立ち食いそば屋の「時価」っていくら? 信州屋「時価松茸そば」を食べてみた《しぶそば、ゆで太郎でも“秋の味覚”を発見》

立ち食いそば屋の「時価」っていくら? 信州屋「時価松茸そば」を食べてみた《しぶそば、ゆで太郎でも“秋の味覚”を発見》

「信州屋」は渋谷の立ち食いそば屋としては貴重な存在

 7〜9月のコロナ新規感染者数の爆発的増加がウソのように減衰し、緊急事態宣言も10月1日にようやく解除となった。立ち食いそば店にも徐々に客が戻りつつある。それに併せるように秋の季節メニューを各店で展開し始めているようだ。そこでいくつか食べてみることにした。

■秋の恒例、信州屋「松茸そば」

「立ち食いそば屋には松茸そばは売ってないだろうな」と誰しも考えるはずだ。老舗店なら定価で2000円は下らない。しかし、毎年秋になると「時価松茸そば」を低価格で販売している立ち食いそば店がある。「信州屋」である。

「信州屋」は1986年(昭和61年)創業。クマガイコーポレーション株式会社が経営する立ち食いそば店で、「渋谷店」の他に「新宿南口店」、上野の「喜乃字屋」などがある。開店当初から押し出し式の製麺機を使う画期的な店であった。

 渋谷駅周辺の再開発で「麺KAWAKEI」や「本家しぶそば」がなくなってしまった今、「信州屋」は「富士そば」とならんで貴重な立ち食いそば店となっている。コロナ禍で相当厳しい経営状態と聞くが、今年も恒例の「時価松茸そば」を販売するというから有難い。その値段は時価で、仕入れ値によって680円〜980円の範囲で変動する。

 訪問した時は780円で販売していた。カウンターで注文すると、押し出し式製麺機から麺がにゅるっと湯釜に落ちていき、30秒程度で茹で上がる。かき揚げ天もうまそうだ。2〜3分で「時価松茸そば」の完成である。

 低価格ゆえ輸入モノ松茸であることはさておき、返しや出汁で少し加熱した薄切りの松茸が、たっぷりのつゆに泳ぐそばの上に散りばめられている。数年ぶりの松茸を食べてみるとなかなかの香りと歯ごたえ。そして、つゆに松茸の香りが伝わって滋味深い旨さが広がっていく。この押し出しの生麺は透明感がありコシも強く秀逸である。「時価松茸そば」は10月一杯の販売予定とのこと。

■ゆで太郎で「きのこ南蛮そば」を発見

 さて、夏メニューで印象的だった「夏の冷しそば」を登場させた大手チェーン店「ゆで太郎(信越食品)」は現在、秋の季節メニューを販売中だ。中でも「きのこ南蛮そば」(580円)がきのこ好きに人気のようだ。さっそく、「ゆで太郎 新橋赤レンガ通り店」に行き食べてみることにした。

 食券を渡すとすぐ麺をゆで始める。待つこと2分。きのこはナメコやヒラタケ、エノキダケだろうか、たっぷりの量が入っている。そしてキクラゲの千切りに、レンコン天、そして南蛮として白髪ネギがきれいに盛り付けられている。

 まずつゆをひと口。ゆで太郎のつゆは進化しているのだろうか、とてもバランスがよい。夏の冷しのつゆもうまかったが、温かいつゆもじんわりとうまさが伝わってくる。そしてほんのりと青唐辛子が香る。水煮したきのこが大量にのっていて、食べ応えもある。時折顔を出すキクラゲがまたいい歯ごたえで、レンコン天がアクセントになっている。本格的な老舗の味の雰囲気さえ感じられる。午前中は客でごった返すこともなく、お店の方もすごく元気で心地よい雰囲気である。秋そばのメニューはまだしばらくは販売中とのこと。「秋天そば」(580円)にもトライしたい。

■舞茸天が大きい「しぶそば」の秋メニュー

 駅ビルの完成とともに今年3月にオープンした「しぶそば 池上店」では、池上の有名海苔店の海苔を使った「花巻そば」が限定商品として人気なのだが、今回は秋のメニューである「舞茸天そば」(520円)を食べてみることにした。

「しぶそば 池上店」は、駅改札を出た2階フロアで営業していた。シックな外観である。一面ガラス張りで電車を見ながらそばをいただけるというわけだ。入口には秋の季節メニューのPOPが貼られていた。さっそく「舞茸天そば」のチケットを購入。「麺茹でのため1分ほどお待ちください。出来ましたら番号をお呼びします」とアナウンスされる。とにかく明るい店内でなかなかよい。

 舞茸は新潟産の大きな株ごと仕入れており、それをざっくりと小分けして天ぷらにしている。テイクアウトでも1株まるまる舞茸を購入できるようで、1kg2000円でも販売している。これはうまい証である。舞茸天と生そば2人前で850円というサービスも同時に行っている。


 登場した「舞茸天そば」の舞茸天は想像以上に大きい。その舞茸天にがぶりつくと、香りがよく肉厚の舞茸が現れる。これはなかなかうまい。つゆは程よい塩味と出汁の味が香る上品なタイプで、どちらかというと関西系の風味を感じる。そばはもちろん生麺でコシもあり舞茸天とつゆとのバランスが絶妙だ。お店の方に聞くと、秋の季節メニューは11月位までは食べることができるようだ。

■手ごろな値段で秋を感じる一品

 新型コロナ禍による緊急事態宣言が解除された10月、立ち食いそば各社も売り上げの遅れを回復すべく必死に立て直しているところだ。そこに秋が旬のきのこを使ったメニューが登場したということで、手ごろな値段で身近に秋を感じるには最良だと思う。

 ところでオチをひとつ。原稿の締め切りで今回は間に合わなかったが、秋葉原の「清水や」では岩手県三陸産松茸を使った「松茸そば」を1500円で10月いっぱい販売するという。これもまた気になる存在だ。もしかすると「日本一高い立ち食いそばメニュー」かもしれない。

INFORMATION

信州屋 渋谷店
住所:東京都渋谷区道玄坂2-6-4
営業時間:月〜土 7:30〜20:00 日 9:00〜20:00

ゆで太郎 新橋赤レンガ通り店
住所:東京都港区新橋5-7-14
営業時間:7:00〜20:00(土祝は15:00)
定休日:日

しぶそば 池上店
住所:東京都大田区池上6-3-10 エトモ池上2F
通常営業時間:平日 7:00〜22:00 土日祝 10:00〜20:00
※現在、20時までの時短営業中

(坂崎 仁紀)

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