「兄二人よりしっかりしている」紀宮さまのとり計らいで、美智子さまと紀子さまは…《秋篠宮ご夫妻は“どうしてもいま結婚したい”と迫った》――2021年BEST5

「兄二人よりしっかりしている」紀宮さまのとり計らいで、美智子さまと紀子さまは…《秋篠宮ご夫妻は“どうしてもいま結婚したい”と迫った》――2021年BEST5

2004年4月、吹上御苑でバードウォッチングをされる紀宮さま(当時) 宮内庁提供

2021年(1月〜12月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。皇室部門の第2位は、こちら!(初公開日 2021年11月15日)。

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 2005年11月15日、黒田慶樹さんとの結婚式と披露宴の日を迎えられた紀宮さま(現・黒田清子さん)。ご結婚により皇族としての身分を離れられるまで、内親王として本格的に公務に励み、外国を公式親善訪問したのは、紀宮さまが初めてでした。ジャーナリストの友納尚子氏による「サーヤのご結婚 その全真相」(「文藝春秋」2005年1月号)を特別に全文公開します。(全3回の3回目/ #1 、 #2 から続く)

(※年齢、日付、呼称などは掲載当時のまま)

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■中等科でのニックネームは「たらこ」

 美智子さまが望んだとおり、紀宮さまは優しい少女に育っていく。自分のことは自分で、という美智子さまのお考えもあり、幼稚園のときからご自分で着替えをし、料理も早くからお手伝いをなさっていた。学習院では紀宮は「ミーヤ」と呼ばれた。「ミーヤは地味だけれど優しくて、本当にいい人」と同級生は声を揃える。

「体育祭で負けて悔し泣きをしている子がいると、もらい泣きしていたことがあります。困っている人が話しかけてくると、どんな時でも嫌な顔をせずに丁寧に聞いていました」

「中等科でのニックネームは『たらこ』です。焼きたらこが大好きで、美智子さま手作りのお弁当に必ず入っていました。ミーヤが他の子のお弁当を見て『それなあに』と尋ねたのは、ふりかけでした。初めて見たのでしょうか。さっそく翌日のミーヤのお弁当には、ふりかけが登場したそうです」

 高校2年のときに、御所にお花見に行ったご学友の一人は、こう語る。

「ご家族とても仲が良さそうでした。1階の応接セットがあるお部屋で話をしていると、窓の外を蝶々のようにひらひらと走ってこられるご婦人がいて、誰かしらと思ったら美智子さまだったのです。お花見のスポットまで移動するお迎えの車が来たことを、わざわざ知らせに来てくださいました。通された部屋に、『燃える闘魂』とかプロレスのビデオがたくさんあったので、誰が見るの? とミーヤに聞いたら、『下の兄よ』と笑っていました」

■『風の谷のナウシカ』が大好き

 美智子さまの才能を受け継いでか、紀宮さまは幼いころから文学や芸術への関心が高かった。中等科の学芸会では映画「ローマの休日」のようなストーリーの「レディ・アンを探して」というお芝居の脚本を担当。学習院ならではの難解な漢字テストでも常に1、2位を争っていた。

「ミーヤは宮崎駿のアニメ、なかでも『風の谷のナウシカ』が大好きでした。ナウシカのグッズや本が欲しくても、自由に買い物ができないから、とっても申し訳なさそうにお友だちに『いいかしら……』と頼まれるんです。みんな、ミーヤのお小遣いの範囲で、見繕って買っていましたよ」

 東宮御所のなかでスタジオジブリのフィルムによる新作上映会が行われたこともあるという。「暴れん坊将軍」や「銭形平次」などの時代劇がお好きで、御所の職員に配役したことも。さだまさしのコンサートに行ったりと、年齢のわりに渋好みの一面もお持ちだった。もっとも、最近は「冬のソナタ」のビデオなども、ご覧になるという。

■秋篠宮さまは「兄二人よりしっかりしている」

 いつの頃からか紀宮さまは、皇后美智子さまの最大の理解者となっていった。

 93年に美智子さまが声を失われた時も、紀宮さまが“通訳”をつとめた。筆談や、かすかな息のような声からも皇后陛下のご意思をくみとられたという。また、2003年、天皇陛下は前立腺ガンの手術を受け、医師団によって病状の詳細が明らかにされた。このことについて問われ、紀宮さまは次のように答えている。

「(病状の公表は)初めてではなく、皇太子さまご出産の3年後、皇后さまが胞状奇胎によるご流産をなさった時から一貫してこられたことでした。当時、皇室では流産自体が公表されることの無かった時代で、しかも、悪性化する可能性があるとともに胞状奇胎発病後は再度の妊娠が難しいとさえ一般に思われていた中での発表は、その後2年間、次のご懐妊をお待ちにならなければならなかった皇后さまにとり、どれだけお辛いことであっただろうと想像されます。それでも、できるだけ国民から病状を隠さないという、陛下のお考えに添って発表が行われています」

