セクハラ、パパ活、性交動画…岸田政権「ハレンチ疑惑」報道をめぐり、ブレすぎるにもほどがある“野党の追及”

セクハラ、パパ活、性交動画…岸田政権「ハレンチ疑惑」報道をめぐり、ブレすぎるにもほどがある“野党の追及”

細田博之 ©AFLO

 日刊ゲンダイの一面のド派手さにはいつもやられます。使う言葉に目が奪われる。

「赤っ恥」「笑止千万」「デタラメ」「大マスコミ」「ペテン」……。

 なんとまぁ強烈なことでしょう。まさに『ゲンダイ用語の基礎知識』です。さて最近また素敵なゲンダイ用語が炸裂しているのです。こちらです。

『この国のハレンチ政治とハレンチ議長』(日刊ゲンダイ6月10日)

 ハレンチ! ハレンチ! 2度炸裂してます。

■産経新聞にも「ハレンチ」が…

 これはセクハラ報道のあった細田博之衆院議長について言っている。それにしてもゲンダイ用語だなぁと思っていたら、なんと「ハレンチ」が他媒体でも同時多発で使われ始めたのである。

『自民・吉川氏にハレンチ疑惑』(産経ニュース6月9日)

 ハレンチきた!

《自民党の吉川赳衆院議員(40)は9日、『NEWSポストセブン』に18歳の女子大生に飲酒させた上、高級ホテルでともに過ごし、現金4万円を支払ったなどと報じられた。吉川氏は当選3回で、岸田文雄首相率いる岸田派(宏池会)に所属しており、参院選を前に首相への打撃となりそうだ。》

 産経も思わず使ったハレンチ。これだけではありません。6月16日発売の週刊文春は、

『岸田ハレンチ政権「裏の顔」を撃つ』

 文春もハレンチ! ゲンダイ、産経、文春のハレンチそろい踏み。しかも文春のハレンチは多岐にわたっていた。「公明エリート候補は性交動画を違法公開」を筆頭に、細田議長、吉川議員、日銀の黒田発言などなどたくさん。岸田インフレならぬハレンチインフレだ。

 興味深いのは、政権や自民党内の対応である。

〈「説明責任を果たせないなら議員としての進退に直結する問題になる」(岸田首相)

「政治家は国民から疑惑を持たれるようなことがあった場合には自ら説明すべきだ」(松野官房長官)

「吉川議員には説明責任をしっかり果たしてもらいたいと考えている」(自民・茂木幹事長)〉

 上記は吉川議員に対するものだ。皆キッパリと言及している。しかし、同じハレンチ報道の細田議長に関しては見て見ぬふりなのである。同じ週刊誌報道なのに、この差は不自然すぎる。

 すると産経新聞の社説がすごかった。細田衆院議長に対する議長不信任決議案が反対多数で否決されたあとに『不信任決議を否決 細田氏は恥を知り猛省を』(6月10日)とバッサリ。

〈《公の場で国民に堂々と説明すべきである。国会が来週会期末を迎えるのをいいことに問題をうやむやにしようというのなら、三権の長として無責任である。細田氏は恥を知るべきだ。猛省を促したい。》

《細田氏を議長に推した古巣の自民の責任は重い。不信任決議案は否決されたが、細田氏に説明を促していくべきである。》〉

 どうした、いや、正論です産経師匠! 細田氏が一切説明していないおかしさが浮かび上がる。

 すると細田氏は「週刊文春」の記事で名誉を傷つけられたとして『細田博之・衆院議長 文春を提訴 セクハラ報道は「事実無根」』(毎日新聞6月17日)。

■セクハラ問題は他社まかせの新聞・テレビ

 産経社説の言うように、公の場で説明しなくていい国会閉会後まで待ったのだろうか。これでセクハラ疑惑について今後説明を求められたら「係争中の案件ですので」という便利なノーコメントも使えそうだ。

 モヤモヤはまだある。以前にも書いたが、実は政治家のセクハラ問題は新聞やテレビがいちばん「知っている」のではないか? 自社の政治部記者に詳しく尋ねたらどうなのだろう。なぜ今も文春まかせなのか。

 文春まかせと言えば、立憲民主党のプロセスも気になった。

《立民は当初、細田衆院議長に対する不信任決議案を7日に提出し、その後に内閣不信任案を出すことで、参院選に向けて攻勢を強める見せ場を2回確保することを狙った。だが、党内から「9日発売の週刊文春で細田氏の疑惑の続報が出るのを待つべきだ」との声が出たことで7日の提出を断念。》(読売新聞6月10日)

 え、「文春」待ち? こちらでも書かれている。

《内閣不信任案に先行して7日に細田氏不信任案を提出する方針をいったん固めたが、「文春(の記事)が出たら情勢が変わる」(国対幹部)などとして結局、文春がウェブ版に新たな記事を載せる8日まで提出を待った。》(毎日新聞6月10日)

■ブレすぎるにも程がある…立憲民主党の方針とは

 文春の記事待ちって……と思うのだが、さらにおかしいと思ったのは、立憲民主党は今年2月に次の方針を表明していたからである。

《馬淵氏は事実に基づく質疑を行う「ファクト重視」を掲げ、週刊誌などのスキャンダル追及で徹底対決した前執行部路線からの転換を図った。》(時事通信2月21日)

 こちらでも。

《立憲は昨秋の衆院選敗北を受け、「感情的に批判したり、週刊誌報道をなぞったりするだけでは政権を追い詰められず、支持も広がらない」と姿勢を転換。》(毎日新聞2月23日)

 いかがでしょうか。2月にここまで言っておいて国会閉会直前になったら「文春(の記事)が出たら情勢が変わる」だの「続報が出るのを待つべきだ」だの一体何を言っているのでしょう。ブレすぎにも程がある。こういう対応も「赤っ恥」「笑止千万」の“ゲンダイ用語”案件ではないだろうか。

 政権も野党もいろいろ悪手すぎるなぁと思ったのですが、以上ハレンチインフレのご報告でした。

(プチ鹿島)

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