以来、一貫して国産の黒毛和牛にこだわったハンバーグを提供するお店である。チェーン店とはいえ少数精鋭で、現在は名古屋市と周辺にて合計4店舗で運営されている。

 ヒッコリー創業以来の定番ハンバーグが、この「ジャーマンハンバーグ」。丸いプレートに載せられた丸い形のハンバーグと黒い焼石が印象的な一皿だ。ガルニにはじゃがいもやインゲン、コーンなどが狭いプレートの上にぎっしりと盛られており、賑やかだ。

 外から見てこれほど赤いハンバーグも珍しい。かけられているソースはオニオンたっぷりな醤油ベースのもの。ちなみに同店の「あらびきハンバーグ」だとウェルダンで提供される。

 中身もかなりのレアで、限りなくユッケに近い。これを焼石に押さえつけ、自分でフィニッシュさせるのがヒッコリー流。焼石の温度は時間と共にどんどん下がるので、手際よく焼いて食べるのがコツだ。

 黒毛和牛ならではのまろやかな旨さと、レアハンバーグのとろけるような柔らかさが同居し、この世の物とは思えない旨さで味覚神経がスパークする。これほどレアで旨味のある肉の提供は、新鮮さの保持に細心の注意を払わないと実現できないはず。これはハンバーグの究極の姿ではないだろうか。

■1位 寛屋(和歌山)

 ハンバーグ店は、チェーン店よりも圧倒的に個人店が多い世界で、チェーン店を探す方が難しい。さらに今回の特集はローカルなチェーン店縛りということで、私が実際に訪問して食べたお店の中から選択させていただいた。

 そんな中から1位として選んだのは、和歌山のハンバーグレストラン「寛屋」。1989年に宮崎のハンバーグレストラン「平家の郷」のフランチャイジーとして創業した後、1999年に独立して新たに「寛屋」としてオープン。現在は和歌山と大阪で3店舗で運営されている少数精鋭のチェーン店だ。

 寛屋の看板ハンバーグが、この「俵ハンバーグ」。黒毛和牛100%でつなぎ無しのハンバーグだ。オーダーするとコロンとした俵のような形のまま運ばれ、“儀式”が執り行われる。

 真っ二つにカットされた俵ハンバーグのそれぞれをプレートに押しつけることで、中まで一気に熱を通す。

 寛屋オリジナルの特製タレがかけられると、音を立てながら煙が立ち上がる。手に持った紙ナプキンに容赦なく飛び散る油。美味しいハンバーグを食べるための大事な儀式だ。そして、ナイスなルックスのハンバーグが姿を現す。

 箸で食べるのが寛屋のスタイル。一口食べるだけで、その柔らかさに驚く。そして、黒毛和牛らしい肉の味と脂肪の甘みが、口の中で溶け合う。やや甘口の特製タレは、肉の味をいっそう引き立ててくれる。

 一口噛むだけで、ヒトが味を感じる舌の受容体から、味を処理する脳の大脳皮質あてに、もの凄い情報量が高速で大量に送信される。それはギガか、もしくはテラか。まさに美味さの5G通信。圧倒的な旨味に対して、脳の処理速度が追いつかない。アクセントが欲しくなったら、小皿のポン酢や柚子胡椒を少しだけつけると、また新たな刺激が脳に伝わる。

 時を忘れて食べることに没頭していると、気付いたら完食してしまっていた。寛屋の俵ハンバーグは、そんなハンバーグだ。

〈「 前編 」を読む〉

※記事内で紹介したベスト15の写真(36枚)は、 こちら よりまとめてご覧いただけます。

(BUBBLE-B/Webオリジナル(特集班))

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