池上さんが考える北方領土交渉――政府方針「帰属問題を解決」が意味するもの

池上さんが考える北方領土交渉――政府方針「帰属問題を解決」が意味するもの

安倍晋三首相 ©getty

 池上彰さんの連載「WEB?悪魔の辞典」では、政治や時事問題に関する用語を池上さん流の鋭い風刺を交えて解説します!

■【北方領土・ほっぽうりょうど】

「4島一括返還」と主張していれば無難な政治課題。

■【池上さんの解説】

 北方領土交渉が動き出しました。北方領土とは国後、択捉、歯舞、色丹の4つの島のこと。日本はこれまで「4島返還」を要求し続けていたと思っている人も多いでしょうが、実は最近は言い方を変えています。「北方4島の帰属問題を解決して平和条約を結ぶ」というのが政府方針です。

「帰属問題の解決」となると、4島全部でなくても「帰属問題が解決した」と言えてしまうのです。ここはロシアとの間で阿吽の呼吸ですね。

 かつて「2島先行返還」の可能性を追求した鈴木宗男議員と佐藤優外務省主任分析官は、「国策捜査」によって逮捕されました。

 でも、ここへ来て、結局「2島プラスアルファ」という解決策が浮上しました。

 こういうときには火中の栗を拾うことなく、「4島一括返還を」と訴え続けていれば、政治的には安泰です。でも、それで島がひとつでも帰って来るのでしょうか。

(池上 彰)

関連記事(外部サイト)