Apple、ソニー、Amazon…完全ワイヤレスイヤホンのノイズキャンセリング機能徹底比較!〈外の音をもっともカットするのは?〉

Apple、ソニー、Amazon…完全ワイヤレスイヤホンのノイズキャンセリング機能徹底比較!〈外の音をもっともカットするのは?〉

右手前から、AirPods Pro(Apple)、WF-1000XM4(ソニー)、Echo Buds第2世代(Amazon)。いずれもノイズキャンセリング機能を搭載し、外部のノイズを低減させることができます

 スマートフォンの普及によってすっかり一般的になったのが、完全ワイヤレスイヤホンです。スマホとの間はもちろん左右のイヤホンをつなぐケーブルすらもないことが特徴で、充電が必要なことや、紛失しやすい欠点はあるものの、ケーブルがからまるストレスから解放されるのはなによりの利点です。

 そんな完全ワイヤレスイヤホンの中で人気が高いのが、逆相位の音によって外から入ってくるノイズを打ち消す、いわゆるノイズキャンセリングイヤホンです。周囲の音がほぼ聞こえなくなることから、音楽や動画に集中できるのはもちろん、無音のまま耳栓代わりに使っている人も多いようです。

 今回はそんなノイズキャンセリングイヤホンについて、著名な3つの製品を比較し、どれが優秀かをチェックします。ノイズキャンセリングイヤホンに興味はあるけれど高価ゆえなかなか手が出せない……という人の参考になれば幸いです。なお製品によってはフィット感を上げるオプションも別売されていますが、今回は製品付属の標準イヤーピースのみで試用しています。

 まずは3製品それぞれの特徴をざっとチェックします。

■Apple製デバイスとの使い勝手良好!「AirPods Pro」

 最初に紹介するのは、Appleの「AirPods Pro」です。完全ワイヤレスイヤホンが広く普及するきっかけとなった「AirPods」の上位モデルで、スティック状に突き出たパーツを長くつまむことで、ノイズキャンセリング機能のオン・オフを切り替えられます。

 スティックが伸びた独特の形状は耳からの着脱も容易で、またケースからの取り出しも、手前に倒すように力を加えれば簡単に持ち上がります。ただし本体の表面はツルツルしていて滑りやすく、ケースに入れようとしてうっかり落としそうになることもしばしばです。

 音質は、単体では特に不満を感じることはないのですが、後述の2製品に比べると全体的にくぐもった音で、メリハリはそれほどありません。ちなみにiPhoneやiPadの近くでケースを開くとすぐに接続される使い勝手のよさが大きな売りですが、Androidでも問題なく利用できます。お値段は30,580円と高く、値引きされることはほとんどありません。

■音のクオリティが高い!ソニーの「WF-1000XM4」

 続いて紹介するのはソニーの「WF-1000XM4」です。ノイズキャンセリングでは定評のあるシリーズで、現行モデルは2021年に発売された第4世代にあたります。

 ノイズキャンセリングのオン・オフは、左側面のタップで切り替えます。一般的な完全ワイヤレスイヤホンと違い、本製品はイヤホンの左側と右側で機能が異なるため、慣れるまではやや混乱します。またAirPods Proのように明確につまむ場所があるわけではないため、見当違いな位置をタップすることもしばしばです。

 音のクオリティはほかの2製品に比べても高く、高音を中心に、他では聞こえない音のディティールもしっかり聞こえます。こと音質に関しては、今回紹介する3製品の中でも突出した出来と言っていいでしょう。

 難点はケースから取り出しにくいことと、Bluetooth接続完了時に毎回バッテリー残量を音声で知らせてくれるなど、便利ながらややお節介な面も少なからずあることです。なお実売価格は33,000円と高めですが、最近は実売2万円半ばまで下がっているケースも見かけます。

■もっともリーズナブルなAmazonの「Echo Buds」

 最後に紹介するのは、Amazonが販売している「Echo Buds」です。名前からもわかるように同社のスマートスピーカー「Echo」シリーズの系列に属する製品で、音声アシスタントAlexaを扱うのに重宝しますが、ノイズキャンセリング機能も搭載しており、音楽を聴く用途でもかなりの実力派です。現行モデルは第2世代に相当します。

 ノイズキャンセリングのオン・オフは、側面の長押しで切り替えます。機能は左右共通なので間違えにくいのですが、確実に切り替えるためには時間をかけて長押しする必要があり、瞬時に切り替えられる他の2製品に比べると操作性は今一歩です。うっかり見当違いな位置を長押しし、それをやり直すのにさらに時間がかかることもしばしばです。

