ゴーン事件の“屈辱”を経て…正念場の文科省汚職で“勝利” 検事総長候補が洩らした一言

ゴーン事件の“屈辱”を経て…正念場の文科省汚職で“勝利” 検事総長候補が洩らした一言

森本宏次席検事。妻・森本加奈氏は最高検検事 ©共同通信社

“裏口入学”が刑事裁判で断罪された。次男の入試点数に加点してもらう代わりに私立大学助成事業に関して助言したなどとして、受託収賄罪に問われた文部科学省元局長、佐野太被告(62)。東京地裁は7月20日、懲役2年6月、執行猶予5年の判決を言い渡した。

「足かけ4年にわたる長期間の公判だったことや、次男は加点がなくても補欠合格していたことなどから、一部に無罪が出る可能性も指摘されていました」(司法担当記者)

 しかし、執行猶予が付いた以外は検察側の主張をほぼ“満額”で認める判決。佐野被告は無罪を主張してきたが、裁判長は「入試の公平性をないがしろにした」と一顧だにしなかった。

「この結果に一番胸をなで下ろしたのは、東京地検のナンバー2・森本宏次席検事でしょう」(同前)

 司法修習44期の森本氏は特捜部での経験も長く、「自他共に認める将来の検事総長候補」(同前)だ。総長は通例は“赤レンガ派”とよばれる法務官僚系から選ばれるが、森本氏は内閣官房副長官秘書官の経験もある“ハイブリッド型”。前後の期を見渡しても、他に適任者はないとされる。

「特捜部長時代には、リニア建設をめぐるゼネコンの談合や、秋元司元衆院議員によるIR汚職、日産のゴーン元会長の特別背任など大型事件を矢継ぎ早に手掛けました」(同前)

 だが、そのイメージとは裏腹に、森本氏の“戦績”は連戦連勝ではない。

■無罪判決が相次ぐ中、強気で手掛けた文科省汚職

「難事件の向こう傷ともいえますが、現場の検事として関わった事件では福島県知事汚職が無罪に近い有罪判決、降圧剤の論文不正が問題になったディオバン事件では昨年6月、無罪が確定しました。本人が会見で『最も印象に残った』と振り返っていたゴーン事件でも、今年3月、共犯のケリー元代表取締役は大半が無罪となり、検察が控訴しています」(司法関係者)

 とりわけケリー氏の判決では検察側が立証の柱に据えた「司法取引」の信用性がほぼ認められず、森本氏はこう洩らしている。

「屈辱だ。裁判所は司法取引をやらせたくないのか」

 無罪判決が相次ぐ中、公判が長引いていたのが、森本氏が特捜部長として最初に手掛けた贈収賄事件の文科省汚職だった。それでも森本氏は、

「絶対有罪にできる。(相手の)弁護士もやりやすいから」

 と強気だったという。

「否認事件だけあって、検察側の論告要旨は123頁に及んだ。公明・遠山清彦氏の貸金業法違反事件では僅か4頁だったことを思えば、その“本気度”が窺えます」(前出・記者)

 結果、一審では有罪判決となったが、佐野被告は控訴する方針。“検事総長候補”の正念場は続く。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年8月4日号)

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