酷暑もツルッと乗り切れ!「揖保乃糸より美味しい?」そうめんレビュー数世界一のマニアが激推しする《日本全国そうめんランキング》

酷暑もツルッと乗り切れ!「揖保乃糸より美味しい?」そうめんレビュー数世界一のマニアが激推しする《日本全国そうめんランキング》

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 夏がまた本気を出してきた――。

 朝からギラギラした日差しに焼かれ、息苦しいほどの熱帯夜を過ごす日々。夏バテ防止のために何か食べないといけないのに、なかなか食事が進まないという人も多いのではないでしょうか。

 そんな厳しい日本の夏にそっと寄り添ってくれるのが「そうめん」です。しかし一口にそうめんと言っても味わいはいろいろ。もちろん鉄板そうめん「揖保乃糸」は美味しいですが、世の中にはまだまだ知らない美味しいそうめんが存在しているかもしれません。

 そこで、約150種のそうめんを食べてブログでレビューしてきた筆者がそうめんの基礎知識とともに「これはうまい!」と唸らされたそうめん15種を紹介した記事を再公開。今夏を乗り切るための“食卓の相棒”をせひ探してみてください(初出2021年9月10日)。

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 ▼ 「すぐにランキングを見たい!」という人はこちら

■2種類のそうめん

 そうめんの代名詞と言えば揖保乃糸。日本でもっともよく食べられている手延べそうめんで、口にすれば誰しもが「そうめんはやっぱり揖保乃糸だなぁ」と呟きたくなるおいしさです。

 日本全国どこにでも揖保乃糸はあります。しかもこれがそうめんの中でも最高クラスにおいしいというのはすごいことです。

 さて、ここで「おや?」と思われた方もいるかもしれません。ここまで「そうめん」という言葉と「手延べそうめん」という言葉が出てきました。あえて書き分けているのですが、ここがとても重要なポイントです。

 というのも、そうめん(広義)には「手延べそうめん」と「そうめん(狭義)」があるからです。後者は機械麺・機械そうめんとも呼ばれているのですが、両者はまったくの別物です。

 では、手延べそうめんと機械麺の違いは手作りか機械製かの違いかというと、そうではありません。

 手延べそうめんは生地を太い麺状にして、よりをかけながら徐々に細く延べていきます。その工程において機械が使われることもあるのですが、手作業で延べる工程も必ず含まれています。一方、機械麺は機械で生地を薄い板状にして細く裁断します。

■おいしいそうめんを食べたければ、手延べそうめんを

 つまり、手か機械かという違いもあるのですが、延べるか裁断するかという違いが手延べそうめんと機械麺の本質的な差で、もっと言えばおいしさの差にもなるということです。

 そうめんが粉っぽかったり、ヌメッとしていたり、ドロドロしていておいしくなかったという経験はありませんか? おそらくそれは機械麺だからです。手延べそうめんでそんなことはまずありません。もし、おいしいそうめんを食べたければ、手延べそうめんを選んでください。

 手延べそうめんか機械麺かはパッケージ裏の品質表示を見ればわかります。手延べそうめんは「手延べそうめん(手延べ干しめん)」、機械麺は「そうめん(干しめん)」と書かれています。

■手延べそうめんの産地

 奈良県の三輪(桜井市)がそうめん発祥地と言われています。ここから全国にそうめんの製法が伝わりました。

 手延べそうめんの4大産地と言われているのは三輪、島原、小豆島、播州。ここでは細かいこと(※)を書き切れないので、「手延べそうめんにはこんな産地があるんだな」くらいに思ってください。

※「細かいこと」の一例:三輪そうめん、播州そうめんは一般名詞だけど、三輪素麺、播州素麺は登録商標。三輪素麺はすべて手延べそうめんだけど、播州素麺は(おそらく)すべてが機械麺、などなど。

■手延べそうめんをおいしく食べるコツ

 手延べそうめんの醍醐味はプチプチッと弾けるような強い歯切れ・コシ、ツルッとした滑らかなのど越しにあります。手延べそうめんをおいしく食べるには、以下のようなことを気にしてみてください。

 まず茹で方。たっぷりのお湯で茹でます。茹であがったら、冷水でしっかりと洗って冷やしてください。これはそうめんを締めるという以外に、表面に残っている塩分や油分を洗い流すという意味もあります。

 次に盛り方。水にさらすと涼し気ではありますが、そうめんが水っぽくなります。水にはさらさず、そのまま盛り付けることをおすすめします。

 最後に食べ方。ひと口目はぜひ何もつけずにそのまま食べてみてください。また、そうめん評論家のソーメン二郎さんが推奨していることですが、特にいい手延べそうめんはオリーブオイル・塩で食べるのもおすすめです。「そうめんってこんなにおいしいんだ」「そうめんによってこんなに違うんだ」ということがおわかりいただけるはずです。

