《写真多数》リカちゃんに飲酒、寝落ち、SNSパトロールさせて撮影…リアルすぎる「リカ活」の世界

《写真多数》リカちゃんに飲酒、寝落ち、SNSパトロールさせて撮影…リアルすぎる「リカ活」の世界

お風呂に入らなきゃと思いつつもなかなか動き出せない「現実を生きるリカちゃん」 ©現実を生きるリカちゃんねる

 ボサボサの髪の毛に散らかった部屋で、ソファに横になりながらスマホをいじるリカちゃん。YouTubeに突如現れた「現実を生きるリカちゃんねる」では、ズボラすぎるアラサーのリカちゃんが映し出されている。

 昨年5月に開設されたYouTubeチャンネルは、1年半足らずで登録者数が40万人を超え、20代、30代の女性から絶大な支持を得ている。そんな「現実を生きるリカちゃんねる」の管理人に、このチャンネルを始めた理由や撮影秘話などを詳しく聞いた。

■大人用のリカちゃん人形

――今日は管理人、そして「現実を生きるリカちゃん」もお越し下さってありがとうございます。

管理人 実は「現実を生きるリカちゃん」は初めての外出なんです。電車に乗ることも初めてで、私以外に撮影される経験もほとんどないので、ワクワクしています。

――初めての外出がここ(文藝春秋)なんですね。大変嬉しく思います。

管理人 会議室なんて来たことがなかったので、リカちゃんも心なしか緊張気味の顔のような気がします。

――リカちゃん人形といえば、小さなお子様が遊ぶというイメージが強いですが、最近では大人も夢中になって遊んでいるそうですね。

管理人 数年前からリカちゃん人形の着せ替えをしてSNSに投稿する大人が増え始めたんです。「リカ活」っていうんですけど、昔リカちゃんで遊んでいた30代、40代くらいの方が、リカちゃんにモデルみたいなお洋服を着せて、おしゃれな部屋を作って自分好みにしていくんですよ。

 リカちゃん人形自体も子供用のものではなく、大人用のリカちゃん人形が公式サイトで販売されているんです。

■もっといろんなリカちゃんがいていいよねと思って

――大人用のリカちゃんは、子供用のリカちゃんと何が違うのでしょうか。

管理人 子供用と比べると顔が若干違うように思います。チークが少し濃かったり、髪型も大人っぽい印象です。もともとリカちゃんってすごく設定が細かいんです。小学5年生で、お父さんがフランス人で、お母さんがファッションデザイナーで、洋風の家に住んでいる……。でも大人用のリカちゃんはそういう設定があまり語られていなくて、自分自身でオリジナルの背景を映し出しています。

 昔はリカちゃん=みんなの憧れの存在で……もちろん子供向けのリカちゃんもとても素敵だけど、いろんな性格の人間がいるように、リカちゃんにもいろんな性格のリカちゃんがいるんじゃないかな? と思っていました。当時一緒に遊んでいたリカちゃんと一緒に大人になっていたら、同じような性格になってただろうな、と想像したりもしていたので、大人用のリカちゃん人形の存在はとても嬉しかったです。

■コロナ禍で在宅勤務になり、始めた「リカ活」

――自分自身のオリジナルリカちゃんを作れるのが30代、40代の女性に刺さっているんですね。

管理人 「リカ活」自体はSNSでずっと見ていたんです。子供の時、リカちゃんで遊んでいたこともあったし、リカちゃん人形が家に何体もある! ってほどではないけどずっと憧れというか、好きな存在だったんです。だから就活の時には、タカラトミーを受けています(笑)。リカちゃん人形に携わる仕事ができたらなと思って。子供だけじゃなく、大人も楽しめるリカちゃん人形を作りたいとエントリーシートに書きましたが、結果は不合格で(笑)。そんなに甘くないよなと思いながら普通に就職して、今はOLをやっています。

 でもコロナ禍、在宅勤務になり、外に遊びに行く機会が減って何か家でできる趣味が欲しいと思ったんです。その時にSNSで見ていた「リカ活」を自分もやってみようと決心しました。

■リアルなリカちゃんの「現実」を描きたかった

――「リカ活」は、自分が着たかったけど着れなかった服を着せたり、なりたかったけどなれなかった職業をさせたりと、理想のリカちゃんを作る活動だったんですよね。でも管理人の場合は、リアルを追い求めたと。

