〈メール入手〉広島県・平川理恵教育長の親密NPOに予定価格が漏洩 官製談合防止法違反の疑い

広島県教育長の親密NPOに予定価格を漏洩と文春報じる 官製談合防止法違反の疑い指摘

記事まとめ

  • 広島県教育委員会の教育長・平川理恵氏は「NPO法人パンゲア」と親密な関係にあるそう
  • 「平川氏の就任以降、パンゲアへの発注が急増しています」と広島県職員が明かした
  • 同教育委とパンゲアが交わしたメールには官製談合防止法に違反する疑いのあるものも

〈メール入手〉広島県・平川理恵教育長の親密NPOに予定価格が漏洩 官製談合防止法違反の疑い

〈メール入手〉広島県・平川理恵教育長の親密NPOに予定価格が漏洩 官製談合防止法違反の疑い

県教委が入る広島県庁

 平川理恵教育長(54)が率いる広島県教育委員会と、平川氏と親密な関係にあるNPO法人との間で、官製談合防止法に違反する疑いのあるメールが交わされていたことが「 週刊文春 」の取材で分かった。

 平川氏は、民間から登用された教育長として、メディアでも取り上げられてきた。

「平川氏は京都市生まれで同志社大学を卒業し、リクルートに就職。留学支援の会社を起業後、教育業界へ転身し、2010年からは横浜市で民間公募の中学校長に。文科省中央教育審議会の委員も務めた」(教育ライター)

 平川氏自身、特に広島に縁はなかったが、湯ア英彦知事から一本釣りで教育長就任を打診され、県議会の承認を受けて2018年に就任。1期3年で、昨年2期目に突入した。

「著書でも『イケてる教育委員会』を掲げ、従来の行政を『すぐに条例があるので無理ですという』と猛批判し、『バシバシとメスを入れる』と宣言。国際教育の充実やオンライン環境の整備など次々と改革を進めている。メディア露出も多く、一昨年にはNHK『あさイチ』でも特集されました」(同前)

「週刊文春」が独自に入手した疑惑のメールの日付は今年5月16日。

 表題は「工業高校女子生徒によるHP作成プロジェクトについて」。送り主は県教委高校教育指導課の係長級主査。送り先は、国際的な子ども同士のつながりを促す事業を手掛ける「NPO法人パンゲア」(京都市)の代表者・森由美子氏と副理事長・高崎俊之氏だ。

 メールでは「平川教育長から森様にもお伝えしていることと存じますが」と前置きしたうえで、事業の仕様書案を添付するなど詳細を説明。更に、

「実質190万円程度以内で本プロジェクトを実施する必要があります」

 と予算についても記載され、続いて直近に迫る5月下旬が「入札公告」、6月下旬が「入札・業者決定」などと細かなスケジュールも書き添えられている。

■平川氏就任後、パンゲアへの発注が急増

 一体なぜこんなメールが送られたのか。ある現役の広島県職員が、内情を告白した。

「これは『教育長案件』です。教育長の平川氏とパンゲアの森氏らはとても親密な仲なんです。平川氏の就任以降、パンゲアへの発注が急増しています」

 そこで、昨年4月から今年6月までの県教委の委託先一覧を確認すると、平川氏就任以前は一切発注を受けていなかったパンゲアが、この1年余りで少なくとも5件、計2300万円以上を受注していた。

 森氏のフェイスブックには、「平川理恵教育長とタイ飯」と、ともに食事をする一コマが掲載されている。他にも日頃からフェイスブック上で、出張する森氏に平川氏が「由美さん、行ってらっしゃいー」と呼びかける様が公開されており、親密さは一目瞭然だ。

 前述のメールで詳細が伝えられたHP事業を巡っては、業者決定に至る前の6月13日、平川氏と担当の部長、課長らで会議が開かれた。その場で平川氏はこう発言している。

「NPOによる指導については、県で予算化」

「パンゲアの高崎さんに金額の算出をお願いしている」

 前出の県職員が明かす。

「きちんと業者選定のプロセスを踏む前から、平川氏が主導してパンゲアの関与ありきで話が進んでいた。でも結局、パンゲアから『190万円では無理』との返事があったことで公告自体を取りやめ、予算を増額したうえで来年度に実施する段取りになったようです」

 公正取引委員会OBで行政の契約に詳しい平山賢太郎弁護士が語る。

■官製談合防止法違反の疑いがある

「事業の公告前に『190万円』という予定価格その他の情報を漏らしている。この行為には官製談合防止法違反の疑いがあります」

 今年1月には建設コンサルへの発注を巡り、情報を事前に漏洩したとして、官製談合防止法違反で富山市の職員が逮捕され、6月に有罪判決が下された。

「この事件では公告の8日前に提案限度額などを漏洩したことが違法とされましたが、今回のケースも酷似しています」(同前)

 広島県教委に質問状を送ると、メール送信や平川氏から森氏への事前の連絡は事実と認めた上で、概ね次のように回答した。

「メールについては事業を実施するか未定の段階において、大まかな費用の見込みや、具体的な事業内容を検討するために参考意見を求めたものであり、他の複数の事業者に対し、同様の対応を行っている。官製談合防止法に違反するものではないと捉えている」

 だが、「同様の対応を行った他の事業者名は?」と尋ねると、「お答えできません」とした。

 パンゲアも広島県教委とのやり取りなどは認めた上で「一般的な専門家へのヒアリングという認識でした」と答えた。

 8月3日(水)12時配信の「 週刊文春 電子版 」および8月4日(木)発売の「週刊文春」では、広島県の現役職員の告白の詳細、平川氏と森氏らが作っている「バラトゲの会」の存在、平川氏とパンゲアの家族ぐるみの付き合いなどを詳しく報じている。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年8月11日号)

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