エサはなんと「草」 大都会の河川で1メートル超えの“怪魚”を釣り上げた!

エサはなんと「草」 大都会の河川で1メートル超えの“怪魚”を釣り上げた!

今回の釣り場となった江戸川。利根川から派生した一級河川で、都市部を流れている

「都内を流れる川に1メートルを優に超える魚が生息している」

 ある時、こんな興味深い話を聞いた。大物ハンターでも何でもないただの釣り人の私でも、得体の知れない存在に「一体どんな魚なのだろうか」と釣り少年時代に感じた興奮がよみがえった。しかも、それが「ヌシ」と呼ばれるような幻の魚ではなく、巨大な魚がゴロゴロ泳いでいるらしいので、なおさら自身で釣ってみたいという気持ちがわきあがってきた。

 今回は、東京都と千葉県の境を流れる「江戸川」で、私が実際に体験した巨大魚釣りを紹介したいと思う。

■1メートル超えの魚の正体とは?

 最初にネタばらしをしてしまうと、ターゲットとなる大型魚の正体は、中国四大家魚というコイ科の魚である。

 そもそも中国四大家魚とは、その名の通り中国から食用として日本に移入された魚で、ハクレン、ソウギョ、アオウオ、コクレンの4種類のことを指す。この4体を池に放つことで、それぞれの食性が相まって上手く池の生態系が保たれるらしい。

 現在食用として日本の食卓に並ぶことはほとんどないが、かつて河川に放たれた個体が今でも我々の身近なところで繁殖しているのだ(※コクレンは不明)。

 その4体の中でも、今回私が狙うのはソウギョ(漢字で書くと草魚)だ。“草”と書くだけあって主食は草である。1メートルを超える魚体の運動エネルギーを草だけで補うほど徹底したベジタリアン。会ってみたい……。

 ということで、この大型魚、ソウギョを釣るべく江戸川に足を運んだ。

■まずは現地調査で生息地を絞る

 関東を流れる一級河川・江戸川、その流域のどこに生息しているのか。

 ポイントを絞り込むうえで重要なのが、ソウギョの餌となる草、つまり水際に生えたアシの群生地を探ることにある。

 ソウギョが陸に生えたアシをどうやって食べるのかというと、干満差のあるエリアだと満潮時に水に浸かったアシ、あるいは風でなぎ倒されて水面に接触しているアシを食べているのだ。また水面から顔を出して食べるほど貪欲でもある。

 アシが群生するポイント、すなわちそこが回遊コースとなりえるのだ。

 しかし近年、江戸川は護岸整備されているため水際にアシが生えたポイントが意外と少なくなっている。Googleマップで確認してポイントを絞った。

 現地に到着すると青々と生い茂るアシが見えて安心した。

 この日は釣り竿は出さずに、岸際のアシをなぎ倒してソウギョが食べにくるのか一晩置いて確認することにした。

■ソウギョの存在を確認

 翌日、なぎ倒したアシを確認すると、葉っぱをバリバリ?み切った跡がある。

 確かにソウギョは昨晩のうちにここに来て草を食べていたのだ。1メートルを超える魚体が、こんな岸際まで接近していたと考えるとワクワクが止まらない!

 早速準備して釣りを開始。

 仕掛けは、餌のアシに3本の針を見えないように付けて水面に浮かせてアタリを待つ「浮き草釣法」。

 こんな仕掛けで1メートル超えの魚が釣れるのか疑問に思うかもしれないが、アシを食べに来たソウギョにとってはこれ以上ない「特餌」なのだ。

 ちなみに、これは関東のソウギョ釣りでは伝統的な釣り方である。

 ソウギョが岸際を回遊する確率がもっとも高いのは潮位が高い時間帯。つまり、満潮前後2時間くらいをピークと読んで釣りを行った。

 どんなアタリ方なのだろうか、どんな引きをするのだろうか――。水面に浮かぶアシをじっと眺めながらソウギョが顔を覗かせるその時を待った。

 しかし、この日はおろか、この年に数回釣りを行ったが何の釣果も得られなかった。1年に1回しか釣行に挑めなかった年もあったが、いつしかソウギョを釣ろうと思い立ってから3年の月日が流れていた。