管理人 そもそも私は人前に出るタイプではなかったし、あまり目立ちたくなかったんです。だからたとえリカちゃん人形だとしてもきらびやかな服を着せたり、華やかな生活をさせるのはなんか恥ずかしくて。それにいろんなリカちゃんがいる中で、こういうリアルなリカちゃんがいるのは当然だよねって。こうあるべきというくくりの中からはみ出して、「現実ってこんなもんだよ」「リカちゃんだって寝落ちすることもある」みたいな、そんなリアルを描きたかったんです。

■リアルさは自分の実体験を再現

――そのリアルさは管理人の実体験からきているんですか。

管理人 そうです(笑)。基本的には自分の実体験です。YouTubeで出した「【社畜】新入社員リカちゃんの一週間【あるある】」なんて私の新入社員のときの経験そのものです。だから会社の人が見たら、「あれ?」って気づくかもしれないですね(笑)。

 でもこの動画もたくさんの方から反響があって、「わかる〜」とか「こういう上司いるよね」とか、いろんな声をいただけて、こう思ってたのは私だけじゃなかったんだなとホッとしています(笑)。

――お顔を出していないのは、自分の実体験を描いているからなんですね。

管理人 そうです。例えば「【嘘だらけ】現実を生きるリカちゃんの就職活動」とか「現実を生きるリカちゃんのリモート飲み会【表と裏】」とかでは、面接で思ってもないことを平気で言ったり、リモート飲み会ではすっぴんと言いつつ軽くメイクしていたり、酔っていないのに、チークを塗って酔ったふりをしたり……(笑)。そういった裏の部分を描いているので、身バレには気をつけています(笑)。家族や仲のいい友達にしか言っていないです。

――YouTubeチャンネル開設からわずか1年半で登録者数は40万人を超えています。管理人の描く「現実を生きるリカちゃん」は多くの女性から共感を得ているようですね。

管理人 ありがたいですね。こんなに登録してくれるとは思っていなかったです。何も飾らないリアルを見せているので、みなさんから引かれたりしないかなと不安に思ったりもします。

■タカラトミーの炎上で気づいたこと

――YouTubeを見ていると、リアルを描いていますが、下品さは一切感じないです。管理人の中で何か工夫やルールがあるのでしょうか。

管理人 明確にルールを決めているわけではないですが、やっぱりリカちゃんが好きっていうのが前提で作っているので、本来のリカちゃんのイメージを崩しすぎないようにとは思っています。ズボラなリカちゃんを描いている時点で崩してると言われたら何も言えないんですけど……。下品な言動や人が不快に思うような仕草や行動はさせないようにしています。

――1年前、Twitterでタカラトミーが炎上したことがありましたよね。「#個人情報を勝手に暴露します」というハッシュタグをつけてリカちゃんの個人情報を書いたことによって、「リカちゃんを性的搾取に使うな」という声が多く上がりました。

管理人 当時はこの活動を始めたばかりだったのであまり深く考えていなかったんですけど、リカちゃんで表現させていただく以上、気をつけて投稿しています。リカちゃんを性的に見せたいわけではないので。下品なサムネで釣ったり、動画内で下ネタ発言はあまり相応しくないと思っています。

 子供の時からリカちゃん=憧れのお姉さんみたいに思っていて、今もそれは変わらずにいます。どんなに崩れても、決まるところでは決まる。そういうリカちゃんの素敵なところはこれからも残していきたいです。

――そういった工夫が、ここまでの支持を得ることに繋がっているんですね。動画作りはすべてお一人でやられているのでしょうか。

管理人 すべて私がやっています。衣装を買ったり、作ったり、撮影も編集も一人でやっているので、どうしても動画の投稿頻度は少ないんです。

――動画1本作るのにどれくらいの時間がかかるんでしょうか。

管理人 準備にだいたい2日くらいで、撮影に1日。編集は6、7時間ですね。日中は仕事をしているので、仕事が終わった平日の夜か、休みの日にまとめてやっています。なので動画が全然あげられていなくて……楽しみにしてくださっている方をすごくお待たせしていて、申し訳ないなと思っています。

■泣きながら謝罪するリカちゃん

――謝罪動画をあげていましたよね。

管理人 はい(笑)。ちょうどあの動画をあげる前、たくさんのYouTuberの方が謝罪動画を上げていて、それが急上昇動画のランキング上位を占めていたんです。リカちゃんがスーツを着て謝罪動画をしたら面白いのではと思ってあの動画を作りました。

――確かにリカちゃんが黒いスーツを着て泣きながら謝罪していて、クスッと笑ってしまいました。スーツなど小物類は手作りでしょうか。

管理人 意外と100円ショップとかに売っている場合があるので、大半はそれを使っています。ただどうしてもないもの、例えばストロング缶とか(笑)、そういうものは手作りしています。

