“実家の片付け問題”から解き放たれる…五木寛之が提示する「捨てない生きかた」とは

“実家の片付け問題”から解き放たれる…五木寛之が提示する「捨てない生きかた」とは

『捨てない生きかた』(五木寛之 著)マガジンハウス新書

 不要不急なことは慎むべき。コロナ禍の行動様式は、いつしかモノの扱いにも影響するようになった。なるべく身の回りのモノを減らして生きる。それも悪くはないが、モノには思い出が宿る。捨てることだけが人の生きかたなのか? 半世紀以上の長きにわたり活躍し続ける大作家の静かな問いかけの書を、今、多くの人が手に取り、考えている。

「当初は『捨てる』ことをテーマにしようかと考えていました。でも、五木先生のご専門のひとつである仏教にも、『捨てる』ことを重視する発想があるとふと思い当たってお尋ねしてみたところ、『仏教は捨てるばかりじゃなく、捨てない仏教もある』と返されたんです。それが本のテーマに繋がって行きました」(担当編集者の武江浩企さん)

 読者の年齢層は60代、70代を中心に幅広い。

「このテーマに関する考え方は世代差が大きいように感じています。若い人は捨てることを重視し、上の世代ほど捨てたくない気持が強い。だから実家の片付けが問題になるわけですよね。そこに悩んでいる若い人がこの本を読むことで、少なくとも『絶対に捨てなければいけない』という思考の呪縛からは解き放たれている印象を受けます。五木先生は謙虚で、けして考えを押し付けない。ただ選択肢を提示するだけ。だからこそ、違う考えの人にも響くのでしょうね」(武江さん)

2022年1月発売。初版3万部。現在5刷10万部(電子含む)

(前田 久/週刊文春 2022年6月23日号)

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