「球団が適切な対応をしていれば…」急死した中日・木下雄介投手の妻が涙の告発

練習中に急死した中日・木下雄介投手の妻が涙の告発「球団が適切な対応をしていれば」

記事まとめ

  • 木下雄介選手は2021年7月6日、トレーニング中に倒れ、8月3日に27歳の若さで亡くなった
  • 妻・茜さんは「球団が適切な対応をしてくれていれば助かっていた」と文春で語った
  • 中日側は当時の対応について「問題があったというふうにはとらえていません」と回答

「球団が適切な対応をしていれば…」急死した中日・木下雄介投手の妻が涙の告発

「球団が適切な対応をしていれば…」急死した中日・木下雄介投手の妻が涙の告発

20年9月、初セーブを挙げた

 2021年7月6日、トレーニング中に倒れ、その約1カ月後の8月3日に、27歳の若さで亡くなった中日ドラゴンズ木下雄介投手。木下選手の妻・茜さんが「 週刊文春 」の取材に応じ、「倒れた時に球団が適切な対応をしてくれていれば、雄介は助かっていた。後遺症はあっても、今頃はこの家で、娘や息子と一緒に過ごしていた……」と、辛い胸の内を明かした。木下選手の急死後、茜さんがメディアに応じるのは初めて。

■『搬送が早ければ…』死の直接の原因

 中日で将来を期待された右腕だった木下選手の死は、世間に大きな衝撃を与えた。現役選手だったことに加え、倒れたのが、新型コロナのワクチン接種から僅か8日後のことだったためだ。

 あれから1年。茜さんは5歳の長女と3歳の長男を育てながら、懸命に前を向いている。だが片時も頭から離れない思いがある。“夫は、なぜ死んだのか”だ。茜さんが語る。

「主治医の先生からは、こう説明されました。『倒れた原因の一つは、新型コロナのワクチン接種。だけど、亡くなった原因は別にある』と」

 病理解剖の結果、木下選手は劇症型心筋炎を発症していたことがわかった。彼は倒れる8日前の6月28日、新型コロナワクチンを打っていた。主治医によれば、ワクチンで心筋炎を起こしていたところに激しいトレーニングをしたことで、不整脈の一種である心室細動を発症し、心肺停止になったと考えられるという。ただ死の直接の原因は別だった。

「搬送の遅れです。実は雄介が倒れてから、周囲が救急車を要請するまでに、6分もかかっていたことが分かったのです。それを主治医の先生に伝えると『搬送が早ければ助かった』と言われました」(同前)

■スタッフがAEDを探しに行ったのは、搬送要請の後

 渋る球団側から、木下選手が倒れた際の時系列が記された資料を受け取ったのは、昨年10月のこと。そこにはこう記されていた。

〈11時07分頃:ナゴヤ球場屋内練習場内、トレーニングルームにてS&Cのスタッフが木下選手の異変に気が付く〉(注:S&Cは「プロ野球ストレングス&コンディショニング研究会」)

〈11時13分(発信履歴):トレーナーが119番へTEL、救急搬送の要請〉

 6分間のタイムラグ。さらに救急隊が到着したのは11時17分と、倒れてから10分が経過していた。救命の現場では、心拍再開が1分遅れるごとに、救命率が10%下がると言われている。だがスタッフがAEDを探しに行ったのは、搬送要請の後だった。

■球団からの書面での回答は

 茜さんは、最初に異変に気付いたスタッフに話を聞いた。

「最初は、いびきをかいているのかと思うくらい大きな呼吸が聞こえたそうです。雄介は仰向けに倒れていて、近付いたら身体も硬直していた、と。でも『呼吸もあって、心臓も動いていたから、その時点では救急車を呼ぶ必要がなかった』と説明されました」(同前)

 納得できない茜さんは、球団がこの対応についてどう考えているのか尋ねた。すると昨年12月、球団から書面で回答があった。

〈担当スタッフ一同、最善の努力を尽くし救急対応に努めてくれました〉

■「問題があったというふうにはとらえていません」

 だが日本救急救命士協会会長の鈴木哲司氏は、こう断言する。

「日本の救急蘇生法では、呼吸はしているが“普段通りの呼吸”ではない、もしくは判断に迷う場合には心停止として考えて対応するという指針が示されています。勿論、医療従事者ではない人に判断は難しい。だからこそ、異変があった11時7分の時点で救急車を呼ぶべきでした」

 中日側はどう答えるのか。加藤宏幸球団代表を携帯で直撃した。

――木下選手が倒れた直後の対応について。

「はっきり申し上げますけど、問題があったというふうにはとらえていません」

 改めて中日に書面で質問状を送付するため広報担当者に連絡したが、ファックスでこう回答が送られてくるのみだった。

「双方とも弁護士に対応を委ねておりますので、弊社から直接回答することは控えさせていただきます」

■木下選手の死を無駄にしないために

 茜さんが嘆く。

「私は、ただ中日に、雄介に対する救命の遅れがあったことを認めて、救命講習を開くなどの改善策を講じてほしい。雄介の死を無駄にしてほしくはないんです。雄介もきっと、『俺の名前を利用していいから、二度とこういうことがないようにしていこう』と言っていると思います」

 木下選手の急死を巡り、何が起きていたのか。森繁和元監督が語る「雄介さんを獲得した理由」、中日が遺族に隠していた「補償金5000万円」の存在、メニュー表から消された倒れる直前のトレーニング内容、加藤代表が茜さんに言った“失言”、子どもたちと遊ぶ木下選手の元気な姿の動画など、8月3日(水)12時配信の「 週刊文春 電子版 」および8月4日(木)発売の「週刊文春」で詳報している。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年8月11日号)

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