 あとは「minne」というハンドメイド通販サイトがあるんですけど、お洋服はそこで買うことが多いです。

■リカちゃんが正面を向いていない理由

――リカちゃんの表情は変えられないのに、悲しそうな雰囲気や嬉しそうな雰囲気が伝わってきますよね。

管理人 そう言ってもらえてとても嬉しいです。表情が変わらない分、小物だったり、髪型だったり、撮影する角度だったりで気持ちが伝わるようにしています。

 リカちゃんって正面を向いていないんですよ。正面だと子供が落ち着かないからという理由で、少し目線をそらしてるらしいんです。カメラ目線にする時は真正面ではなく、少し斜めから撮っています。何か文章を書く時は紙に目線が合うようにしたり、泣いている時は少しうつむいているように撮って雰囲気を出していますね。

――動画を撮り始めてから何か変わったことはありますか。

管理人 始める前はただただ自分のリアルをリカちゃんに投影しているだけだったんですけど、今は自分の動画を見てくださる視聴者が「自分以外にもこういう人いるんだ。ホッとした」とコメントしてくださって、そういった方々の役に少しでも立ててるんだなと実感しています。

■あえて理想は持たない

――OLをしている中でご自身の理想と現実のギャップみたいなものを感じていたんですか。

管理人 どっちかというと理想を持たずに就職して働いています(笑)。仕事は楽しいものって理想を持ってしまうと、そうじゃなかった時に自分自身がきつくなってしまうじゃないですか。だからあえて理想は持っていないです。

 ただ、小学生の時に思い描いていたOLとは全く違いますね。東京をカツカツヒールで歩いて、ランチは表参道とかのおしゃれなカフェで食べて夜はおしゃれなバーで飲む……今の自分は在宅勤務して、仕事が終わったら、撮影で使うストロング缶とかを黙々と作って、寝るという(笑)。でもそれがすごく楽しくて。結局何も理想を持たずにいたけど、今こうして自分の好きなものに出会えて、続けているのですごく幸せだなと思います。

 よく「仕事やめないの?」とか聞かれるんですけど、今の所はこのまま続けていきたいです。OLの自分あっての現実リカちゃんなので。趣味として楽しく続けられているし、このペースが自分に合っていますね。

■タカラトミーから連絡がこないかヒヤヒヤ

――ちなみに今まで出した動画で一番のお気に入りは何でしょうか。

管理人 謝罪動画とかナイトルーティンは好きな動画です。クオリティーは全然高くなくて、今見るともっとこうできたとか思ってしまうんですけど、みなさんからの反響が大きくて、投稿してよかったなと思いますね。

「現実を生きるリカちゃん」のナイトルーティンを見る!

――ちなみにタカラトミーさん側から連絡がきたりとかは……。

管理人 それがないんです。ヒヤヒヤしているんですけど。何も反応はないので、悪目立ちしないように気をつけています。

■地雷系リカちゃんも…

――リカちゃんって毎年新しい人形が出るんですか。

管理人 ちょこちょこ出てますね。「リカちゃんキャッスル」っていうお店が福島県にあるらしいんです。私も最近知ったんですけど、そこでは自分自身がリカちゃんになれたり、いろんな歴代のリカちゃんを見ることができるようです。「リカ活」界隈ではすごく有名なんですけど、そういう場所もあるくらい人気なようです。

 最近だと「#Licca(ハッシュタグ リカ)」というリカちゃんが出ました。17歳という設定のリカちゃんなんですが、見た目が結構ギャルなんです。髪色もカラフルで、私が持っているリカちゃんは、インナーにピンクを入れています。地雷系リカちゃんの動画で使っているんですけど、反響が大きかったです。

――化粧も若干違うんでしょうか。

管理人 違いますね。ギャルの方が若干濃いんですよね。チークもピンクで濃いめに入れていて目元もいつもより派手な感じがします。タカラトミーさんもいろんなリカちゃんを発売してくださるので、本当に楽しくて、飽きないです。

――最後に管理人のこれからの目標はなんでしょうか。

管理人 これからもリカちゃんに自分のリアルを投影していきたいですね。あとはリカちゃんの良さを知ってもらい、「リカ活」する方が増えたらいいなと思います。「大人なのに人形?」とか思わず、自分が好きなものを好きにやれるようになれば、もっと楽しくなるんじゃないかなと思います。

(「文春オンライン」編集部)

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