「娘は亡くなる直前まで苦しんでいた…」“旭川14歳少女凍死”新たな加害者が判明 被害者の母が“加害生徒への想い”を独占告白《第三者委員会が中間報告を公表》

「娘は亡くなる直前まで苦しんでいた…」“旭川14歳少女凍死”新たな加害者が判明 被害者の母が“加害生徒への想い”を独占告白《第三者委員会が中間報告を公表》

廣瀬爽彩さん

《旭川14歳少女凍死》新たな加害生徒2名が判明 第三者委員会が中間報告で認定した“イジメ6項目”驚きの詳細「自慰行為の実行を繰り返し求めたことはイジメにあたる…」 から続く

「文春オンラインが報じてくれた、爽彩が『つらい』と訴えていたイジメ行為のほとんどが認定されて、素直によかったと思っています。でも、本当は彼女が生きている間に認定をしてもらえていたら……と思うと、とても悔しいです」

 昨年3月に廣瀬爽彩(さあや 当時14歳)さんの遺体が見つかって1年、そしてイジメを受けてから3年――。世間の注目を浴びた“凄惨なイジメ事件”が大きな山場を迎えようとしている。2022年3月27日、イジメの有無の再調査を行ってきた第三者委員会は「イジメとして取り上げる事実があった」として爽彩さんが受けた「6項目の事実」について「イジメだった」と認定、4月15日には会見を開き、その内容を公表した。第三者委員会から「6項目の事実」について報告を受けた爽彩さんの母親は文春オンラインの取材に複雑な胸中を語った。

■彼女が生きている間に認定をしてもらえていたら…

 3月27日、第三者委員会は旭川市内で母親と弁護団に調査報告を行った。2019年4月から2019年6月までの「事実経過」をまとめた中間報告書を読み上げ、これまで頑なに「イジメと認知するまでには至らない」という認識を示してきた学校や市教委の結論を覆し、6項目の事実について「イジメだった」と認定したことを遺族側に伝えた。

 今回、第三者委員会がイジメだったとして認定した6項目の事実とは、これまで文春オンラインが報じてきた「爽彩さんとF男とのトラブル」「深夜の呼び出し行為」「先輩女性へのおごり行為」「猥褻画像の要求」「自慰行為の強要」「ウッペツ川での自殺未遂」である。

(第三者委員会の調査報告の詳細については、 前回記事 を参照)

 爽彩さんの母親が、今回の報告についてロングインタビューに応じた。

■F男くんが加害生徒であったという事実は、本当に複雑な思い

「イジメと認定されたことについては、素直に嬉しく思います。でも本当は彼女が生きている間に認定をしてもらえていたら……と思うと、とても悔しいです。

 今回の報告では、《上級生F男、G男、B男(三名が揃っていない場面も含む)が、グループ通話等において年少女児である本人(爽彩さん)がいる状況でも性的な話題を繰り返したこと、個別のLINE(F男との関係)のやり取りにおいても性的なやり取りがなされたこと、F男が本人と性的な意味での身体接触を持ったことはイジメにあたる》とされました。F男くんは私に対して『加害者じゃない』と言っていた子です。彼が加害生徒であったという事実が判明して、本当に複雑な思いです」

■ A子へのおごり行為もイジメにあたると認定

 第三者委員会の報告では《上級生A子が、本人の分のお菓子等の代金を負担する行為(おごり行為)を繰り返し受けていたことはイジメにあたる》と「女性先輩へのおごり行為」についてもイジメと認定された。

「お金の件は、爽彩が2019年6月に入院した後に何枚ものレシートを保管していたのを見てわかりました。アイス4つ、コーラ4本、唐揚げ4つとか同じ商品ばかりを購入していて、多い時は同じ菓子を6つ購入しているレシートもありました。1回で3000円を超えているときもあって、おかしいなと思っていました。先輩に呼ばれている時は、私にノートが欲しいとか勉強に使うものだと言い訳をして、お金を用意していたのです。

■直接的に加担せず、静観して止めなかったという行為もイジメに

 また、報告書には《上級生C男が、本人とのLINEでのやり取りにおいて、性的な話題を長時間にわたって続けたこと、性的な動画の送信要求を長時間に渡って続けたことはイジメにあたる》とも書いてありました。触法少年になっている彼は、法を犯していると警察が判断したにもかかわらず、学校からはずっとイジメではないと言われてきたので、ここは自分の認識に誤りはなかったのかなと思います」

 報告書ではさらに「自慰行為の強要」についてもイジメと認定された。2019年6月15日、爽彩さんはA子らにたまり場の公園に呼び出された。5人の先輩生徒の他に公園で遊んでいた小学生も居合わせ、複数人が爽彩さんを囲んだ。

