〈同居女性の人骨を発見、捜査へ〉埼玉・本庄市5歳児虐待死 3人のシンク?ルマサ?ーに寄生した石井陽子容疑者「戦慄の洗脳」《21歳もサバを読み…》

〈同居女性の人骨を発見、捜査へ〉埼玉・本庄市5歳児虐待死 3人のシンク?ルマサ?ーに寄生した石井陽子容疑者「戦慄の洗脳」《21歳もサバを読み…》

事件現場となった柿本知香容疑者らの本庄市の自宅 ©共同通信

 今年3月、埼玉県本庄市で住宅の床下から柿本歩夢君(当時5)の遺体が見つかった事件。埼玉県警は6月6日、同家の床下から新たに白骨化した高齢女性の遺体が見つかったことを発表した。遺体は同居していた高齢の女性と特定され、事件性を捜査する。

 歩夢君の虐待と老女の失踪。いったい、この家では何が起きていたのか。関係者4人のいびつな同居生活を詳報した「 週刊文春 」記事を公開する。(初出:週刊文春 2022年3月24日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)

◆◆◆

 都内に住むシングルマザーのA子さんは、そのニュースを見て息を飲んだ。

 3月5日、埼玉県本庄市で民家の床下から柿本歩夢くん(5)の亡骸が見つかった死体遺棄事件。実母の柿本知香(30)と共に容疑者として名を連ねる“内縁夫婦”の石井陽子(54)、丹羽洋樹(34)の2人とは、逮捕の約10日前に都内で再会したばかりだったからだ。

 歩夢くんが冷たい土中に埋められたのは、今年1月中旬頃。A子さんが語る。

「2月の私の誕生日に、ケーキを持ってやってきたんです。2人に変わった様子は全くありませんでした」

 丹羽はA子さんの息子を抱き上げ、「大きくなったなあ」と笑顔を見せた。

「実は、石井からこれまでに何度か、『一緒に住もうよ』と誘われました。歩夢くんと一つ違いの私の息子も一緒に、と」(同前)

 A子さんの元夫・Bさんはこう補足する。

「A子は“洗脳”されていたんです。全ての元凶は石井。僕らの離婚にも大きく関わっています」

 2015年夏頃。結婚が決まったBさんにご祝儀を持ってきた同級生の一人が丹羽だった。その彼女として紹介されたのが、“中村あおい”と名乗る石井だ。

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 これを機に、2組は仲を深める。石井と丹羽が本庄から都内のBさん夫婦宅に通い、連泊していく“半同居”の関係が始まった。

 石井は、丹羽の“一つ年下”と言った。つまり、年齢を21歳もサバ読みしていたことになる。だが、石井は「老けて見えるとしたら、白血病の治療をした時の副作用」とうそぶいた。

「石井はフェリス女学院を出たお嬢様と自称。実家は広尾ガーデンヒルズ、父は会社をいくつも経営する大社長でプライベートジェットを所有し、兄はデイトレーダー。亡くなった母は広島出身の資産家だそうで、石井は語尾が『じゃけえ』になりました」(同前)

■「祖父は道場六三郎の師匠」

 石井は実際にBさん夫婦を連れて広尾ガーデンヒルズを訪ね、「あの守衛は子供の頃から知ってる」と挨拶をしたり、ホテルニューオータニの高層レストランで食事をするなどして、セレブ感を演出。西武百貨店の商品券を換金したり、吉野家の優待券を大量に持っていたこともあった。

 Bさんが続ける。

「料理人の祖父は道場六三郎の師匠だったと言い、実際に料理の腕は抜群。慣れた様子で築地市場を案内されたこともありました。丹羽も石井に心酔し、『持つべきは金持ちの彼女だよ』と自慢していた。ただ、厳格な石井の父に結婚を反対されているので、実家の資金力を頼れないんだと」

 石井は「物を知らない洋樹を、大学生の頃から私が育ててきた」と豪語し、丹羽は「あおちゃんに捨てられたら、俺は死ぬ」と言い切るような関係だった。

 やがてA子さんが息子を出産。すると「保育士の資格がある」という石井はオムツ交換やお風呂など、積極的に世話を買って出た。

 一方、その頃からBさん夫婦の自宅内では、不審な出来事が起き始める。

「よく家のお金がなくなったんです。結婚や出産のご祝儀もあり、消えたのは何十万円にもなる」(同前)

