「過激なポーズも取るし、アイドルイベントよりお得です(笑)」それは何のキャラ?という衣装も…増加する“新種コスプレイヤー”たち

「過激なポーズも取るし、アイドルイベントよりお得です(笑)」それは何のキャラ?という衣装も…増加する“新種コスプレイヤー”たち

©iStock.com

“クールジャパン”の代名詞ともいわれ、日本で独自の進化を遂げたカルチャー「コスプレ」。関連イベントは全国各地で催され、各メディアでも「コスプレイヤー」という肩書きで活躍するタレントをよく見かけるようになった。

 そもそもコスプレとは、「コスチューム・プレイ」の略で、マンガやアニメ、ゲームなどの登場人物やキャラクターに扮する行為を指す。しかし、いまやその定義も曖昧で、やってる本人がコスプレと言えばなんでもコスプレ。ハロウィンの仮装も、いつもと違った服を着てみただけでも、なにかに扮していればコスプレと呼ぶようになってきている。

 それだけに、コスプレイヤーと呼ばれる人たちも、その意識に差があり、様々な属性に分かれているようだ。そこで、コスプレに真摯に向き合うレイヤー女子に、不思議なコスプレ界隈について聞いてみた。

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■肩身が狭くなっている、“古のコスプレイヤーたち”

 夏川春香さん(仮名・30歳)は、コスプレ歴10年。あくまでも趣味として活動しており、本来の意味でのコスプレイヤーという自負があるそうだ。

「私は自分の好きなマンガやゲームのキャラクターのコスプレをする、ということをやってます。レイヤーのなかには、オタク界隈で盛り上がっている流行りの作品をいちはやく取り入れるというタイプもいますが、私はあくまでも自分が好きな作品を深めるという意味でコスプレするキャラクターを選んでいます」

 春香さんが主に活動しているのは「合わせ」と呼ばれる撮影会だ。仲間同士で担当するキャラを事前に決め、イベント会場や貸しスタジオなどに集合してその作品の世界観を再現するような撮影をする。お互いに顔を合わせたことがないレイヤーたちが、ネットの募集などで集まることもあるそうだ。

「私は衣装もイチからぜんぶ自分で作ります。いまは既成品もありますし、専門業者も多いので頼めばオーダーメイドしてくれます。でも私は古いタイプというか、コスプレ衣装というのは自分で作るものという意識がありますね」

 自作のコスチュームに身を包み、毎週末にはコスプレ撮影に出かけていたが、最近は年に数回程度と減っているという。

■コスプレイヤーの二極化

「スタンスが違うレイヤーと交流を持つことが増えて、だんだんダルくなってきたというのはありますね。レイヤーには、コスプレをして自分がチヤホヤされたい人か、作品を残したい人かの2種類いると思います。同じコスプレを趣味にしてても、魂の形が全然違う。

 私はいわゆる腐女子なので、コスプレは自分の好きなカップリングの同人誌を作りにいっている感覚なんです。もし私がマンガの同人誌を出せるくらいの画力があれば、コスプレはやってない」

 コスプレ界隈でも、チヤホヤされたいだけのレイヤーはすぐにわかるという。

「キャラより自分が先に出る人ですね。コスプレをしてても、そのキャラになりきれていない。そういうコの写真を見ると、同じメイクで同じ角度からとか、自分が一番かわいく見える写真しか上げないのが特徴です。

 逆にキャラクターになりたい、世界観を作り上げたいというレイヤーは、キャラによってメイクも全然違うし、なりきるためにまつ毛を切ったり、筋トレしたりとストイックなので、本当にスタンスが全然違う。自分を含めた後者は、ロケーションや小物にこだわるから、とにかく時間もお金もかかります。ただの趣味なので頑張ったほうがエラいという話ではないし、本当に大変なのでおすすめできないです。

 前者のレイヤーのほうが、気軽に楽しむ趣味としては正解なのかもしれませんね」

 自分を前面に出すようなレイヤーは、カメラ小僧が集まるオープンなイベントに出没するという。コスプレイベントは全国各地で頻繁に行われているが、なかには「18禁」という、未成年の入場がお断りというものもある。なぜ18禁なのか、実際に行ってみた。

■閉鎖的で淫靡なムードのイベントかと思ったが…

 会場は、普段は業界の見本市や試験の会場として使われているような広大な貸しスペース。そこに、各出展者のブースが並んでおり、見た目はコミケなどの同人誌即売会と同じだ。しかし、各ブースには過激な写真集やCD-ROMが並び、露出度の高いコスプレをした女子たちが待ち構えている。そこにカメラを携えた参加者の男性たちが押し寄せ、コスプレ女子と会話したり、個人撮影を楽しむといった趣向だ。

