「信じていたのに」母は娘の頬を平手打ちして抱きしめた…点滴殺人“黒い看護師”34歳と母親との“距離感”

「信じていたのに」母は娘の頬を平手打ちして抱きしめた…点滴殺人“黒い看護師”34歳と母親との“距離感”

点滴連続中毒死事件が起きた旧大口病院 ©共同通信社

「ボーナスもらってから辞めれば」

 何気なく発した母親の一言から、程なくして――。

 横浜市の旧大口病院(現・横浜はじめ病院)で2016年、入院患者3人の点滴に消毒液を混入して殺害したとして殺人罪などに問われた元看護師、久保木愛弓(あゆみ)被告(34)。10月6日の公判では久保木の父親が出廷したほか、母親の供述調書が読み上げられた。

 母親の供述調書によると、久保木は16年5月、「同僚のエプロンが切られていた」と報告。翌6月には電話で「エプロンの事件が怖いから辞めようかな」とも告げていた。母親は退職には賛成したものの、とっさにボーナスのことが頭に浮かび、働き続けるようアドバイスしたという。が、

「久保木は直後の16年7月中旬から、患者の点滴袋に消毒液の混入を繰り返していたとされます。捜査段階では『20人くらいやった』と供述していましたが、殺人罪で立件されたのは、証拠が確実な3人の殺害でした」(社会部記者)

 父親への証人尋問で初めて明かされたのは、久保木と母親の距離感だ。

 思春期には父親が子育てに関わらなくなったのに対し、母親は「過干渉って感じだった」(父親)。持ち物検査や小遣いのチェックが厳しく、高校時代には反発して本を投げ捨てたこともあったという。久保木は医療事務職を希望していたが、「手に職を付けた方がいい」と言われるまま看護学校に進学。就職後も、母親が毎月のように寮の部屋の掃除に訪れていた。

■母親は娘の頬を平手打ちして抱きしめ…

「久保木は16年9月の事件発覚後、報道が落ち着いたタイミングで実家に戻りました。両親から『愛弓じゃないよね?』と問われると、『違う』と首を振ってみせた。報道陣への恐怖感はありつつも、普段と変わらない様子だったといいます」(前出・記者)

 だが、18年6月、神奈川県警の聴取に犯行を自白。ホテルの一室で面会した母親は頬を平手打ちして抱きしめ、「信じていたのに」と詰ると、久保木は「ごめんなさい」と泣き崩れた。その日、二段ベッドで両親と一緒に眠り、過去に患者の家族から責められた経験を初めて語ったのだった。

 ただ、「事件を起こす前に辞めればよかったのに」という母親の言葉には無言のまま。翌朝には「全て話してきます」と告げて部屋を後にしたという。

「公判では、両親が被告の結婚式の費用として貯めていた300万円を遺族への賠償金に充てたことも明かされました」(前出・記者)

 弁護側は犯行当時、被告が統合失調症の影響による心神耗弱状態だったと主張しているが、立件された範囲だけでも僅か数日間に患者3人の命が次々と奪われており、検察側は求刑で極刑を選択すると見られる。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年10月21日号)

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