「前職はウェディング。給料は手取り13、14万まで落ちて」…コロナ禍で働く風俗嬢の「本音」

「前職はウェディング。給料は手取り13、14万まで落ちて」…コロナ禍で働く風俗嬢の「本音」

写真はイメージ ©?iStock.com

 長引くコロナ禍はあらゆる経済活動に影響を与えている。中でも深刻なのはもともと収入が低い若い世代だが、追い込まれた若い女性の中にはパパ活や風俗の仕事に流れるケースも少なくないという。濃厚接触が必須の風俗は感染リスクが高いことは分かり切っている。それでも働き続けざるを得ない現役風俗嬢の話を聞いてみた。

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■正社員から派遣、そして風俗へ

 今年2月から風俗の世界で働き始めたという斎藤優香さん(仮名)。年齢は25歳で、服装の雰囲気や話し方も、ごく平凡だ。この仕事を始める以前は正社員としてホテル業界やウェディング業界などで5年ほど働いていたが、昨年末に退職。1カ月ほど派遣の仕事をしたものの生活が立ち行かず、風俗の世界に飛び込んだという。

「コロナ禍が始まった頃はまだウェディング業界の会社で働いてました。仕事はそれなりに充実していたんですけど、1回目の緊急事態宣言の頃から目に見えてお客さんが減ってしまって。仕方ないとは思いますけど、予約の延期やキャンセルが続いて会社の売り上げもどんどん落ちていった。コロナ禍が始まる前の給料はだいたい月20万円くらいは貰っていたんですけど、少しずつ減給されて、夏のボーナスもカットになり、辞める頃には手取りが13〜14万円くらいになっていました」

 生活が苦しくなり、かといって我慢して働き続けても事態が好転する気配は無かった。このままでは厳しいと感じ、転職に踏み切った。

「会社の上司から『影響はこの先もまだまだ続くよ』と言われたのが退社を決める決定打でした。挙式を延期していたお客さんを担当していたので、最後まで見届けたタイミングで会社を辞めました。

 貯金もなかったし、すぐに働く必要があったので、とりあえず派遣の仕事を始めたんですが、そこも厳しかったですね。登録制の派遣会社でしたが、申し込んでもなかなか仕事が回ってこないんです。私と同じように収入が厳しくなって派遣に登録する若い人が増えていたみたい。

 もちろん仕事が全く無かったわけではないけど、仕事が取れる週と取れない週の差が激しくて。コンスタントに働ける仕事がないと、やっぱり不安じゃないですか。それで仕方なく、ちょっと風俗をやってみようかな、と」

■月収は平均して30万円弱

 学生だった二十歳の頃にガールズバーで水商売のバイトをしたことはあったが、風俗業界で働いた経験はなし。そんな彼女が選んだ職種は意外にもピンサロだった。

「お店は有名な風俗求人サイトを見て決めました。何をやるかぐらいはもちろん知ってましたよ。ソープとかデリとかも考えたけど、いきなり本番やハードなサービスをやるのはちょっと怖かったし、手軽にじゃないですけど、そこまでハードではないピンサロから始めることにしました」

 店は日払い制で、すぐに働き始めたことで何とか生活は持ち直すことができた。ただ、素人が想像するほど楽に大金が稼げる世界ではなかった。

「お店の給料は完全折半制で、お客さんが払ったお金の半分が私の取り分になります。あ、そこから雑費として15%をお店に持っていかれるので、手取りはもうちょっと少ないですね。働き始めてから今までで、一番たくさん稼げたのがだいたい1日で3万円ぐらい。でもそんな日はめったにないし、日によって波があるのもキツい。お客さんが少ないと、一日12時間店にいても日給1万円いかない日が普通にありますよ」

 彼女の働くピンサロは、他の風俗に比べて一般的に客単価が安く、数をこなさなければ収入は増えない。それでも今のところ月収は平均して30万円弱になっているという。

「さすがに前に働いていた会社よりは全然いいです。ただ、コロナがどうなるか分からないし、お客さんもたくさん来るわけじゃないですからね……」

■コロナ禍で営業する風俗店の実情

 彼女が働き始めたのは2回目の緊急事態宣言の真っ最中のこと。それ以前の状況に詳しいわけではないが、店の人間や同僚に聞く限りでは、やはりコロナの影響は少なくないようだ。

「お客さんはかなり減っているみたいで、近所にある別の風俗店も幾つか店をたたんだそうです。街を歩いていても空き店舗になったままのハコがチラホラありますからね。

 こういうお店ってだいたいお酒を飲んだ流れで来店するお客さんが多いんですが、ここ1か月くらいはお酒が飲める店も閉まっていますからね。皆さんよく『どこもやってないから、他に行くところが無くて』って言いますし、わざわざ離れた場所から探して来る人とかもいますけど」

 彼女の店でも客足は減ったが、店で働きたいと求人募集に応募してくる女の子の数は変わらず多いという。風俗業界の人の出入りは激しいといわれるが、コロナ禍になって以降、新たに働き始める女性が増えていることは実感しているという。

「店には私と同じような事情で風俗を始めた子もいるし、ソープで働いていた子が切り替えて入店してきました。あっちもお客さんが減っているのは変わらないけど、同じ濃厚接触でも向こうのサービスの方がより濃厚だし、まだこっちの方がマシという感じみたい。

 他には風俗ではなく、キャバ嬢などの水商売からも何人かいましたけど、そういう子たちは1回体験入店しただけですぐ辞めちゃいますね。本人に聞いたわけじゃないけど、やっぱりサービスの種類が違うし、プライドがあるんじゃないかな」

