「血を舐めてもらって興奮した」「生理ナプキンで止血した跡が…」歌舞伎町“TOHO横”に集まる未成年は何をしているのか

「血を舐めてもらって興奮した」「生理ナプキンで止血した跡が…」歌舞伎町“TOHO横”に集まる未成年は何をしているのか

キラキラ光っている「I LOVE 歌舞伎町」の看板  ©今井知佑/文藝春秋

 歌舞伎町の社会学を研究する現役女子大生・佐々木チワワさん。15歳から歌舞伎町に足を運び、常に近くで歌舞伎町の街を見てきたという。そんな彼女が最近抱いている危機感。中高生たちが新宿TOHO横の広場に入り浸り、飛び降り自殺や集団リストカットを行なっているというのだ。

 「地雷系女子」や「ぴえん」などティーンの流行を生み出す一方で、過激化する少女たちの自傷行為。なぜ彼女たちは集まるのか。佐々木さんに詳しく話を聞いた。(全2回の1回目/ #2 を読む)

◆◆◆

■歌舞伎町のホストクラブ

――佐々木さんご自身も15歳から歌舞伎町に足を運ばれているんですよね。15歳って少し早いような気もするんですが、最初に歌舞伎町に行こうと思ったきっかけってなんでしょうか?

佐々木 最初は実家からの反発での家出先が歌舞伎町でした。朝までフラフラできそうだなという軽薄な考えでしたね。17歳の時にホストの特集番組を見てから歌舞伎町の文化やホストに興味を持ち始めました。

――ホストクラブにハマった理由ってなんでしょう?

佐々木 私、小学生から高校までいいとこの学校に通っていたんです。そういうことを話すとみんな構えちゃうじゃないですか。この子はそういう子ね〜って。それがすごく嫌だったんです。ホストだとみんな私のバックグラウンドを知らないし、あえて聞いてこない。万が一話したとしてもそれで構えられることはなかったんです。ただのお姉さん(?)として扱ってもらえるのが心地よくて。それがきっかけです。

――そこから歌舞伎町の社会を研究しようと…?

佐々木 たまたま深夜に当時自殺の名所と言われていたビルに行ったら、飛び降りようとしていた女の子と、それを止めようとしているホストが居たんです。で、私も中に入って自殺を止めたんです。そのあと彼女から話を聞いたら、泣きながら「だって、お金使わなきゃ、私って生きてる価値ないじゃないですか」って言われて、衝撃を受けました。

 この街の価値観とか、お金の流れって、どうなってるんだろうって。みんな何を消費しているんだろうってこともすごい気になって。それが社会学として研究しようと思ったきっかけです。論文とか文献も見つつ、アクションリサーチという名のホスト遊びを謳歌しつつ、という感じですね。

■好きで好きで仕方なかった

――なるほど。ホストに貢いで自分自身の価値が曖昧になっているということですね。

佐々木 そうです。2018年の10月に第6トーアビルで飛び降り自殺があったことをきっかけに、飛び降りが相次いだんですよ。最近はアパホテルで飛び降りたのが中高生のカップルだったということで話題になりました。それくらい自殺が非日常的ではない街なんです。

 私からしてもこれは新しいカルチャーの気がしていて。2018年まではホスト狂いの子が、ホストとのいざこざが原因で自殺する…ってことがほとんどだったんですが、「死ぬならここにしよう」って他所からの自殺者も来たというケースもあったらしいんですよね。それこそホテル心中とかもあったじゃないですか。

 これは本当に個人的な直観なんですけど、自殺とか心中がカルチャーとしてすごいライトになってきているのかなと思っていて。その端緒が、2019年に女性がマンションでホストを刺した事件です。「好きで好きで仕方なかった」と捕まった女性が供述したんですけど、そのプリクラが流行ってるんですよ。

――プリクラ?

佐々木 「好きで好きで仕方なかった」というのが、プリクラのポーズとしてもうあるんですよね。田舎の女子高生もそのポーズでプリクラを撮ってるというぐらい広まりました。「#好きで好きで仕方なかった」とつける女の子たちは結構います。

――それって事件のことを理解してやっているわけではなくて、みんな流行りだから乗っかっているという感じでしょうか。

佐々木 そうです。なんかその言葉がすごく響いたんでしょうね。共感できる女の子たちがたくさんいて。その事件の女の子の画像が出回っているんですけど、その子のタバコ吸っている姿がエモいとか。「エモい」って言葉で括ると若者文化として受け入れられやすいんですよね。

■TOHO横に集まる未成年

――最近、歌舞伎町のTOHO横に未成年の女の子たちが溜まっているという話を聞きますが、どうしてTOHO横に集まっているのでしょうか?

佐々木 Twitterの中に「自撮り界隈」っていうのがあるんですけど、その子たちがリアルに会う場所としてTOHO横を使っていたんです。自撮りしてるかわいい子たちがTOHO横にたまってると、キャッチやスカウトが聞きつけてそれに混ざって、たむろし始めたというのが一応成り立ちらしいです。よくコロナで増えたんじゃないかと言われているんですが、2018年頃からいるんです。

――自撮り界隈とはなんでしょうか?

