
「宝くじに当たっても、仕事は辞めない方がいいですね」スポーツくじBIGで6億円、高額当選者が語る“その後の人生”
2022年06月09日 14時35分 文春オンライン
2022年06月09日 14時35分 文春オンライン
2022年05月19日 12時00分 文春オンライン
スポーツくじ「BIG」公式サイトより
誰もが一度は憧れる、宝くじやスポーツくじでの一攫千金。2010年にその夢を叶えた男がいる。ブログ 「totoBIGで6億円当選した男の記録」 を運営する「れお社長」その人だ。現在はYouTuberとしても活動しており、自身の高額当選体験について発信している。
そんなれお社長に、6億円当選後の人生の変化、現在の経済状況などについて聞いた。
◆◆◆
――まず、6億円当選された経緯を教えてください。
れお社長 楽天銀行に“おまかせBIG”っていう、スポーツくじを自動的に購入できるサービスがあるんですよ。当選したのが2010年なんですけど、当時は光熱費とかを楽天銀行でまとめて払っていて。その兼ね合いで「スポーツくじ、おまかせBIGでどうですか?」みたいなメールが届いたんです。で、なんとなく登録して。
――“おまかせBIG”は、曜日指定や口数を自分の好みに設定してスポーツくじを継続的に買うことができます。れお社長は、どういった設定にされましたか?
れお社長 サッカーの試合が行われるたびに購入する“毎開催回コース”で、毎回5口。1口が300円なんで、1回につき1,500円。月トータルでいうと、試合の回数次第によって変わるので6,000円から多い時でも1万円くらいですかね。無理のない範囲でできる毎週の楽しみは、そのくらいだったかもしれないです。
――当時の経済状況はあまりよくなかったのですか。
れお社長 そうですね。おまかせBIGを買い始めたのが2009年で、ちょうどその頃、知人2人と共同経営で会社を始めていたんです。いわゆるITベンチャーってやつで、なかなか事業が軌道に乗らず、ほぼ無給で働いていた時期でした。
――では、藁にもすがる思いで“おまかせBIG”を始めたんですか?
れお社長 そんなこともなくて。宝くじシミュレーションとか、ネットによく転がってるじゃないですか。試したことがありますけど、まぁ当たらないですよね。自分が明日死ぬ確率よりも、6億円当選する確率のほうが圧倒的に低いんじゃないかってくらい(笑)。
■億万長者になった瞬間の気持ち
――しかし実際に6億円が舞い込んできた、と。当選を確認したときの状況は?
れお社長 楽天銀行から入金のお知らせメールが来て、そこに「toto当選金」と書いてあったんですよ。とはいえ、それまでにも数百円レベルで当たったことがあったので、あまり期待はせず(笑)。さっそくログインして確認したら、6億円当選したことが分かって。最初はあまりに現実味がなくて、フィッシング詐欺なんじゃないのかなと思ったんですよ。で、一旦ログアウトして、改めて楽天銀行の公式サイトからログインして、ズラーッと桁が並んでいる明細をスクショしました。
――当選したことを、誰かに話しましたか?
れお社長 誰にも言ってないです。経営者だったので、とりあえず税理士さんには報告しましたけど。一瞬、めちゃくちゃビックリされて、その後は淡々と対応してくれました。
やっぱり、お金が原因で人の関係が崩れたりって、よくあるじゃないですか。ヘタしたら、殺されちゃうかもしれないですし。という理由で、平和に過ごすためにも身近な人には言わないでおこうと思って。
■6億円の「使い道」
――当選した6億円を使った、最初の大きな買い物というのは。
れお社長 自動車の教習所です。25万円くらい。それまでは免許を取りに行く時間もお金も全然なくて、まさに貧乏暇なしみたいな感じでしたからね。
あとは、家具と家電。テレビは24インチのブラウン管だったので、40インチの液晶に買い替えて。もう、薄くてデカくて驚きましたね(笑)。
当時の住まいは家賃8万の8畳1Kでしたが、6億円当選後も引っ越さずに、そのままずっと暮らしていました。
――いわゆる豪遊はしなかったと。
れお社長 当選後、ようやく会社の経営がうまく行き始めて。収入はだいぶ増えましたけど、忙しくてなかなかお金を使う暇がなかったんです。
――その後も堅実な生活を続けたんですか?
れお社長 いえ、2012年頃から徐々に「豪遊期」が始まりました。手始めに当時住んでいた8畳1Kを出て、渋谷区のタワマンに越しました。50uの1LDKで、家賃が23万でした。
■億ション、高級車を次々と購入
――その他には、何にお金を使いましたか。
れお社長 国内外を問わず、旅行する回数が増えましたね。仕事が終わった後、その足で品川駅から新幹線のグリーン車に乗って、大阪に行ったり。泊まるホテルも、5つ星とか4つ星にして。良い空間とかサービスにお金を使うようになりました。
――大金を手にすると、お付き合いされる方々も変わっていきそうですけども。
れお社長 そうなんです。イケイケな感じの人たちとの付き合いが増えて、“夜のクラブ活動”が盛んになっちゃって。月に何回も六本木の店に行っては、とりあえずシャンパンでイッキみたいな。記憶が無くなるまで飲んでたりしてましたけど、いまになって思えば仕事のストレスが溜まってたんじゃないですかね。ほんと、忙しかったんで。
――そのあたりが豪遊のピーク?