 ご自分が生まれる前のご両親の心境までも的確に説明されるお言葉に、宮内庁担当記者たちも舌を巻いた。

「長官はもちろん、侍従長も女官長も、ここまで両陛下の心情を理解し、しかも説明できる能力のある人はいないでしょう。秋篠宮さまも、紀宮さまの聡明さを『兄二人よりしっかりしている』と信頼し、スピーチや文書などの内容を発表前に相談することがあるといいます。儀式などでわからないことも、電話で紀宮さまに尋ねると、皇居で一緒に暮らす天皇皇后両陛下に確認してくださるそうです」(前出・宮内庁担当記者)

 皇室では「ご身位」が重んじられるから、天皇皇后両陛下から、皇太子、秋篠宮両殿下にお声をかけられることは少ない。そのなかにあって、紀宮さまはご家族ひとりひとりに対して心を配られた。ご兄弟のお気持ちを両陛下に伝え、両陛下のご意向をさりげなく兄弟にご説明されていた。

■紀宮さまのとり計らいで、美智子さまと紀子さまは…

 たとえば、大恋愛の末に「どうしてもいま結婚したい」と深夜何日間も両陛下に迫り、婚約発表を勝ち取った秋篠宮ご夫妻。紀子さまがある時、秋篠宮さまといさかいがあって天皇家の会合になかなか顔を出されないことがあった。そのときも心配した紀宮さまが美智子さまにとり計らい、その仲裁でお二人の仲がことなきを得たこともあったという。

「学習院の先輩後輩にあたる紀子さまと紀宮さまは仲がよく、二人でお菓子を作ったりしている。そこに皇后も加わることもあり、紀宮さまは皇后と紀子さまが親しくなるきっかけを作られた。紀子さまもまた、御所に手料理を届けたり、お子様方を積極的に皇居にうかがわせている。書道を宮家の方に習うなどして、皇室に馴染もうとする努力をされてきたのです」(前出・皇室関係者)

 結婚された皇太子殿下に対しても、紀宮さまはある時期、毎日のように電話をかけあうほど仲が良かった。

 別の宮内庁関係者が、東宮の近況をこう話す。

「公務を休まれている雅子妃も、新潟中越地震の被害には心を痛められています。治療はうまく進み、気持ちも前向きになられている。健やかに成長される愛子さまのご様子も雅子妃を支えています。伝えられたように外国訪問にこだわっているわけでは決してなく、なるべく早く公務への復帰を果たしたいというご心境のようです。

 いまはむしろ、周囲が両殿下を気遣ってご遠慮しすぎることが問題ではないでしょうか。この夏、皇太子、秋篠宮両殿下が時を同じくして頻繁に御所に出入りしていたにもかかわらず、紀宮さまのご結婚のことで皇太子ご夫妻に、事前の相談はありませんでした。秋篠宮家との行き来もほとんどありません。かえって天皇家や秋篠宮家から孤立しているかのように見えてしまうのです」

 続けて、

「雅子妃はお祖母さまの江頭寿々子さんがお亡くなりになったことにもショックを受けられたそうです。小和田家へのご弔問も、当初伝えられた時間に記者が待ち受けていたところ、直前になって『中止』と連絡された。東宮職のミスで記者に誤解を与えてしまったのです。雅子妃はその夜にひっそりと弔問に出かけられました。翌日の皇太子殿下と愛子さまと一緒の弔問も、雅子妃のご意思とは別に、取材のカメラはもちろん、ペン取材まで5人に絞ってくれと通達されました。こうした東宮の事情が国民に伝えられないことも、孤立している印象を与える一因だと思います」

 秋篠宮さまが32歳の時、皇族として目指すものを問われ、第一に天皇のサポートと答えたうえで、こう述べられた。

「これから10年くらいたってくると、また違う視野が出てくるのではないか。自分の役目として、あるサブジェクト(題目)みたいなものが出てくるかもしれない。自分なりの特色を出せたらいいな、と思います」(江森敬治『秋篠宮さま』)

■平成皇室にとっては、重要な存在を一人失った

 かつては秋篠宮さまの、天衣無縫に物事を進めるかのような姿勢に、皇族としてあるべき姿ではないとして、苦言を呈した宮内庁幹部もいた。しかし、39歳を迎えた秋篠宮さまは「さんまの会」のように、皇室外の人々と幅広く会い、研究者としても「生き物文化誌学会」の発起人になられるなど、自分から枠を拡げて行動されている。

「秋篠宮ご夫妻と天皇皇后両陛下は、多くの人と会って新しい知識を得ることに貪欲なところが、よく似ておられます。皇太子ご夫妻も在日の大使などをお茶会に呼んだりしていましたが、皇太子殿下は学究肌の昭和天皇を敬愛し、今上天皇と共に皇居に通って過去の事跡を学ばれ、その影響を強く受けられています。派手な形のご交遊を好まれないのではないでしょうか」(皇族関係者)

 紀宮さまのご結婚は喜ばしいことだが、平成皇室にとっては、重要な存在を一人失ったことになる。皇太子と秋篠宮両殿下が担われる責任は、いっそう重い。

(文中一部敬称略)

(友納 尚子/文藝春秋 2005年1月号)

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