 そして決定的な“事件”が起きる。ある日、夫婦喧嘩後、A子さんがBさんの口座から100万円を無断で引き出し、姿を消したのだ。

 A子さんが真相を明かす。

■「『今の精神状態で大金を持っているのは危ないから』と言われ…」

「石井にそそのかされたんです。『家を出るなら今しかないよ』『お金を持って行きなさい』と。100万円を下ろすと、『今の精神状態で大金を持っているのは危ないから』と言われ、石井に80万円を預けました」

 結局、この一件がきっかけとなり、夫婦は離婚。離婚届の用紙を持ってきたのは、何故か石井たちだったという。かくしてA子さんはシングルマザーとなる。

 その後、石井らが元妻のA子さんに“寄生”し続けていた事実を、今回Bさんは初めて知ったという。

「僕は丹羽と石井から『投資詐欺に遭った』と泣きつかれ、100万円を貸しましたが、返済されず、奴らとは疎遠になった。だけど、A子は結婚していた時から石井にクレジットカードを貸したままだったんです」

 A子さんによれば、石井は「ポイントを溜めてあげる」と言葉巧みにクレカを預かり、それっきりに。利用分は石井が振り込んできたが、現在、債務が200万円も残った状態だ。

「世話になった石井に恩義を感じていたのも事実。歩夢くんの事件を知って目が覚めました」(A子さん)

 石井は「私がフォローするよ」「私に任せておけば大丈夫」と繰り返し、安心感と心理的な貸しを植え付けていく。気づけば孤立し、搾取されている。それが石井の“洗脳の手口”だった。

 実家住まいのA子さんが石井の同居の誘いに乗らなかったのは幸いだった。だが、石井にはすでに別のターゲットがいたのだ。

「本庄で、シングルマザーのC子さんの面倒を見ていると。息子の衣類で『サイズアウトしたのがあったらちょうだい』と頼まれていました。離婚にも関わったようで、石井はそちらの夫婦の話し合いにも参加したと言っていました。私と同じような状況だったのかもしれません」(同前)

■3人のシングルマザーを喰い物にした石井の正体は…

 そのC子さん宅こそ、夫と別居した柿本が、歩夢くんを連れて最初に身を寄せた場所だったのだ。2人は保育園のママ友同士。C子さんは石井らが住む借家の目と鼻の先に住んでいた。

「ともに友達が少なく、人に影響されやすいタイプに見えた」(園の関係者)

 ほどなく石井と接点を持った柿本母子は、居候先を現場の借家に移し、支配下に置かれる。以降、小奇麗な美人として知られた柿本は、髪はボサボサ、身なりもみすぼらしくなり、顔から生気が消え失せた。

 昨年9月。市内のラーメン屋で、丹羽が歩夢くんを正座させ、執拗に説教を続けていた。柿本は我が子を庇うどころか、無言でその様子をスマホ撮影。見かねた店主が「児童虐待の可能性がある」と市に通報したほどだ。だが、何食わぬ顔でラーメンを平らげ、会計の際、柿本を「仲の良いシングルマザーですよ」と愛想よく説明した石井こそが真の“黒幕”だった。

 3人のシングルマザーを喰い物にした石井。その正体は無職の中年女である。

 石井は埼玉県内で、競艇選手の父とスナック経営者の母の長女として生まれた。1度目の結婚は19歳の時。相手は父と同じく競艇選手で、2女をもうける。だが、夫は98年、40歳の若さで死去。その後は川口市内の男性と再婚した。

 一方、長らく空き家だった本庄市の現場民家に借主が現れたのは、今から12年前のことだ。住人は苗字の違う老人と老女、老女の息子の3人。実は、彼らはみな、後から4人目に加わる石井の身内だった。

「元競艇選手だという老人が石井の父、県南の家を売って越してきた資産家の老女が石井の義母、老女の息子が石井の2番目の夫のようです。この夫は、10年ほど前、40代で亡くなりました」(地元住民)

 そして、入れ替わるように登場したのが丹羽だ。他方、石井の父と義母は数年前、相次いでこの家から忽然と姿を消している。

「警察が毎日、家の敷地内を掘るなどして、捜索をしています」(近隣住民)

 石井が支配してきた築50年余の借家は、今も不気味な佇まいをみせている。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年3月24日号)

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