「承認欲求を満たしたかった」ニセの議員バッジで外務省侵入 なぜ簡単に出入りできたのか?

「承認欲求を満たしたかった」ニセの議員バッジで外務省侵入 なぜ簡単に出入りできたのか?

警備員が立つ外務省の入り口 ©共同通信社

 元首相暗殺の衝撃も覚めやらぬ霞が関で、またも警備の不備が発覚した。偽物の国会議員バッジを付けて外務省に出入りしたとして、警視庁麹町署が8月31日、建造物侵入の疑いで藤本叶人容疑者(22)を逮捕したと発表したのだ。

 藤本容疑者は8月24日午後、スーツ姿に国会議員バッジを付け、外務省の本庁舎に正面玄関から堂々と出入りしていたという。

 警視庁担当記者の話。

「その日の夜に外務省から『不審な男が入り込んでいたようだ』と通報があり、藤本容疑者が浮上した。調べに対し、『偉い人の気分になりたかった。承認欲求を満たしたかった』などと供述しています。他に厚労省、国交省、経産省に出入りしていたことも分かっており、『この男がテロリストだったら……』と霞が関は大騒ぎになりました」

■藤本容疑者は議員バッジをどう入手したのか

 国会議員バッジ、正式名称「議員記章」は衆院が赤紫色、参院が紺色の台に金色の菊の紋章をあしらったもの。親指ほどもない大きさだが、効果は絶大だ。というのも、大半の官庁は現在、ゲートにカードをピッとつけて認証する仕組みだが、現役官僚は「国会議員は実質的にバッジを確認するだけで通す運用になっている」と明かす。

 そんな貴重な代物を藤本容疑者はどう入手したのかと言えば、「ネットで偽物を購入しただけ」(前出・記者)。だが、本物の議員バッジの入手もそんなに難しいことではないようだ。

■国内では相当な個数が出回っている

 国会関係者が話す。

「議員バッジは選挙に通るたびにもらえるため、ベテラン議員は多数のバッジを持っています。それを、予備用、地元用と上京時用などと分けたりしている。所定の金額を払えば購入できる仕組みで、返却義務も実質ありません。現役国会議員は700人余りで、選挙のたびにその数のバッジが支給されるわけですから、国内では相当な個数が出回っていることになります」

 また、議員バッジにはデザインが似通った「OBバッジ」もある。現職国会議員になりすまして新幹線グリーン券を騙し取ったとして今年5月、逮捕された元参院議員はグリーン券購入の際にこのOBバッジを使っていた。

 警備関係者が嘆く。

「そもそも入手も偽造も簡単なバッジで、国家の中枢への出入りを認めること自体がおかしい」

 だが実は首都の警備の要である警視庁でも、数年前までは警視庁の英文の頭文字を模した簡単なデザインの通行証をかざすだけで、出入りできたのが実情だ。

 警視庁関係者が言う。

「うちも大議論の末にカード認証を導入したが、国会議員の先生方にそれをお願いするのは……」

 大規模な国葬を9月27日に控える中、軽微な警備では心もとない。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年9月15日号)

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    文春の下劣記事が執拗に垂れ流し放題の闇の方が怖いけど。

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