朝日は“高級な背広”、産経は“和服”……日本の「6大新聞」その傾向と対策

朝日は“高級な背広”、産経は“和服”……日本の「6大新聞」その傾向と対策

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 先日、「印刷する前の新聞紙がネット通販で人気」というニュースを知って妙に感心した。新聞は読まないけど新聞「紙」なら欲しい人が増えていると。「引っ越しの荷造り用」とか「ペット飼育の中敷き」等に便利という。この方々は新聞を12紙購読している私なんて信じられないだろう。

 そんな私が最近よく聞かれるのは「なぜ新聞を読むのか?」。販売店の方からも社員に話してほしいと言われる。新聞の将来に不安を感じている人が少なくないことを感じるが、私は「ネットニュースが主流になればなるほど新聞はますます重要になる」と答えている。

 ここ数年「フェイクニュース」が問題だ。誰かを有利・不利にするためのものもあれば、単に悪意から発生するものもある。何が真実かややこしい時代、「この情報は誰が発信しているのか」を皆が気にするようになった。でもいちいち発信元を確認するのはけっこう面倒くさい。

 だったら「今こそ新聞を利用すれば?」と私は言っている。私たちの代わりにプロが情報を精査しているのだから、それを利用すればいい。

■新聞は「最も新鮮なメディア」?

 新聞社からネットメディアへ転職した方と話したら「記者を育成するためのトレーニング(実地経験を通じた人材育成)のノウハウやシステムは、やはりまだ圧倒的に新聞社が優れていると痛感した」と言っていた。取材記者をたくさん揃えていて、かつ取材のノウハウをきちんと体系的に体得できる組織は、まだ新聞社以外にはあり得ない、とも。

 それを聞いて私は確信したのだ。古いメディアだと軽視されるほど、新聞を利用する人には「おいしい」のだと。最も新鮮なメディアと言えるかもしれない。

 でも新聞は小難しい。学生なら授業などで社説や天声人語的なコラムを読めと言われるだろうが、若い人にとっては正直面白くないはず。私も学生の頃はそうだった。しかしあるときふと思った。新聞のあの偉そうな雰囲気を逆手に取って「擬人化」してしまえばいいのでは? と。

■朝日新聞は“プライド高めのおじさん”

 社説の面白さは、お笑いで言ったら大御所の師匠が若手に対していちいち小言を言う場面に似ている。「また師匠がブツブツ言っているよ」と思うようにしたら、社説を楽しめるようになってきた。すると各社のキャラも見えてきた。私は各紙をさらに擬人化してみることにした。

『朝日新聞』は“高級な背広を着たプライド高めのおじさん”

『産経新聞』は“いつも小言を言っている和服のおじさん”

『毎日新聞』は“書生肌のおじさん”

『日本経済新聞』は“現実主義のビジネス一筋おじさん”

『東京新聞』は“問題意識が高い下町のおじさん”

『読売新聞』はずばり“ナベツネ”

 これは拙著『芸人式新聞の読み方』(2017年)で発表したのだが、そのあと仕事でお会いした各社の記者が嬉しそうに「当たってますね」と喜んでくれた(社によっては小声でした)。

■新聞の「1塁側」と「3塁側」

 そして今あらためて私が提案しているのは、新聞を野球場で喩える「見方」だ。

 安倍政権という野球場では、1塁側(ホーム)にいるのが、読売・産経だ。政権と親和性が高い、もしくは政権を支持している新聞。対して、3塁側(ビジター)が朝日・毎日・東京だ。政権に距離を置いている、もしくは批評的である新聞。

 たとえば森友学園問題をいち早く報じたのは朝日新聞であった。それを受けて毎日新聞や東京新聞が連日報じ、国会で話題になったときに、読売新聞と産経新聞がやっと報じ始めた。どの新聞が1塁側なのか、3塁側なのかを考えながら読むと、立ち位置が分かりやすく面白い。

 朝日や毎日や東京新聞は政権に目を光らせている。そもそもジャーナリズムとはそういうものだが、読売や産経もきちんと役に立っている。現政権が何を考えているかを知るには便利だからだ。読売には政権情報や首相周辺の言葉がよく載っている。政権の動向や気分を知りたい人にはむしろ必読なのである。これも新聞の有効な使い分けだ。

■重要なのは自分の考えと反対の新聞も読むこと

 もしこれを若い方が読んでいるなら、一つだけアドバイスしたい。新聞を読むときに重要なのは自分の考えと近い新聞だけを読むのではなく、反対の新聞も読むことだ。一気に新聞が楽しくなるはずだ。同じ風景だけを見るより、反対側の席からも見たほうが「ああ、こちら側からはこういう見え方なのか」と思い、発見もある。新聞を野球場の席で喩えたのはそんな理由もある。ネットだけでは自分好みの見方に偏ってしまう。そんな人こそ新聞を利用すればいい。すでに気づいている方もいるかもしれないが、新聞を「信じよう」ではなく「利用しよう」というのが私のスタンスです。

■新聞は汚い言葉は使わずに代理で論争してくれる

 SNSは便利だが、自分の居心地の良い居場所に固まる場合がある。論争となればなおさらで、お互いに遠くから言葉をぶつけあっているようにも見える。もうちょっと相手の陣地に入って見てみるくらいのことは必要なのではないか。そんなとき「代理」の機能を果たすのが新聞の読み比べなのである。新聞は汚い言葉は使わずに代理で論争してくれるのだから、見物しない手はないのだ。

 さて、2018年は新聞にとって有意義な年だったと思う。朝日新聞の「財務省による公文書の改ざんをめぐる一連のスクープ」は世の中を騒然とさせた。いくらネットで事足りるといっても、依然として新聞が放った記事が世の中心となり、政治にも影響を与えたのだ。毎日新聞の「公文書クライシス」というキャンペーン報道もニュースと並走しつつ、さらに問題点を提起した。

 人々に考えるきっかけを与えた点では、新聞はまだまだ衰えてないとアピールした年だった。新聞が元気だと毎朝ポストから取り出す瞬間がたまらない。2019年も朝からドキドキさせてほしい。

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