■プレイの前にはおしぼりにアルコールを吹き付けて

 店の営業じたいはコロナ前と今とで大きく変わったところはない。料金やサービス、営業時間も従来通り昼の12時オープンで夜は0時まで。基本的に飲み物などは出しておらず、別料金の缶チューハイや缶ビールが置いてある。ただし緊急事態宣言中は国の要請に従いアルコールの提供はしていない。サービスに関しても、従来と大きく変えているところはないという。

「基本的にサービスは同じですが、今はそれぞれのシートにアルコールが置いてあるので、私はプレイの前にはおしぼりにアルコールを吹き付けて(手と性器を)拭いてあげることだけはやってます。アルコールで拭いたら痛いんじゃないかと思うけど、クレームを言われたことはないかな。

 風俗の常連さんみたいなお客さんから、『ここのお店の(アルコール消毒)は痛くないね』って言われて、それってアルコール成分が低いんじゃないかって思ったけど、もうその辺はあんまり考えないようにしてます」

 店も一応はコロナ対策を行っているが、国や都から厳しく要請・監視されている飲食店などに比べればずさんな部分は否めない。

「コロナ対策ですか? 私は毎日体温を測ってマスクをして、あとはアルコールを持ち歩いてるくらい。普通ですね。お店としてもそれなりで、お客さんが入れ替わるときにボーイさんが席の消毒をしていますけど、そのくらいかな。席の距離を離したり、飲食店みたいにアクリル板の設置もしていません。

 受付には非接触タイプの体温計が置いてあるけど、ちゃんと測ってるのかな? 私たちは店の中で待機しているから受付の様子は見えないんですが、たぶんやってない気がします」

 働く立場としては、ある程度のリスクは見て見ぬふりをして受け入れるしかないのだろう。苦労がしのばれるが、その一方、あえてこの状況下で風俗に遊びに来る客側の感覚はどうなのだろう。

■頑なに「俺はマスク外さないんで」というお客さんも

「コロナだからと言って、特に変わったお客さんが増えたってことはないです。他のお客さんが少ないせいか、気に入った女の子をずっと自分の席にいさせようとするおじいちゃんがいるくらい。まあ、リスクがあることは分かっているはずだし、そこはお互い様ってことで。

 意外に多いのは、出張で東京まで来たけど他に行くところがなくて来店したってお客さん。地方だけじゃなく大阪とか京都とかの人も結構います。それと4月に多かったのは高校を卒業したばかりの大学1年生の風俗デビュー組。『ずっと行ってみたかったんです』って初々しかった(笑)」

 コロナ禍ならではの、「マスク」の扱いに独特のこだわりを見せる客もいるという。

「席についても『俺はマスク外さないんで』と頑なに言い張る人は何人かいます。もちろん構わないんですが、キスもできないし話も弾まないからサービスが大変です。そういえば一人だけ、『コロナが怖いから僕は脱がないよ』って宣言して、マスクどころか自分の服も一切脱がず、本当に30分間、ずっと私を触りまくっただけで帰っていったお客さんもいました」

 いずれにしても、どうあがいたところで客も女性側も濃厚接触のリスクは避けられない仕事である。

「メチャクチャに咳をしてたり、明らかに体調が悪そうならさすがにボーイさんが対応してくれるはずですけど、ほとんどないかな。身体に触れて、「体温高っ!」って思うこともあるけど、ほとんどのお客さんはどこかでお酒を飲んできてるので、もうしょうがないですよね」

■「リスクはしょうがない、今は続けるしかない」

 幸いというか、今のところ店の関係者や、プライベートの知り合いにも感染者は出ていないという。

「身の回りには一人もいなくて。お客さんに聞いてもやっぱりそんな感じです。だから現実味がないというか、テレビの中だけの出来事という感覚です。もちろん怖いは怖いですよ。ソフトサービスと言っても接触は結構あるし、万が一感染したら明日から収入がゼロになっちゃいますからね。それでも普通の仕事よりは稼げるので今は続けるしかない。リスクはしょうがないかなって思ってます」

 生活は持ち直したが、よく聞くといくばくかの借金も抱えているそうで、「まだしばらくこの仕事は辞められそうにない」という。

「実は学生時代に借りた奨学金の返済も残ってるんです。去年のお給料が少なかったこともあって、その補填もしなきゃならない。とりあえずはもうちょっと風俗で頑張って、50万円くらい貯金ができたら次に踏み出そうかなと思っています。

 でも、たぶん昔のウェディング業界にはもう戻らないかな。前の仕事でパソコン関連のスキルは身に着けることができたので、次は事務系の仕事を探したい。そんなにたくさん貰えなくてもいいです。もう超安定志向になってます」

 一連のコロナ禍では、経済的な苦境に陥った事業者に対して国などが給付金を出しているが、性風俗業界はその支援から外されている。優香さんの店も、優香さん個人としても頼れるのは自分だけだ。

「私が貰ったのは1年前に国民全員に配られた特別定額給付金の10万円だけです。前にいた会社では、会社に何かの保障手当みたいなお金が出ていたみたいですけど、それが私たち社員の給料までは下りてくることはなかったです」

 ちなみに彼女は昨年11月から彼氏の家で同棲を始めている。「ちょうど会社を辞めるタイミングだったのは偶然」と笑うが、すぐに結婚と考えているわけではないようだ。

「光熱費は彼が払ってくれるので多少は楽になってます。ただ、今の仕事のことは秘密にしています。1月に派遣の仕事を始めたことは話していたので、今も変わってないと思ってるみたい。先のことは分かりませんが、とりあえず国がもう1回給付金を出してくれたら嬉しいな」

(常田 裕/清談社)

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