■そうめんマニアが唸ったおすすめそうめんランキング

 ではここからはお待ちかねの「そうめんランキング」を15位からご紹介しましょう。筆者のブログではすべてのそうめんを5段階の★で評価しているのですが、以下は★5のそうめんが中心です。

■15位 手延半田めん
(小野製麺/徳島県美馬郡つるぎ町半田地区)

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 小野製麺の手延半田めんは半田そうめんなのですが、料理研究家・土井善晴さんの父親・土井勝さんが半田めんと命名しました。半田そうめんは太いのが特徴で、うどんのようなシコシコとしたコシ、ツルリとしたのど越しが気持ちよく、食べ応えがあります。

■14位 喜之助 そうめん 細口
(真砂喜之助製麺所/小豆島)

 小豆島の手延べそうめんは太めのものが多く、また、ごま油を使うというのも特徴です(国内ごま油シェア1位・かどや製油は小豆島で創業)。

 この喜之助も「細口」とありますが、一般的なそうめんに比べると太めです。プリッとした弾力で、舌触り、喉越しは滑らか。米袋のようなパッケージがおしゃれなので、プレゼントにもピッタリ。オーガニック食品・自然食品などを扱うお店によく置かれています。

■13位 肥後手延 ゆきやぎ
(麺舗 ゆきやぎ/熊本県熊本市)

“日本一細い”とも言われているそうめんで、直径はわずか0.4mmほど。茹で時間はなんとたったの18秒。細すぎてそのままではごわつくため、たっぷりの麺つゆに浸してすすると、サラサラと吸い込まれていきます。細さが生み出す小気味のいい歯切れが気持ちいい。

■12位 川上の糸
(川上製麺/長崎県南島原市)

 もっともよく見かけるそうめんが島原素麺(ほとんどが機械麺)、島原手延べそうめんではないでしょうか。スーパーのプライベートブランドでも島原のそうめんが採用されていることが多く、誰しもが一度は目にしたことがあるはずです。

 ムチッ、プリッとした弾力で、優しい味わい。歯切れも風味も穏やかなので、一瞬、物足りなさを感じるかもしれません。ところが、不思議なことにこれが止まりません。どんどん食べ進めたくなります。作り手の気持ちが伝わってくるような温もりのあるそうめんです。

■11位 大門素麺
(末永次八氏・となみ野農業協同組合/富山県砺波市大門地区)

 大門素麺には末永次八氏が作る青袋と、複数の生産者が作るとなみ野農業協同組合の白袋の2ブランドがあります。長い麺が丸まげ状に巻かれていて、ふたつに割って茹でます。ムチッ、プリッとした穏やかなコシなのですが、地元産小麦の甘みがとても強く味わい豊か。

■10位 三輪素麺
(三輪そうめん小西/奈良県桜井市)

 多数のメーカーが三輪素麺という商品をリリースしています。三輪素麺は奈良県三輪素麺工業協同組合の登録商標で、同組合の定める厳格な基準をクリアしたそうめんでないと三輪素麺と名乗れません(三輪素麺はすべて手延べそうめん)。

 三輪素麺は細さに応じて、神杉、緒環(おだまき)、瑞垣(みずがき)、誉(ほまれ)と等級が分かれていて、束紙の色も異なります。この三輪素麺は黒い束紙の誉。三輪素麺の中では一番“太い”のですが、それでも一般的なそうめんよりも細く、プチプチッとした小気味のいい歯切れ、滑らかなのど越しが快感です。

 スーパーでそうめんを選ぶ際、「どれがいいかな?」と悩んだら、パッケージに「三輪素麺」と書かれた商品を選ぶことをおすすめします。三輪素麺ならまず外しません。

■9位 三輪の神糸
(マル勝高田商店/奈良県桜井市)

 スーパーでもっともよく見かける三輪素麺がマル勝高田商店のそうめんかもしれません。三輪の神糸も三輪素麺なんですが、とても細く、中心に芯が通っているかのような力強いコシがあります。三輪素麺は値段が高いことも多いのですが、三輪の神糸は揖保乃糸と変わらないお手頃価格なのも嬉しいところです。

■「こんなそうめんがあったのか!」

■8位 PREMIUM 小豆島手延素麺
(銀四郎麺業/小豆島)

