NHK現役幹部8人を子会社へ…前田会長の“銀行流人事”はうまくいくか?

NHK現役幹部8人を子会社へ…前田会長の“銀行流人事”はうまくいくか?

今年を「改革実行の年」とする前田会長だが…… ©共同通信社

「年功序列でいびつ。役員の構成を含めて、構造改革が必要ということです」

 5月13日、記者会見に臨んだNHKの前田晃伸会長(76)。主に50代の現役幹部8人を子会社に出向させる異例の人事について問われると、そう胸を張った。

「11社ある子会社の役員はこれまで、理事や局長らが退職後に就任するのが大半でした。昨年4月時点で80人を超える子会社の常勤役員のうち、現役職員の出向者は1人もいなかった。ところが今回、前田氏が主導する形で、根本拓也報道局長をNHKグローバルメディアサービスへ、松本浩司編成局長をNHKエンタープライズへ出向させるなどの人事を次々と決めたのです」(NHK関係者)

 経済部出身の根本氏が報道局長に就任したのは、昨年4月。前任者で、官邸との距離の近さゆえに“Kアラート”と呼ばれた小池英夫氏(現理事)の在任期間が3年間だったことを考えれば、僅か1年での報道局長からの異動は珍しい。

「逆に任期半ばでの退任が決まった子会社社長の中には『従わない』と不満を漏らす者もいます」(同前)

 まるでメガバンクばりの出向人事だが、前田氏自身、みずほフィナンシャルグループ社長・会長などを歴任した人物。みずほ時代は意に沿わない幹部の更迭も辞さないなど、行内では“強権体質”で有名だった。

「以前は『別に役員が多いわけじゃないだろ』と子会社改革に慎重だった前田氏ですが、最近では『子会社が天下りポストになっている。もっと効率的に利益を出し、NHK本体の経営にも貢献すべきだ』などと口にするようになりました。その結果、『受信料の値下げに繋げていきたい』と。非常に銀行マンらしい発想です」(別のNHK関係者)

■局内で物議を醸す人材選抜プログラムの内容

 さらに、前田氏が取り仕切る“銀行流人事”はこれだけではない。

「局内で物議を醸しているのが、会長肝煎りで始まった『次期トップマネジメント人財選抜プログラム』です。いかにも銀行っぽいワーディングですが、年功序列を打ち破るために、初めて自薦や局の推薦で局長候補を集めるというもの。3日間の研修プログラムや会長自身による面接などを経て、今年3月、女性2人を含む十数名の合格者を発表しました。彼らの平均年齢は44歳ですから、局長の平均年齢(55歳)より10歳は若い。ただ、目立った実績のない局員も選ばれており、『基準が不透明だ』『放送の素人が決めた人事だ』などと不満の声も上がっています」(同前)

 今年1月には自らNHKの番組に出演し、聞き手の桑子真帆アナに「若手を抜擢し、今まで以上に魅力ある番組を作る」と宣言していた前田氏。“銀行流人事”の成否は、今後の番組内容や報道姿勢にかかっている。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年5月27日号)

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