 そのうちの一人の男子生徒が「爽彩が男子中学生に裸の画像を送らされたり、わいせつなやりとりをしていた」と話すと、周りを取り囲んでいたA子やD子、E子ら女子中学生が「それ今ここでやってよ。見せてよ」と、その場で自慰行為をするよう強要した。

 その後、公園に隣接する小学校のトイレに移動し、再び自慰行為を強要された。第三者委員会は、現場にいながら、その行為を止めなかった生徒も加害生徒となると判断して、《上級生B男、A子、C男、D子、E子が、本人に対して自慰行為に関する会話を行ったこと、本人に対して自慰行為の実行を繰り返し求めたこと、自慰行為の実行を求める発言に対して静観したこと、本人が自慰行為に及ぶ一連の状況を見ていたことは、イジメにあたる》とした。

「この第三者委員会の判断は、とても重要だと思います。公園で自慰行為を強要した時に現場にいただけで『自分は傍観者だから大丈夫』と思っていた生徒たちも、イジメを行っていたと認定されました。直接的にイジメに加担せず、静観して止めなかったという行為もイジメになるということです。

■「死ぬ気もねぇのに死ぬとか言うなよ」とA子から言われた

 爽彩がウッペツ川に飛び込んで自殺未遂を図った件も、イジメと認定されました。ウッペツ川の事件は私が唯一、現場に駆け付けることができた事件でした。

 当初、C男は『爽彩が体育座りをしていたのを真似たら怒り出した』と私に説明していたのですが、実際は自慰行為の真似をしてからかっていた疑いがあることが今回の報告書からわかりました。また、爽彩本人からA子ちゃんに『死ぬ気もねぇのに死ぬとか言うなよ』と言われたと聞いていましたが、2019年の謝罪の会では私と弁護士の前でそうした不適切な発言をしたことは否認していました。しかし、一転して、現在はその発言について認めていて、事実だと認定されたことはよかったと思います……」

■学校、市教委が事件発生当初から適切に動いていれば…

 6項目のイジメを認定した第三者委員会の中間報告について、遺族の代理人は以下のようにコメントした。

「今回、第三者委員会からは6項目10件以上のイジメの認定を受けた。これまで報道で指摘されてきたイジメがほぼ裏付けられ、当たり前の結果がようやく得られました。しかし、認定までに要した3年という期間は余りにも長すぎる。なぜ、3年も経ってから、中間報告でイジメを認定したとコメントしたのか。

 被害者が教員の目の前で酷い目に遭い、ウッペツ川へ飛び込んだ事案は、警察、学校関係者を巻き込んだ大事件になった。道教委も繰り返し指導しており、学校、市教委が事件発生当初から適切に動いていれば、彼女は自死を選ばなかった。最後まで苦しんだ彼女が、生きる分岐点をどこで見失ってしまったのか。イジメの認定は一定の前進だが、彼女が亡くなった経緯には触れられておらず、自殺との因果関係については今後も調査が続きます」

■加害者を許せるかと聞かれたら、やっぱり許せない

 爽彩さんの死から1年が経ち、事実無根の誹謗中傷を受け、国会で爽彩さんの事件が議論され、旭川市長も代わった。中間報告という1つの節目に母親は最後に声を振り絞ってこう語った。

「今も心が折れそうになったり、この1年は本当にその繰り返しです。誹謗中傷も完全になくなったわけではないし、真相を知りたいと今自分のやっていることが正解かどうかもわからず、ずっと自問自答しています。今後もそうだと思います。

 学校は誰がみてもイジメだとわかる内容だったのに、どうして『悪ふざけ』と言えたのか。なぜ、イジメじゃないって断言できたんだろうっていうのは今でも疑問です。私は娘がすごく苦しんでいたのをずっと目の前で見てきました。亡くなる直前まで苦しんでいて、その時に認めてほしかった。

 加害者を許せるかと聞かれたら、やっぱり許せないです。イジメは人の命を奪うことがあるんだということを加害生徒たちには自覚して、命の重さを感じてほしいです」

 4月15日、第三者委員会が中間報告を発表したことを受けて、旭川市教育委員会、今津寛介市長、遺族の代理人が会見を行った。今後は認定されたイジメと爽彩さんの死との因果関係の調査が行われる。今津市長は第三者委員会に対して最終報告を6月までにまとめるように要請しているが、死亡に至った経緯や学校と市教委の対応などは中間報告すらされていない状況で、大幅な調査の遅れが懸念される。

 母親がふいに語った「取り戻せない虚しさを感じています」という言葉が、記者の耳からいつまでも離れなかった。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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