【再逮捕】《大阪・1億5000万円保険金変死事件》「保険料を勝手に上乗せして顧客のカードで…」逮捕された高井凜容疑者(28)が、保険会社をクビになった“完全にアウト”な悪事とは

【再逮捕】《大阪・1億5000万円保険金変死事件》「保険料を勝手に上乗せして顧客のカードで…」逮捕された高井凜容疑者(28)が、保険会社をクビになった“完全にアウト”な悪事とは

事件現場となった高井直子さんの自宅 ©文藝春秋

 昨年7月、大阪府高槻市に住む高井直子さんが自宅の浴槽で変死体となって発見された事件。真犯人が見つからない今年7月、親族の同意を得ないまま違法に高井さんと養子縁組になる手続きを踏んだとして、高井(旧姓・松田)凜容疑者(28)が有印私文書偽造・同行使の疑いで逮捕されていた。

 8月10日、警察は高井容疑者を、クレジットカードを不正利用されたと偽って購入代金をだまし取った詐欺の疑いで再逮捕した。独身で一人暮らしだった高井さんには合計1億5000万円にも上る生命保険がかけられており、死因は溺死。何者かに首を絞められたような跡が残っていたという。保険金の受取人は高井凜容疑者だった。なぜ2人は“養子縁組”を結んだのか。事件の背景を追った当時の記事を再公開する(初出:2022年7月22日、年齢、肩書等は当時のまま)。

「亡くなった高井直子さんの契約を取った時、あいつは『銀行系出身の資産家のおばさんで高額な契約がとれたわ』と得意げに自慢していました。年間の保険料だけで500〜1000万円だと言っていましたが、まさかその裏で顧客と養子縁組をして、自分で保険料をもらうなんてえげつないことをしていたとは……」(高井凜容疑者の保険会社時代を知る知人)

 総額1億5000万円の生命保険を契約した女性が溺死し、疑われたのは契約に携わった保険外交員の男だった――。2021年7月に大阪府高槻市の民家で高井直子さん(当時54)が死亡した件に関連して、大阪府警は直子さんの養子である高井凜容疑者(28)を、有印私文書偽造・同行使の疑いで逮捕した。養子縁組の際に虚偽の届け出をしたと見られている。

 死亡した直子さんは自宅の浴槽で全裸で発見され、顔は一部水に浸かった状態だった。死因は溺死。一見すると事故のようだが、大阪府警は今年2月時点では“他殺”だと確信していたという。ある全国紙の社会部記者が解説する。

◆ ◆ ◆

「2021年7月26日に、直子さんが勤めていた都市銀行のグループ会社を無断欠勤し、会社から連絡を受けた親族が自宅を訪れました。親族が合鍵で部屋に入ると、直子さんが浴槽で亡くなっていたそうです。事故の可能性もありましたが遺体からはアルコールや薬物は検出されず、通帳や現金70万円が入った封筒がテーブルに放置されていたことで金品目当ての線もすぐに消えました。司法解剖の結果、両手首を結束バンドで巻かれた跡が見つかり、直子さんは縛られて抵抗できない状態で浴槽に沈められて死亡したことが判明しました。すぐに凜容疑者が捜査線上に浮上し、数日後には保険会社関係者の聞き込みを開始。昨年の秋には凜容疑者の自宅も殺人容疑で家宅捜索しています」

■「身寄りのない直子さんが後継ぎとして養子縁組を打診してきた」と証言

 この事件が注目を浴びた最大の理由は、直子さんが死亡前に総額1億5000万円の生命保険に加入し、その受取人が死亡の5カ月前に養子縁組をした凜容疑者だったことだ。凜容疑者は2021年2月に直子さんと養子縁組し、姓を「松田」から「高井」に変えている。そして直子さんの死亡後、預金など数千万円を相続人として受け取ったという。

「直子さんは2社合計で1億5000万円の生命保険に加入していましたが、そのうち1つは凜容疑者が在籍していた大手外資系保険会社のもの。凜容疑者は保険会社を退職したあとに直子さんの養子になり、保険金の受取人を自身に変更したことがわかっています。凜容疑者は捜査に対して『身寄りのない直子さんが後継ぎとして養子縁組を打診してきた』と話していますが、財産狙いで接近した可能性も高い。

 しかも凜容疑者は実は既婚者で妻がいるのですが、養子縁組の際には妻と実父の署名を偽造したと見られていて、今回はまずこの容疑で逮捕しています。そして大阪府警の本命はもちろん殺人容疑での立件でしょう」(同前・社会部記者)

 殺害された直子さんの自宅には、事件発生から1年が経過した今も黄色いビニールテープが張られ、ものものしい空気が漂っている。数年前まではこの家で母と同居していたが、母が介護施設に入った後は一人暮らしをしていたという。近隣住民のひとりは直子さんについて、「堅実というか真面目な印象。養子縁組の話は知りませんでした」と驚きを口にする。

■凜容疑者はアメフト部出身の体育会系

 一方で、凜容疑者はド派手な生活を送っていたようだ。高校時代からの知人は凜容疑者の華麗なる経歴をこう説明する。

「松田(高井凜容疑者)は兵庫県西宮市出身で、関西学院高等部時代はアメフト部に所属していました。高校3年でクオーターバックとして日本代表に選出されたこともあり、関西学院大でもアメフト部に所属していたバリバリの体育会系です。大学を卒業後も大手外資系コンサルファームに入り、その後に直子さんが契約を結んだ保険会社に転職しました。2020年に退職してからは金融系ベンチャーに入り、最近は『FXで稼いでいる』と周囲に吹聴していたようです。家は赤坂の高級タワマン、愛車は黒のランボルギーニ。インスタの写真もモデル風のポーズで、稼いでるなぁと思っていました」

 体育系出身の自信満々な性格でプライドが高く、豪遊ぶりを周囲にも見せつけていた凜容疑者だが、保険会社時代の評判はかんばしくなかった。東京での保険会社時代を知る知人は、当時の凜容疑者についてこう語る。

「松田は保険の営業マンとしてはコンサル時代の知人や体育会系のコネで契約を取ることも多く、仕事自体はそこそこの成果を残していたようです。ただ同僚からの評価は最悪でした。いつも言動が上から目線で、年や営業成績が自分より下の相手には本当にキツくあたるんです。契約目前で失敗して後輩が落ち込んでいた時も『こんな仕事ができん理由がわからん、クソやな!』と容赦がない。プライドの塊のような男ですから、自分の成績が落ちて立場が危うくなることだけは避けたかったんでしょうね」

■「なんで俺が会社を辞めなあかんのか、意味わからんわ!」

 凜容疑者のプライドは、ついに大きな問題を引き起こす。「重大なコンプライアンス違反」を引き起こし、保険会社を去る直接の理由となった。

「顧客に説明した保険料に勝手に上乗せして、クレジットカードで払わせていたことが会社にバレたんです。しかも松田は担当していた複数の顧客に同じことをしていたようで、結局会社から懲戒処分を受けて事実上のクビになりました。体育会系特有の押しが強い営業スタイルでしたが、松田がやったことは強引どころか完全なアウト。それでも会社を退職する時は、荷物をまとめながら『なんで俺が会社を辞めなあかんのか、意味わからんわ!』と周囲に聞こえるようにグチを言っていたようです」(同前)

 凜容疑者は養子縁組の署名の偽造について「大筋で合っているが、違うところは違う」と容疑を一部否認しているという。真相解明が待たれる。

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