お金を使い渋る政府…「日本はインフレにならない」「次の世代に借金を残すな」言葉の裏に隠れた“本音”とは

お金を使い渋る政府…「日本はインフレにならない」「次の世代に借金を残すな」言葉の裏に隠れた“本音”とは

©井上純一

増税のタイミングは「なんとなく」「雰囲気」で決まる? 政治家も流されがちな“財政のカラクリ”の秘密 から続く

 2020年から猛威を奮い続けている新型コロナウイルス。未曽有のパンデミックは、健康被害はもちろん、経済にも甚大な影響を及ぼした。これまで、小さくとも経済を回し、豊かさを生み出し、税収もあった企業・店舗の倒産がいまだ後を絶たない。

 企業・店舗の倒産は社会的な損失であるにもかかわらず、なぜ政府は積極的な対応に乗り出そうとしないのだろうか。ここでは『 中国嫁日記 』シリーズなどの著書で知られる漫画家の井上純一氏による経済マンガのシリーズ最新刊『 がんばってるのになぜ僕らは豊かになれないのか 』(KADOKAWA)の一部を抜粋。同氏と妻の月さんとの軽妙なやり取りから、お金を出し渋る政府の考えについて考える。(全2回の2回目/ 前編 を読む)

※漫画を井上純一氏、文章をアル・シャード氏が執筆しています

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■本の売り上げはいつ戻るのか?

■「良いインフレ」と「悪いインフレ」

【アル・シャードのライナーノーツ】

 今回は月さんの疑問による本屋さんの話から、供給能力の話へと展開をしています。

 供給能力の前にスウェーデンとブラジルの新型コロナウイルス対策について説明しておきましょう。この両国は、スウェーデンは専門家により計画的に、ブラジルは大統領の強権によりそうなったという違いがありますが、強力な感染症対策をとっていない点で共通しています。スウェーデンの場合、経済とは関係なく国民に早く免疫を獲得させることがより被害を抑えるという判断からとのことですが、結果として周辺国より多くの感染者を出し、経済的なダメージも受けているとのことです。

 そして、2020年12月にはスウェーデン国王が「死者を多数出す、ひどい状況だ。私たちは失敗した」と批判するにいたりました。

 次に、供給能力の話に移りましょう。供給とは「求めに応じて物を与えること」で、特に「市場に商品をだす」という意味です。「必要な物を求めること」を意味する需要と対になる言葉です。供給能力は供給をするための力で、商品を生産したり市場に流通させたりする力のことです。

 物価が上昇することをインフレーション、略してインフレと呼びます。インフレが起きるのには、ふたつの場合があります。供給が減った場合と需要が増えた場合です。たとえば、新型コロナウイルスの流行とともにマスクが値上がりしたのは、供給に対して需要が急激に増えたからです。

 今回、マンガの中で「良いインフレ」と「悪いインフレ」という表現を使っています。これは「安定した需要の増加によるインフレ」と「供給力の低下による制御できないインフレ」といった方がわかりやすいかもしれません。たとえば、1970年代にあったオイルショックでは、急激に原油の供給が逼迫して物価の高騰が起きています。こういうインフレのことを「悪い」と表現しているのです。

 現状、日本はインフレ率が高く上昇することよりは、物価が下降するデフレが起こりかねません。つまり需要の低下が起きるわけですね。そして、この需要の低下を放置すると、生産や流通が縮小します。これは供給能力の低下につながります。

 前編でも書きましたが、一度下がった供給能力を元に戻すのは大変です。もし、本当に将来急激な物価上昇が起こることを恐れるなら、財政支出を惜しんでいる場合ではありません。

 政府のお金を使いたがらない人は色々な理屈をつけて出し惜しみをします。それに騙されないためには、私たちひとりひとりが正しく学ぶ必要があるでしょう。

【前編を読む】増税のタイミングは「なんとなく」「雰囲気」で決まる? 政治家も流されがちな“財政のカラクリ”の秘密

(井上 純一,アル・シャード)

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