■ソウギョを求めて釣りキャンプ

 ソウギョを本格的に狙うため、挑戦4年目となる年には、テントを張って1泊2日の釣りキャンプ体制をとった。釣れなかった経験のなかで、自分なりにソウギョを釣るための条件をまとめてみた。

・満潮前後なら、昼夜問わず岸際を回遊する(特に朝方に反応が多い)

・浮き草釣りは針を見切られやすい(付け方を熟練しなければいけない)

・ソウギョの警戒心は意外と高くない

・青汁を撒いても集魚効果は薄い

 これらの経験を活かして、今年こそ必ず釣ると心に誓った。

 仕掛けはビニール紐に2本の針を結んで、アシの枝1本を付け餌にしたものを川に放り投げてみた。

 狙いとしては、針の付いた葉っぱを大量の葉でカモフラージュする作戦だ。

 針を見切るソウギョも、この大量の葉を前に気持ちが浮かれて無心で針ごと食べると考えた。日本の釣り具の進化が目まぐるしい中で、あえて紐と糸と針だけで大物に対峙する姿、これまさに……非常にシュールである。

 しかし、ひとたびアタリが出るとビニールひもがシュルシュルと出ていく!

 ビニールが5メートルほど出されたところでアワセを入れてみるがフッキングせず。おそらく針の付いていない葉っぱを引っ張っていたのだろうか、これでは本アタリが分からないことに気が付いた。

 浮き草仕掛けもアタリなく、針直前までアシが食べられているではないか。

 作戦失敗。

 川の潮位も下げたところで、この日は釣りを終えてラーメンを食べて就寝。

■最終決戦、ついに竿先に反応が……

 朝起きて、仕掛けていた草が食べられていたことを確認し、潮位が低い時でも岸際を回遊することが分かった。釣行を重ねるごとにソウギョ釣りの情報がアップデートされる。

 この日は、ビニール仕掛けに追加して浮き草仕掛けをそのまま川にぶっこんでみた。

 川底に落ちている草なら、警戒心なく喰ってくれるだろうと考えた。

 すると直ぐに竿先に反応が出た。

 今までは針を残して去っていったソウギョだが、今回は仕掛けを離さない。

 しっかりと合わせを入れると、竿にこれまでにない重量感が伝わってきた。

 ついに魚が掛かった!

 コイ科の魚らしいパワフルな引き。

 寄せては離されを繰り返し、時間がかかったが無事ネットイン。東京都の川に生息する巨大魚ソウギョをついに釣り上げた。

 1メートルを超える魚は自身初なので震えあがってしまった。

 草を餌に巨大魚を釣ること自体が類を見ない釣りであるが、特殊な環境だからこそ最後まで諦めずに続けることができた。

 ソウギョはリリースした。

■アオウオもいつか釣ってみたい

 中国四大家魚には、前述したようにソウギョ以外にハクレンとアオウオ、コクレンがいる。

 私は過去にハクレン(72p)をこれまた珍しいマッシュポテトのウキ釣りで釣った経験がある。残されたアオウオとコクレンは、生息数的にソウギョの比にならないほど少ないとされている。コクレンにおいては繁殖すらされていない可能性もあるが、アオウオはいつか釣ってみたい魚である。

 川でのんびりと大物を釣りたい方は是非、ソウギョを狙ってみては如何でしょうか。餌代はタダで済みます!

 今回紹介したソウギョ釣りはYouTubeの「ぬこまた釣査団チャンネル」でも前後編に分けて詳しく紹介しているので、ご視聴&チャンネル登録をよろしくお願いします。

 写真=ぬこまた釣査団(大西)

(ぬこまた釣査団(大西))

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