〈画像あり〉「子供を産めない人を傷つけて平気なのか!」Twitterが大バズリした鴻上尚史を襲った「香ばしいリプライ」の数々

〈画像あり〉「子供を産めない人を傷つけて平気なのか!」Twitterが大バズリした鴻上尚史を襲った「香ばしいリプライ」の数々

100万回以上も表示された鴻上氏のツイート(画像:鴻上尚史Twitterより)

「バカは殺してもいいということですか」“賢い動物は食べてはいけない”と考える女性を黙らせた鴻上尚史の言葉 から続く

 2019年2月、表示回数100万回を超えるツイートを発信した劇作家の鴻上尚史さん。そんな彼に送らてきたメンションの中には、「私には子供がいませんが、つらいです」とか「虐待から目を背けないで下さい!」など、鴻上氏に対する批判めいたものも。この現象について氏が思ったこととは?

 鴻上氏が週刊SPA!で連載した「ドン・キホーテのピアス」から、選りすぐりのエッセーを集めた『 人間ってなんだ 』より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/ 前編 を読む)

◆◆◆

■ツイッターと想像力

「僕は作家なので想像力はそれなりにあると思っていたのだが、子供を持って初めて『虐待によって殺された子供のニュース』がつらすぎて、なるべくなら見たり聞いたりしたくないという気持ちになる。子供を持つまでこんな気持ちになるなんて夢にも思わなかった。自分の想像力なんて大したことないと思った」というツイートをしたらバズりました。

「インプレッション」というユーザーに表示された回数が、100万を超しました。すると、いろんなツイートが飛んできました。

「私には子供がいませんが、つらいです」とか「虐待から目を背けないで下さい!」とか「子供を持たないと分からないと言いたいのですか!」とか「子供を持ちたくても持てない人を傷つけていることが分からないのか」とか、まあ、香ばしいのがたくさんきました。

「ブレイクすることは、バカに見つかること」と言ったのは、有吉弘行さんだったでしょうか。

 100万を超すと、本当に予想外のツイートが飛んできます。これもまた、自分の想像力なんてちっぽけなものなんだなあと思わされます。

「子供を持てない人を傷つける、こんなツイートはしないように気をつけよう」というのもありました。

 僕が書いたツイートは、想像力について語ったものです(とまあ、あらためて書くのもナンなんですが)。

 僕自身、子供を持つことでこんなに胸潰れるような気持ちになるとは、夢にも思いませんでした。

 もちろん、子供を持つ前から、虐待のニュースはとても悲しく感じました。けれど、子供を持つと、その感覚が想像のはるか上だったのです。

 で、「当事者にならないと分からないことってあるんだなあ。悔しいけれど、どんなに想像力を働かせても、当事者の思いに届かないことってあるんだなあ」と感じたのです。

「震災にあった人の気持ちも、ガンを宣告された人の気持ちも、子供を交通事故で亡くした人の気持ちも、許されない恋に落ちてしまった人の気持ちも、親を介護している人の気持ちも、どんなに想像力を働かせても分からない部分があるんだろうなあ」

 この発見は驚きでしたが、けれど、ネガティブなことではないと感じました。

■「当事者の苦しみは、自分の想像力の結果より、はるかに深い」

 この発見によって、僕は謙虚になる自分を発見したのです。

「どんなに想像力を働かせても分からないことがあるんだ。当事者の気持ちに届かないんだ」

 そう思えれば、「きっと、私が想像する以上につらいんだろうな。私が単純に想像するレベルじゃないんだろうな」と思えるのです。

「どんなに想像力を働かせても、当事者の実感にかなわない」ということは、つまりは「自分の想像力で他人の感情や状況を判断してはいけない。たいていの場合、当事者の苦しみは、自分の想像力の結果より、はるかに深い」ということを教えてくれるのです。

 どんなことでも、一度、自分が当事者になると、その時の気持ちに自分で驚きます。そして、当事者になる前の自分は、分かっていたと思っていたけれど、分かっていなかったんだなと気付くことができるのです。

 去年の11月、母親が脳梗塞で倒れました。

 それまで「脳梗塞」という単語は、ドラマの中にしか出てこないものでした。

 故郷で倒れ、飛行機に飛び乗り、病院にかけつければ、そこには、半身が麻痺し、意識がない母親がいました。

 その姿を見た瞬間、涙が溢れてきました。が、泣いてる場合ではないので、感情を押し殺しました。

 あの時から、親を介護している人の話や親が亡くなった人の話は、胸に迫るようになりました。

 そして、本当に大変だなと、感じるようになりました。

■鴻上尚史が見た希望

 蛇足ながら、「子供を産めない人を傷つけて平気なのか!」というようなツイートに対して、僕の代わりに「鴻上はそういうことを言いたかったんじゃない」と、たくさんの人が嘆きつつ書いてくれました。

 でもまあ、こういうツイートは、数百ほどでした。全体では100万ですから、とんでもないツイートをする人は、全体の0.1%もいないと考えられます。

 これは、希望だと僕は思っています。

(2019年2月)

(鴻上 尚史)

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