《秘蔵写真》新宿、上野、浅草…1984年→2021年で激変した“光景” 同位置・同角度の写真で“東京”を見比べる

《秘蔵写真》新宿、上野、浅草…1984年→2021年で激変した“光景” 同位置・同角度の写真で“東京”を見比べる

新宿駅東南口(1984年) ©善本喜一郎

 緊急事態宣言の発令によって自宅で過ごす時間が増えたという写真家の善本喜一郎氏。空いた時間でフィルムの整理を始めたところ、昭和末期の活気ある東京の街並みが写された数々のネガが発見され……。

『 東京タイムスリップ 1984⇔2021 』(河出書房新社)は、かつて記録された風景、そして、現在の同位置・同角度から撮影した写真を対照的に並べた写真集。東京の変化が一目でわかる紙面は新鮮そのもので、発売後すぐに重版がかかるなど大きな話題を呼んでいる。ここでは、同書より10箇所20枚の写真を特別にセレクトし、一挙公開する。

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■新宿駅東南口

1984年

 新宿駅東南口は駅前の一等地にもかかわらず、地元にとっては「昭和天皇即位記念碑」の建つ「御大典広場」であり、独特の土地形状から再開発がなかなか進まない場所でした。

2020年

 1994年に整備され現在の新宿駅東南口広場が完成しました。1928(昭和3)年、昭和天皇即位を記念した石碑「御大典記念碑」は、西新宿の「十二社熊野神社」へ移設されています。

■新宿駅東南口飲食店街

1984年

「御大典広場」を取り囲む飲食店の夜はこんな雰囲気、今なら足を運びたい香ばしさがありますが、撮影当時は戦後闇市の名残があり、怖くてなかなか近付けず、遠目に見ていました。

2020年

 1928(昭和3)年「昭和天皇即位記念碑」を設置する際に、甲州街道陸橋の高さに施工するため、盛土を行いました。その時の小山を1994年に切り崩し、現在の東南口広場ができました。

■新宿「クラブ不夜城」

1984年

 不夜の街「歌舞伎町」を象徴するような店名。生バンドが入り「明るく楽しく飲んで踊る大人の社交場」などと呼ばれ、企業の接待などにも使われました。

2020年

 昭和の「キャバレー文化」も平成になった頃から終焉へ向かいました。現在の歌舞伎町は、国際色豊かな飲食店やキャバクラ、ホストクラブが無数に立ち並ぶ歓楽街。

■渋谷駅西口

1984年

 山手線南改札口前から西口バスターミナルがつながり、あたかも広場のようです。高層ビルの「渋谷マークシティ」もなく、井の頭線方面の空が広く望め、地下鉄銀座線の電車が見えます。

2021年

 耐震対策のためにコンクリートで太く覆われた支柱が視界を遮ってしまい、待ち合わせ場所としては不適格。現在進行中の渋谷駅改修、再開発で今以上に使いやすくなることを期待しています。

■渋谷文化村通り

1984年

 東急百貨店本店前からの眺め。三和銀行やMobilのGSがありました。「IRIS眼鏡屋」の脇を入ったところの台湾料理店「麗郷」は、今も当時と変わらない台湾料理を味わえます。

2020年

 渋谷スクランブルスクエアがそびえ立っています。1989年9月、Bunkamuraが東急本店隣に開業し「渋谷文化村通り」と呼ばれます。それまでは「東急本店通り」でした。

■新橋駅前SL広場

1984年

 サラリーマンの聖地とも呼ばれている新橋駅SL広場。SLはC11形蒸気機関車、日本の鉄道開業100周年を記念して1972年に設置されました。汐留方面の空が広い。

2021年

 今も変わらぬサラリーマンの聖地。SL横から煙がモクモクと喫煙コーナーがあります。汐留方面の高層ビル群が迫り来る。「おやじビル」の愛称で親しまれるニュー新橋ビルは健在。

■有楽町日劇前

1981年

 1981年の解体を待つ日本劇場、日劇の通称で親しまれました。空襲による被災や終戦後の占領軍による接収も免れ、半世紀近くにわたって日本興行界を代表する象徴でした。

2020年

 日本劇場は隣接していた朝日新聞東京本社とともに解体され、有楽町センタービル・通称「有楽町マリオン」が建てられた。メンズ阪急やルミネ、ピカデリーなどがある複合商業施設。

■東京駅ホーム

1984年

 日本近代建築の父だった設計者・辰野金吾は、単なる列車を乗り降りするプラットフォームではなく、人々が四方八方で活躍する旅立ちの場、ステージ、舞台としての格式あるものを表現しました。

2020年

 そして現在、東京駅は案内板やエスカレーターなど、ホームとしての機能は充実していますが、日本の中心駅としての誇りを持って作られた昭和時代の建築の美しさには敵いません。

■上野駅・松竹

1982年

「男はつらいよ」と相まって手前のおじさんの渋い表情が印象的です。当時大人気だった美保純主演「OH! タカラヅカ」(1982/12/24公開)、「絶対楽しい松竹映画」の看板が目立っています。

2020年

 上野松竹デパートは「上野の森さくらテラス」に変貌しました。ガラス張りの外観、コロナ禍で訪れる人も少なく寂しい。映画の看板に溢れていた時代の方が上野らしさがありましたね。

■浅草花やしき通り

1986年

 花やしきのシンボルだった「Beeタワー」が懐かしい。「びっくり食堂」では何が出てくるのかな。映画館の看板も賑やかです。「キャプテン翼」「ゲゲゲの鬼太郎」1986年3月公開。

2020年

 浅草を代表する観光スポットのひとつである日本最古の遊園地「浅草花やしき」の南側に面する「花やしき通り」。今でも風情ある昭和の雰囲気は変わっていません。

(善本 喜一郎)

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