佐々木 SNSに自分の自撮り写真を載せて、ハッシュタグで人と繋がる界隈です。「#108円で売ってたら買ってくれる人」や「#自発ください」というハッシュタグをつけていますね。自分をいいと思ってくれたら連絡くださいということなんですけど、今のTOHO横の子たちの多くは自撮り界隈で繋がった人たちです。「#」(ハッシュタグ)って面白くて、今の流行やトレンドを一番表しているものなんですよね。

■別に生きてても死んでてもどっちでもいい

――未成年たちはTOHO横に集まって何をしているのでしょうか?

佐々木 彼女たちに「普段何してるの?」って聞いたら、「動画撮ったり、たまに一緒に手首も切ってるよ」って言っていましたね。別にやりたいことはないから暇つぶしにリストカットしようかみたいな。コミュニティの文化の中に死というものがすごい近くにあるんだろうなって思いました。希死念慮じゃないですけど、別に生きてても死んでてもどっちでもいいかなと思っている子が多いように思います。

 自傷行為って自分の血を見ることで、生を感じていた部分があったと思うんですけど、そのあたりが薄れているというか。一緒にいる仲間が自殺しても「ほんとに死んだんだ」ぐらいの現実感ない感じが…傍から見てるとですよ。本当に当事者のことは取材しないと分からないと思うんですけど。

――実際にリストカットしている子たちを見たことはあるんですか?

佐々木 集団リストカットしているところは見たことはないんですけど、カミソリが落ちていたり、生理ナプキンで止血した跡とか、たまに血がベチャ〜と地面についているのは見たことがあります。リストカットしてホストにその血をなめてもらって興奮したとか報告してくる友達も居ますね。

 自傷とか病みが文化の一種になっているんですよ。それこそ地雷系メイクはその象徴です。今はSNSの「いいね」が自分の値札になってるんですよね。例えば100いいねもらっている子と80いいねもらっている子がいたら100いいねもらってる子の方が価値がある、みたいな。可視化されて、値札が付きやすいので周りと比べられるんですよね。それに嫌気がさしてる子や、息苦しさを感じている子が増えています。

■サードプレイスとしての歌舞伎町

――TOHO横にいる未成年は何歳くらいの子が多いんでしょうか?

佐々木 12〜19歳が多いです。夕方や土日は中学生が本当に多いです。未成年の中では比較的真面目な子は飲酒に抵抗があって、結果的に合法な風邪薬のODとかで気を紛らわしている子もいました。

 学校でいじめられている子とか親の教育が厳しい子たちのサードプレイス(自分にとって心地の良い時間を過ごせる第三の居場所)になっている気がします。よくあいつらは家庭環境が崩壊しているんじゃないかと言われているんですけど、そんなこともないんです。むしろ親が厳しすぎてとか、勉強勉強うるさくてとか…そういうことで新しい自分の居場所を求めてきています。

――みんなどこかで生きづらさを抱えている子が多いんですね。

佐々木 サードプレイスとしての機能がすごいあるだろうし、そういう問題を見ずに、ただ「あそこで集まるのよくないよね」という理由だけで叩きつぶしたら、また別のところで何かが生まれるので、その根本をちゃんと見たほうがいいと思います。

 親の家庭環境が悪い社会の除け者のような扱いをしている大人もいて、それがまた彼女たちの居場所を奪っている…。社会はちゃんととらえるべきだと私は思うんですけどね。

――TOHO横の未成年たちはその後、別の場所に行ったりするんですか?

佐々木 入れ替わりは激しいので、どんどん卒業していきますね。地下アイドルをやる子やキャバクラ、風俗店で働く子もいますね。本当にいろいろだと思います。

 この前、中学生の集団があそこに居たんですよね。クラスTシャツを着ていて。TOHO横界隈の子達ではなかったので、待ち合わせ場所として普通に若者が使っているんだ…と驚きました。

 だって、自分の中学生時代、集合場所が取りあえずTOHO横なんてことはなかったじゃないですか。一部の子はいたかもしれないですけど、多くの中学生が集まっているなんて…。たぶん私たちにとっての原宿の竹下通りと同じ感覚なんでしょうね。原宿が廃れ、新大久保もちょっと廃れ、今、歌舞伎町に来てるのかなっていう個人的なイメージです。ただ、そこに死があまりに近すぎる…。それが問題を大きくしている気もします。

【続きを読む】? 「パパ活で100万頂けたよ!」SNSでパパからもらった金額を競い合う“頂き女子” のヤバすぎる手口

「パパ活で100万頂けたよ!」SNSでパパからもらった金額を競い合う“頂き女子” のヤバすぎる手口 へ続く

(「文春オンライン」編集部)

関連記事(外部サイト)