 18禁と聞いて、もっと閉鎖的で淫靡なムードのイベントかと思ったが、半裸のコスプレ女子も、参加者たちも明るく、和気あいあいとこの日を楽しんでいる。

 このような18禁コスプレイベントに参加を続けているサエコさん(仮名・28歳)に話を伺った。

「私は、普通のコミケに行って、コスプレをしたのが最初ですね。そこで写真を撮られるようになって、ネットとかでも名前出すようになった。本格的にコスプレイヤーとして活動をはじめて、徐々にこういうイベントにも参加するようになりました」

 現在は他に仕事をしておらず、コスプレ活動だけで生計を立てているという。

「自分で作った写真集やコスプレROMを販売したり、個人のカフェイベントや撮影会を開催して収入を得ているという感じですね。最近はあまり言わないですけど、以前は私みたいな専業は『プロ・コスプレイヤー』と呼ばれてました」

 サエコさんは、事務所に所属するわけでも、サポートしてくれるスタッフがいるわけでもなく、完全に独りで活動しているという。

「私の感覚だと、2014年くらいからコスプレイヤーに特化したイベントが増えてきた印象ですね。それでレイヤーやってる女の子増えましたけど、専業という人は半分もいないと思います。それ以外は普通に会社員だったり、他のお仕事をしているんじゃないかな?」

■個人で活動する「地下アイドル」のような存在か

 立場的には個人で活動する「地下アイドル」や「グラビアアイドル」に近いかもしれない。ただ、その活動内容や趣味嗜好によって「コスプレイヤー」となるようだ。

「最近はコスプレイヤーと名乗っていても、どんなコスプレをしているかは問われなくなってるかも。流行りのアニメのコスプレをしている人たちとは、まったく別の扱いになってきてると思います。やってる側も参加者も、そのあたりはまったく気にしてないですね」

 確かに、イベント会場のコスプレイヤーを見回すと、制服を着て猫耳をつけていたり、全身のラインが出るようなボディスーツを着込んでいる姿が見受けられたが、その元ネタはわからない。ただ、大きな胸だったり、豊満なお尻や長い脚など、それぞれの性的なポイントは強調しているようにみえる。

「やっぱり、個性という部分で、スタイルや露出度は重要だと思います。でも、ただ露出が激しいとか、若くて可愛いコが人気があるかというと、そういう世界でもないんですよ。ぽちゃ系で人気の方もいますし、もう20年以上やっていて、たぶん40歳を超えているような方も固定ファンがいていつもブースに行列が出来てたりします」

■撮影の時には過激なポーズも…「アイドルイベントよりお得」

 コスプレはコンテストではなく、趣味の世界なので、モノサシは人それぞれなのだろうか。

「本当にそうだと思います。単純に可愛い人はいくらでも入ってきますけど、消えていきますね。やっぱり有名な人は外見にも内面にも特徴がありますし、量産型の人はあんまり売れない。そういう普通の可愛さを評価されたいなら、他の世界に行くんじゃないですかね」

 参加者からみれば、メジャーなメディアには出てこないようなタイプの女性がいて、地下アイドルよりも身近でリアル。そこに惹きつけられるのかもしれない。

「全体的にファンサービスがいいというのもあると思います。いまはコロナで控えめですけど、撮影タイムでは密着しますし、お姫様抱っこやハグもある。撮影の時には、過激なポーズも取りますし、普通のアイドルイベントよりはお得なんじゃないかな(笑)」

 プロにとっては収入のためというのもあると思うが、なぜそこまで体を張るのだろうか。

「やっぱり、根底には自己承認欲求があるんじゃないですかね。コミケの広場とかでカメコさんに囲まれるとワーッとなりますし、こういうイベントで隣のブースより自分の列が伸びてたら嬉しい。マウントを取り合っているわけではないですけど、やっぱり自己顕示欲が満たされるというのはあって、それは収入とは関係ないですね。

 SNSでのフォロワーの数も気になりますけど、こういうイベントで実際にお客さんがたくさん来てくれると『私なんかでいいの?』と思いながらも気持ちいいですね」

 その快感があるから、過激な露出も恋人同士のような接触も厭わない。

「オジサンでも、どんな方でも、自分のブースに来てくれたら嬉しいので、そこは躊躇しません。私は別にアイドルになりたいわけでも、芸能界で売れたいという野望もない。自分の趣味の延長でやっていることで、そこそこ収入もあって、承認欲求も満たせるというのは、コスプレしかないのかもしれません」

 同じ「コスプレイヤー」というジャンルで括られていても、その内情や想いは様々。この、わかりやすいようで実はよくわからないという部分が、いかにも日本的な文化なのかもしれない。

(清談社)

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