都電が通ると揺れるサウナ&おばんざいが絶品の下町居酒屋をはしご!これぞ世界遺産に認定すべし。

都電が通ると揺れるサウナ&おばんざいが絶品の下町居酒屋をはしご!これぞ世界遺産に認定すべし。

遠くからでも目に付く看板

 サウナでととのい、感覚が研ぎ澄まされたあとの晩酌は、何物にも代えがたい魔力を秘めている。日本中のサウナと酒場に行き倒してきた筆者が“ととのい気分で極上サ飯を巡礼”する企画、それが日本サ飯紀行である。

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■知られざるサウナタウン大塚

 大塚。都電荒川線と山手線が乗り入れ、文京区、豊島区、北区と隣接し文化が交錯するカオスな街。北口側には角海老ボクシングジムをランドマークとする雑多な飲み屋が、南口には天祖神社を中心に多国籍な飲食店が立ち並ぶ。

 昔の大塚を知っている方なら別の町と思えるほど再開発で綺麗になった駅南口を出て、サンモール大塚商店街を天祖神社の方に登っていく。昔ながらの店が立ち並ぶ、入り組んだ細い路地を抜けると、黄色と赤の派手なデニーズカラーに彩られた看板とレトロなロゴが飛び込んでくる。

 サウナニュー大塚。1階は大塚記念湯という、脱衣場の天井には宇宙のイラストが施されている、ポップでキッチュな正統派銭湯だ。銭湯の入口でサウナ利用を告げる。入場料1000円と館内着に大小タオルが入ったバッグを受け取り、内階段で2階へ。

 そこには昭和の香りのする心安まる休憩スペースが広がっている。いつ来ても香ばしい。その先が脱衣場。ロッカーの外側にはフックがついており、バッグをそこにひっかけることが出来る。

 細やかな気遣いに感謝し昭和にワープした気持ちで、ゆっくりと浴室に入る。中は非常にクラッシックでバイブラ湯と電気湯と水風呂がそれぞれというシンプルな造り。

 お目当てのサウナ室はガスストーブがセンターに鎮座し、100度を超える強烈な熱さで客を蒸し続けている。当然セッティングはカラカラの昭和ストロングスタイル。サ室を出るとすぐ横に水風呂。この日は水温17度。冷たすぎず、適度な温度を保っており気持ちが良い。

 浴室の奥には小さな扉があり、そこから外に出れば、そこは『時間ですよ』に出てきたような物干し場。往年の堺正章が出てきて「街の灯り」でも歌い出しそうな雰囲気だ。

 無造作に並べられているととのい椅子に座れば、都電荒川線の走行音と共鳴するかのようにかすかに感じる心地よい揺れ。ここは4DXサウナ劇場かのような臨場感。でもこれはまぎれもないリアル体験。感傷的な気分にどっぷり浸りながら、これを数回くりかえした結果、“ととのい泣き”の境地にまで到達。

■料亭の名残が点在する通りを歩きお目当ての店へ!

 店をでて外気を感じながらゆったり散歩する。ここは外国人も多く、ハラルマーケットを横目にお目当ての店を目指し大塚三業地へ。かつて花街だったこのストリートには、なべ家という老舗の江戸料理店があった事でも知られている。今、往時の面影はほぼないが、かつての料亭の名残はかすかに点在している。

 少し歩くと、まるで『男はつらいよ』に出てくるかのような小さなお店が見えてくる。居酒屋種子島。引き戸を開けると出迎えてくれるのは大女将と若女将。4席の小さなカウンターと横には入れ込みの小さな座敷。そこにちょこんと腰掛け、にっこり微笑む大女将。

 注文が来るまでの間、種子島ご出身という大女将と世間話。昔は亡くなられたご主人と二人で切り盛りされていたのを、今は娘さんが引き継がれているという。頃合いで供される切り干し大根のお通しと生ビール。冷えたジョッキがありがたい。

 のどを潤し、切り干し大根をつまむ。うん、優しい味付けだ。お通しは毎日変わり、他にはナスの煮浸しなど、季節によって変わるという。カウンターに並ぶ常連さんはまったりとテレビを見ている。時間の流れがとてもゆっくりで心地がよい。

 カウンターの上には大皿に乗った家庭料理の数々。心づくしの料理は娘さんが担当している。定番の短冊メニューとホワイトボードには手書きの日替わりメニュー。この日はアジフライとビーフシチューを頼む。

■アジフライ、ビーフシチューのお味は……

 果たして供されたアジフライはカリッと揚がっていてビールがこの上なく進む。複雑なことは一切していないが、その仕事の丁寧さが妙に心にしみる。レモンサワーに切り替え、喉を潤しているとビーフシチューが到来。添えられたフランスパンをあてに飲む。シチューの味が優しく、温かい。

 サウナからの昭和ノスタルジーのコンボにやられ、ほろ酔い気分で2軒目へ。次の目的地は飲めるタコ焼き屋、天王寺はち八。

 カウンターに座りハイボールと明石焼き+たこ焼き6個のもりもりセット1680円を注文。

 紅ショウガと青ネギがトッピングされたたこ焼きと明石焼きが綺麗に盛られ、つけ汁が小鉢にたっぷりと張られ供される。

 明石焼きを箸でつまみ温かいつけ汁につけてほおばれば、瞬く間に口の中はサウナ状態。すかさずバイブラ付き水風呂(ハイボール)で口の中を潤す。まさに交感神経と副交感神経がせめぎ合っている。余韻という外気浴でいい気分になってから今度はたこ焼きへ。

 外はカリカリだが、中はトロッとしていて柔らかい。生地にほんのり香るダシがここでも効いている。濃厚なソースの味をハイボールで洗い流す。ああ至福…。気分はまるで東京の下町から大阪の下町への小旅行。ハイボールをグビリとやり一息つき、メニューを眺める。

 他にもネギ焼き、豚平焼き、カレーそばめしなどアテになりそうな魅力的なメニューから、イカ焼きをオーダー。

 粉もの祭りのトリを飾るイカ焼きは、ぷりぷりのイカがダシの利いた生地にくるまれてホックホク。ジャンクな味わいに水風呂(ハイボール)が進む。

 調子に乗って最後はハラミステーキまでオーダー。さっきビーフシチューを食べた罪悪感を感じつつ鉄板で焼くハラミの柔らかい食感に酔いしれながら完食。

 南口のサウナニュー大塚にはじまり、北口にはカプセルイン大塚もあり、1駅先には巣鴨サンフラワー、2駅先には駒込ロスコ。都内きっての一大サウナエリア大塚に、サウナ目的で4畳半の風呂無しアパートを借りることが今の私の目下の目標だ。

INFORMATION

●サウナニュー大塚
東京都豊島区南大塚3-38-15
03-3986-0126

INFORMATION

●種子島
東京都豊島区南大塚1-54-3
03-3945-6518

INFORMATION

●天王寺 はち八 大塚本店
東京都豊島区南大塚3-53-3万葉ビル 1F
03-3590-5688
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(五箇 公貴)

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