「パンツ泥棒」高木毅、「賄賂1200万円」甘利明を同時に起用…新首相・岸田文雄は“天然”なのか《奇妙な人事》

「パンツ泥棒」高木毅、「賄賂1200万円」甘利明を同時に起用…新首相・岸田文雄は“天然”なのか《奇妙な人事》

岸田文雄 ©文藝春秋

 岸田首相が順調にブレ始めています。自民党の政権公約が発表されると岸田さんの言っていたことが薄くなり『高市氏政策 色濃く反映』(読売新聞10月13日)となった。つまり安倍さんカラー。

 ワクチンの効果を加速させるための3度目をブースター接種と言いますが、この流れは安倍政権の3度目接種みたいです。「安倍ブースター政権」かもしれない。

 そんななか、あらためて岸田氏がおこなった人事を振り返ってみると奇妙な共通点が多いことがわかる。

 まず高木毅氏だ。国会対策委員長に起用された。この名前を見て思い出すものがある。

「パンツ」「下着」である。

■「下着ドロボー」の過去がある

 今から6年前、高木氏が安倍内閣で復興相となったとき、「週刊新潮」に、

『「安倍内閣」が踏んだ大型地雷! 「下着ドロボー」が「大臣閣下」にご出世で「高木毅」復興相の資質』

 と記事が出た(2015年10月22日号)。

 大臣に「下着ドロボー」の過去があるという。被害者の妹が語る。

《「合鍵を勝手に作っとったんです。田舎やから、無防備に小屋にカギ置いといたりするでしょ。それをいつの間にか持っていって、自分のカギを作っとったみたい」》(同上)

 この過去が大臣になったことで問われていたのだ。週刊新潮は「パンツ大臣」とふつうに書いていた。ちなみに高木氏の父は敦賀市議を2期、福井県議を4期、敦賀市長を4期16年務めた「地元政界のドン」だった。

 週刊誌報道を高木氏は否定したが、このあと決定的な記事が出た。地元の「日刊県民福井」が1面で『高木氏週刊誌報道 窃盗疑惑は「事実」』と書いたのである(2016年1月13日)。

 衝撃だった。これは逃げられないかと思いきや、意外な「助っ人」があらわれた。この記事が出た2016年1月13日はSMAP解散報道と重なったのである。なんというタイミング。なので全国的にはあまり話題にならなかった。

 しかもその翌週、今度は「週刊文春」が『政界激震スクープ TPP立役者に重大疑惑 「甘利明大臣事務所に 賄賂1200万円を渡した」』 (2016年1月28日号)を報じた。これで世間の目は甘利氏に集中することになった。高木氏、かなりラッキーな展開であった。

■岸田人事を読み解くキーワード

 だが運命は皮肉だ。あれから6年、岸田首相は「甘利」「高木」を同時に復活させたのである。よりによって過去の説明があやふやな2人を。こんなのまた炎上するに決まってる。岸田首相は天然なのか? それとも幹事長の甘利氏に人事を相談したらこんな形になったのか?

 実は岸田人事を読み解く一つのキーワードがある。毎日新聞のこの記事だ。

『岸田政権、原発回帰色濃く』(10月6日)

 電力業界が最も歓迎するのは甘利明幹事長の誕生だという。

《甘利氏はエネルギー業界に幅広い人脈を持ち、「原子力ムラのドン」の一人として有名だ。実際、原発の建て替えや新増設を訴える自民党の議員連盟でも最高顧問に就いている。》

 さらに「甘利氏の一番弟子」と言われる山際大志郎氏が経済再生担当相で入閣。原発推進の急先鋒で知られる。そして読みどころはここ。

《政策立案に直接関わるポストではないが、高木毅国対委員長も原発推進派だ。》

 ここで高木毅という名前が出てきた。続けて読んでみよう。

《原発が立地する衆院福井2区の選出で、原発推進の立場を取る党の電力安定供給推進議連の事務局長を務めてきた。甘利氏らと新増設を訴えたほか、最長60年までとする稼働期間の見直しや原子力規制委の審査によって停止している期間を稼働期間に数えないようにする原発推進策を訴えてきた。》

 こんな繋がりがあったのだ。

■総裁選の「裏テーマ」

 岸田首相はエネルギー政策にこだわりがない分、甘利氏らキーマンの助言によって政策が進んでいく可能性があるという。そういえば菅前首相もこれに似た状況だった。「そもそも首相も原発には固執していない節がある」(毎日新聞WEB8月19日)から、河野太郎・小泉進次郎両氏に再生可能エネルギー優先を任せていたという。

 こうしてみると総裁選の裏テーマには「エネルギー政策をめぐる暗闘」も大きな影響があったのではと思えてくる。

 いずれにしても甘利氏を筆頭に高木氏も復活した。再チャレンジは結構だが、両氏とも過去の説明をうやむやにしたままでの再チャレンジは虫が良すぎる。

 私は今の自民党で本当に再チャレンジを訴えることができる人は他にいると思っている。野田聖子氏だ。

 総裁選に出馬した際、野田氏の夫問題があらためて注目された。

『野田聖子氏、週刊誌の「夫は元暴力団員」報道に「信じている」「歯を食いしばって頑張りたい」』(読売新聞オンライン9月21日)

 野田氏の夫は「元暴力団員」とこれまで週刊誌が書いてきた。これについては裁判になっている。

《今年3月、東京地裁は、元暴力団員だった点について、真実相当性があるとする判決を下している。》 (文春オンライン9月8日)

 裁判所は元暴力団員だった点について「真実相当性がある」としたのだ。※野田氏はそのあとブログで反論。

 私はこの問題、別の角度で興味を持っていたのです。

 野田氏の夫がもしそういう過去を持ちつつ、現在はキッパリと「この世界」で頑張っていこうとしたら?

 それでも過去について一生後ろ指をさされるのは仕方ないのか? 自問自答した。たしかに「総理の夫」の経歴としてはギョッとするが、一生言われ続けなければいけないのだろうか。

■過去を説明して「再チャレンジ」を

 というのは今年公開された映画『すばらしき世界』(西川美和監督)と『ヤクザと家族 The Family』(藤井道人監督)を思い出したからです。

 どちらも元暴力団員が刑務所から出所して「この世界」で生きていこうとすることに比重を置いていた。しかし当人たちの決意とは別に「この世界」は冷たい。反社会的勢力と決別してやり直そうとしても再チャレンジはダメなのか……?

 これを自分の問題として訴えることができた政治家は野田聖子氏だったと思う。現在の夫は間違いないと受け入れているのだったら、過去を説明しつつ、そうした訴えをしてもよかったのではないか。かなりハレーションは大きいと思いますが、それで報われる人もいたはずです。少なくとも甘利氏や高木氏がしれっと説明しないまま再チャレンジするより世の中に問題提起できたと思うのです。

(プチ鹿島)

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