 小豆島のそうめんですが細いです。特徴的なのはそのコシ。噛んだ瞬間はムニッとした小豆島のそうめんらしさを感じるのですが、麺の中心部にそれとは明らかに異なる太くてしっかりとしたコシの層が出てきます。「こんなそうめんがあったのか!」と驚きました。

■7位 菊川の糸
(山崎製麺/山口県下関市菊川町)

 プツプツプツッという気持ちのいい歯切れは、気泡緩衝材をプチプチプチッと潰すあの感覚に通じるものがあります。口内が楽しいそうめん。現在、菊川町にそうめん生産者は4軒しか残っていません。ぜひ多くの方に菊川素麺のおいしさを知っていただきたいです。

■6位 雲仙の白糸
(川ア/長崎県南島原市)

 雲仙の白糸も島原手延べそうめんです。一般的なそうめんの内容量・300gに換算すると237円でした。手延べそうめんとしては尋常ではない安さです。けど、噛むとブチブチブチッと雪崩のごとく弾け、私が食べたそうめんの中でもトップ3に入るコシの強さでした。

■マツコ・デラックスさんも絶賛のそうめん

■5位 手のべ素麺
(手のべ陣川/長崎県南島原市)

 湿度を最適に保つため、製麺所の屋根や床にまでこだわってそうめんを作っている手のべ陣川。そんな陣川が作り出す手のべ素麺はブチブチッという歯切れがして、小麦の風味も豊か。力強さを感じさせてくれるそうめんです。「マツコの知らない世界」(TBSテレビ)でマツコ・デラックスさんも絶賛していました。

■4位 手延べ素麺
(池利/奈良県桜井市)

 こちらは全国に店舗展開しているグルメストア・久世福商店のプライベートブランドですが、製造者は池利で、実質的には三輪素麺です(池利は三輪素麺の中心的存在)。三輪素麺の特徴は細さとブチブチッという強い歯切れ。この手延べ素麺も細くてコシが強く、これぞ三輪素麺!と膝を打つおいしさです。

■3位 島原手延そうめん 藤の糸
(本多兄弟商会/長崎県南島原市)

 少し太めで、噛んだ瞬間のプリッとした食感は小豆島のそうめんを彷彿とさせます。ところが、噛み切る際にはプチプチッという強い歯切れがして、こちらはまるで三輪素麺のよう。いろいろな産地のそうめんの特徴を併せ持ったかのようなハイブリッドなそうめんだと感じました。私が今期食べたそうめんの中でナンバーワンです。

■2位 坂利の手延素麺
(坂利製麺所/奈良県吉野郡東吉野村)

 奈良県の山間にある坂利製麺所は三輪素麺に倣い、そうめん作りを始めました。坂利の手延素麺は三輪素麺よりも穏やかで、歯切れはムチッ、プリッ。風味も優しめです。

 私はブチッという強い歯切れのそうめんが好きなので、この弾力は好みではありません。けど、作り手の想いが乗ったこのそうめんに、思わず「ああ、いいそうめんだなぁ」とため息が漏れました。人の嗜好さえも無化するそのおいしさ……好みから外れているにもかかわらず、私はブログで例外の★6をつけました(★6はふたつだけ)。

■生産量がわずかで入手困難だが、おいしさは感動的

■1位 南関そうめん
(生産者不明/熊本県玉名郡南関町)

 今となってはほとんど見られなくなった、すべてが手作業で作られているそうめんで、長い麺を8の字に曲げて乾燥させているというのが大きな特徴。とても細いのですが、一本一本がしっかりと主張して、ブチブチブチッという強烈な歯切れは頭蓋骨にも響くほど。私のブログでの評価は例外の★6です。

 生産量がわずかで入手困難ですが、もし機会がありましたらぜひ一度お試しください。このおいしさは感動的です。

■番外編 北海道そうめん
(はたけなか製麺/宮城県白石市)

 これまでの15種は手延べそうめんでしたが、あえてひとつだけ機械麺を取り上げてみました。正直、機械麺でおいしいものは少ないのですが、これにはびっくり。過去最高においしい機械麺のそうめんでした。しかも300g換算で約120円と激安で、コスパ最高。

■そうめんは揖保乃糸だけじゃない!

 確かに揖保乃糸は素晴らしいそうめんです。私も大好きでよく食べます。けど、揖保乃糸以外にも、そして揖保乃糸以上においしいそうめんはたくさんあります。ぜひこれを参考に自分好みの手延べそうめんを探してみてください。

 こんなに細いのに、こんなに違うんですから、そうめんって何気に奥が深いですよ。

(後藤 ひろし(ひろぽん)/Webオリジナル(特集班))

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