れお社長 一番大きい買い物は、世田谷区の高級住宅街にある、4LDK、100uのマンションですね。億超えでしたけど、いずれ売るつもりだったし、買うなら人気エリアの物件にしようと。
――キャッシュで一括購入ですか?
れお社長 いえ、住宅ローンを組みました。現金一括で買うこともできましたけど、手元にお金を残して、その分を運用しようと思って。
マンションを購入した少し後で、車も買いましたね。メルセデス・ベンツのAMG S63クーペ。2400万円くらいしました。それを機に車にハマって、レクサスのLS(約1100万円)を購入し、2台持ちの生活が始まりました。その後はレクサスを手放して、ポルシェの赤いオープンカー718ボクスター(約800万円)、その次はトヨタクラウンRSアドバンス(約750万円)へと1年ごとに乗り換えて。
■スポーツくじ当選金の「残高」
――高級車ばかりですね。ちなみに、スポーツくじで当てた6億円はいまどれくらい残っているんですか?
れお社長 実は6億円の当選金から使ったのは自動車学校の教習代やテレビを購入したくらいなんです。スポーツくじ当選で運気が上がったのか(笑)、ほどなくして会社経営も軌道に乗ったので、仕事で稼ぐことができて、最終的には月収数百万円になっていました。だから6億円がほぼ丸々残っていて、そこに会社を売却したお金が乗っかっている感じですかね。
――会社を売却したんですか。
れお社長 時期的には2016年の話になるんですけど。たまたま「会社を売りませんか?」とM&Aの話が来たんです。で、売却が決まって銀行の会議室で手続きをして。その瞬間は、スポーツくじで6億円当てたのとは全然違った興奮がありましたね。アドレナリンが出まくるというか。
――同じ大金でも、スポーツくじで得たお金とは重みが違うんですね。
れお社長 自分が頑張って努力した成果が、最終的にお金になって返ってくる興奮は宝くじやスポーツくじでは得られないですよ。正直、スポーツくじで6億円を当てた瞬間は戸惑いの方が先立ちましたね。「どうしよう」みたいな。あと、なんにも頑張ってないのに大金を手にしてしまった後ろめたさみたいなのも少々ありました。
株なんかもそうですよね。コロナ前になんとなくテスラの株を買っていたら、10倍になったとかあるじゃないですか。それと同じような感覚ですかね。
――YouTubeで「汗水たらして稼いだお金にはしっかり税金がかかるのに、宝くじは非課税」と仰っていましたが、そのあたりにも繋がりますね。
れお社長 そうですね。会社を売却した年の年収は約3億円でしたけど、税金で何千万円も持って行かれて。一方、「濡れ手で粟」状態のスポーツくじの当選金は非課税なわけです。Twitterで「働いたら負け」なんて冗談でつぶやく人がいますけど、その通りだなあ、と。
■宝くじに当選しても、仕事は辞めない方がいい
――いきなり大金を手にすると人生が悪い方向へ進むなどと言われていますが、れお社長はそうならなかった理由をどう自己分析されていますか。
れお社長 6億円当選後も、仕事を辞めずにやっていたからですかね。自分の欲はあくまで仕事の方に向いていたので。「会社を成功させるぞ」と。そこで成功しないと、お金はあっても、僕としては満足できないというか。
僕の知り合いに、お金だけは持っている地主の息子がいるんですよ、なにもしなくても毎月100万、200万入ってきて。「あまりにも暇だから、なにか面白い仕事ない?」って、たまに相談されるんです。彼は「サプリメントでも売りたいんですけど」なんてやる気もなく言うんですけど、ダメなお金持ちの典型だなと思いますね。
――れお社長自身、早期リタイアを考えたことは?
れお社長 会社を売ったあと、「なにもしないで生きていくのはどんな感じかな」と思って過ごした時期がありました。昼から飲める店に行って常連客のオヤジと喋ったりして。最初の数日は楽しかったんですけど、だんだん精神的にきつくなってきて、半年で耐えられなくなりましたね。で、また新しい事業を立ち上げて、働き始めました。
人って、自分の評価を気にして生きているじゃないですか。だから無為に日々を過ごしていると、他人から評価されようもないし、そうなると自分が無価値だと感じてしまう。あくまで僕の場合は、ですけど。
■高額当選体験談を発信するわけ
――ちなみに一昨年に開設されたYouTubeチャンネルは、どういうスタンスでやっていますか。動画のタイトルには、どれもこれも「宝くじで6億円当選」というワードが付いていて、射幸心をあおられますが。
れお社長 動画のタイトルは、SEO(検索エンジン最適化)対策の一環ですね(笑)。「宝くじ」「高額当選」という検索に引っかかりやすそうなワードを使うことで視聴者の裾野を広げようと思って、あえて使っています。
宝くじやスポーツくじだけに興味がある人って、お金の稼ぎ方には無頓着というか、受け身じゃないですか。会社勤めもいいけれど、起業するという選択肢もあるわけで。後者を選ぶ人がいまだに少ないので、会社経営者として「こういう生き方もあるんだよ」という情報を提供できれば、と。
――YouTubeの動画で「人間ひとりに扱えるお金の額には上限がある」と仰っていましたが、ご自身にとっての上限はどのくらいだと見積もっていますか?
れお社長 いくらになってもブレない自信はありますね。6億円当選しても僕自身はまったく変わらなかったので。100億円持っていても大丈夫だと思います。
写真撮影=末永裕樹/文藝春秋
(平田 裕介)
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