 音質はAirPods Proよりもクリアですが、ソニーWF-1000XM4ほど音の輪郭がくっきりしておらず、あまりシャープな印象は受けません。序列で言うとソニーWF-1000XM4>本製品>AirPods Proという順でしょうか。一方でお値段は12,980円と、今回紹介する3製品の中でもっともリーズナブルで、セール時にはさらに割り引かれることもしばしばです。

■優劣はっきりついたノイズキャンセリングの性能

 ではノイズキャンセリングの性能について見ていきましょう。この3製品、装着した時点でノイズキャンセリングがオンになっており、電車内で車内放送を聞いたり、誰かと会話する場合などにはオフにすることで、イヤホンをしたまま外からの音を通過させることができます。オフの状態だと通常のイヤホンと同等と考えればよいでしょう。

 さて結論から言ってしまうと、ノイズキャンセリングの効果が圧倒的に高いのはソニーWF-1000XM4です。他の2製品だとノイズキャンセリングをオンにしても聞こえるキーボードのタイプ音や、扇風機の風切り音も、ほぼ消えてしまいます。ノイズを完全カットした無音状態が「0」、外の音がそのまま聞こえる状態が「10」とすれば、オンとオフで「1」と「9」を切り替えられるイメージです。

 ただしあまりに効果が強力すぎて、電話の呼び出し音を聞き逃したり、家族が話し掛けているのに気づかないこともしばしばです。さらには家族が自宅を出入りする時も、扉の開け閉めの振動音しか伝わって来ず、逆にビクッとなることもあります。周りの気配を感じながら作業する場合のために、「1」と「9」の中間に相当するモードがあれば……と思うこともしばしばです。

 AirPods ProやEcho Budsは、エアコンの運転音などはカットしますが、キーボードのタイプ音や、扇風機の羽根の風切り音はある程度聞こえたままになります。そのぶん驚きには欠けますが、耳障りな音をカットしつつも生活音は残すという意味では、こちらのほうが王道かもしれません。ノイズキャンセリングオン時の効果はAirPods Proが「2」でEcho Budsは「3」、オフ時はそれぞれ「7」「8」といったところでしょうか。

 全体的には、ノイズキャンセリングの効果は、ソニーWF-1000XM4>AirPods Pro>Echo Budsという序列で間違いないのですが、音の種類によっては序列が入れ替わる場合もあります。例えば扉を開け閉めする振動音などは、Echo Budsはほかの2製品に比べて、より強力にカットするなど、部分的にはほかの2製品を上回ると感じられる部分もあります。こうした音の種類によっても傾向が異なることは、知っておきたいところです。

■イヤーピース交換で遮音性能は変化する?

 ノイズキャンセリングをオフにした時の音の聴こえ方はどうでしょうか。ソニーWF-1000XM4やEcho Budsはサーッというホワイトノイズはするものの聴こえ方は自然ですが、AirPods Proは耳の中に水が入った状態で音を聞いているような、やや不自然な聴こえ方をします。ノイズキャンセリングオフのまま使う機会が多ければ、ソニーWF-1000XM4やEcho Budsがよさそうです。

 音楽を聴かずに耳栓として使う機会が多いのであれば、これは遮音性能が高いソニーWF-1000XM4が有利です。ただしどの製品も、スマホに接続することなく単体でノイズキャンセリングのオン・オフを切り替えられますので、ノイズキャンセリングの恩恵を受けつつ耳栓として使うという意味では、そうした機能を持たない一般的なイヤホンよりは有利です。

 なおソニーWF-1000XM4とEcho Budsは市販のイヤーピースと互換性がありますので、耳へのフィット感を高めるイヤーピースを使うことで、遮音性をさらに高められます。特にEcho Budsは標準付属のピースが安価なシリコン製なので、交換によって遮音性を向上できるポテンシャルは他の2製品よりも高く、実売価格が他の2製品の半額以下というコスパも考慮すると、有望な選択肢と言えます。

 一方のAirPods Proはイヤーピースは独自仕様ですが、こちらもサードパーティからさまざまな互換ピースが発売されており、さらに遮音性を高めることができます。もとのノイズキャンセリング性能が高いことはもちろん重視されるべきですが、こうしたカスタマイズ次第では効果の序列が逆転しかねないこと、また電池の持ちや防水性などの要因も、ノイズキャンセリングイヤホン選びを難しくしているところと言えそうです。

(山口 真弘)

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