「昔は『女優としてのイメージ』を気にしていたけど…」水野美紀48歳が妊娠・出産後に“攻めたキャラ”を演じるようになったワケ

「昔は『女優としてのイメージ』を気にしていたけど…」水野美紀48歳が妊娠・出産後に“攻めたキャラ”を演じるようになったワケ

水野美紀さん ©佐藤亘/文藝春秋

「10年前に子どもを産んでいたらと思うとゾッとする」43歳で“高齢出産”した水野美紀(48)が振り返る、5年間の育児生活 から続く

 交際0ヵ月から42歳でスピード婚し、翌年、出産。俳優の水野美紀さん(48)が、突然はじまった怒涛の子育てを綴ったエッセイの続編『 水野美紀の子育て奮闘記 今日もまた余力ゼロで生きてます。 』(朝日新聞出版)を刊行した。

 母となってからも「怪演」と呼ばれる刺激的な演技で注目を集める水野さんだが、かつては「空っぽになった」こともあったという。13歳から芸能界で活躍し、今またバラエティやドラマなどで引っ張りだこなのはなぜか。その驚きの理由を聞いた。(全2回の2回目/ 1回目 から続く)

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■妊娠がわかってから慌てて「子あり」の生活を考え出した

――水野さんは42歳のときに3歳年下の俳優・唐橋充さんと結婚し、翌年出産。キャリアも順調でライフスタイルも固まっているタイミングでガラリと生活を変えることに不安はなかったですか。

水野美紀さん(以下、水野) たしかに13歳から仕事優先で生きてきたので、ずっと家庭を持つイメージが持てなかったんですよね。子持ちの知り合いから「美紀ちゃんにも幸せになってほしい」と言われても、「……今も幸せですけど?」みたいな反発を覚える気持ちもありました(笑)。

 正直、年齢的に子どもはむずかしいだろうと半ば諦めの思いで過ごしていたこともあり、妊娠がわかってから慌てて子ありの生活を考え出したような感じです。

――お酒をよく召し上がっていたそうですが、それもむずかしくなりますよね。

水野 独身時代は本当によく飲んでいました(笑)。それまでの人生は夕方からが本番、みたいな感じでしたけど、子どものおかげでお日さまと一緒に生活する真人間に引き戻してもらいました。今は夜の10時に電話が鳴ると「こんな夜中に何事!?」って思います。

――しかし、13歳から仕事をしているってすごいですね。もともと俳優志望だったのでしょうか。

水野 役者をやるために16歳で福岡から上京して、一人暮らしをしていました。「連ドラの主役」が目標になっていましたし、事務所の人からも期待されている気がしていましたが、27歳のときにそれが叶ったら、途端にどうしていいかわからなくなってしまったんですよね。

――年齢的にも転職を考えたり、結婚・子作りがちらつく時期ですよね。

■演じることを切れ目なく続けてたら、自分が空っぽに

水野 ずっと目の前のことに必死で、求められるものに合わせて演じることを切れ目なく続けてたら、自分が空っぽになった感じがあって。「自分の人生じゃない人生」みたいな気がしてきていたので、これはマズいのではと思っていました。

 そんな30歳直前のある休日、前日に深酒して昼くらいにリビングで目が覚めたことがありました。その瞬間にふと、「子持ちの友だちは朝の5時から起きて、今まさに命を育ててるんだよな」と思ったら、猛烈になにかしなきゃいけない思いに駆られたんです。そこから演劇にのめり込んで、作品を生み出すことに心血を注ぐようになったんですけど。

――その演劇の世界で、現在のパートナーである唐橋さんに出会ったそうで。

水野 交際0ヵ月で籍を入れました。お互い40歳前後で、ここで結婚しなかったらもう一生しなそうだな、と思ってそのままいってしまったという感じです。

――交際0ヵ月で結婚できたというのは、やはり会ったときからしっくりきたからでしょうか。

水野 彼の舞台を見たのが最初の出会いでしたが、「なんて素敵な役者だろう」とびっくりして。役者としての才能に惚れたんです。そうやってひとつでも尊敬できるところがあったら結婚しても大丈夫、となにかの本で読んだことがあったので、じゃあいけるかなって(笑)。

■仕事のパートナーとしては「やりにくい(笑)」

――ニュースサイト「AERA dot.(アエラドット)」の連載をまとめた『 水野美紀の子育て奮闘記 余力ゼロで生きてます。 』シリーズでは、唐橋さんがイラストレーターとして挿絵を担当されています。仕事のパートナーとしてはどうですか。

水野 やりにくいです(笑)。彼はめちゃくちゃこだわるから、毎回徹夜して描いていました。私の原稿をもとに唐橋がイラストに取り掛かることもあり、締切前になると無言の圧がかかってきますし。

 そういえば「AERA dot.で連載やってるのにイラストのオファーが全然こない」と一時期落ち込んでいました(笑)。

――唐橋さんのイラストはシンプルな線に見えて描き込みが凄まじく丁寧というか、本当に緻密で。本作はまさに共同作業だったかと思いますが、そもそもお二人は俳優として同業者です。「同業者夫婦」のやりにくさってありますか。

水野 私は彼の舞台を見るたびに、すごい役者だなと思っていますね。あと彼も、私の作る舞台に対してアイデアをくれたりして一緒に面白がってくれるので、あんまりバチバチすることもなく。 

 強いていうならお金の管理でしょうか。夫は衝動的な買い物が多いんですよ。

■夫の衝動買いにイラっと…

――たとえばどんなものを?

水野 3年前は、スノーピークの「エントリー2ルーム エルフィールド」というテントでした。8~9万円もするというので躊躇したんですけど、「仕事がんばるから!」「もっと稼ぐから!」って言うのでつい……。

 あとは、幼稚園受験の面接に着ていくためのスーツを買ってきたことがあったんですけど、「紳士服量販店で買ってね」と言ったのに7万円もかかって……。店員さん3人に囲まれて逃げられなかったらしいんですけど、イラッとしました。

――スーツってお勤めの人じゃないと着る機会ないですしね。

水野 そうなんですよ。私も渋々ネットでお受験用の紺のスーツを買ったんですけど、ああいうグッズって足元見てますよね。

――購入場所は伊勢丹とか代官山のセレクトショップとかじゃないんですね。

水野 だって信じられないくらい高いですから! 普段着ないし自分の着たいタイプの服でもないので、とにかく手頃なもので済ませました。

――著名な俳優さんはブランドものできめられるかと思っていました。というか、水野さんは本当に稀有な存在といいますか、映画ではフルヌードになり、『奪い愛、冬』(テレビ朝日系)では鬼女を嬉々として演じられ、『突然ですが占ってもいいですか?』(フジテレビ系)をはじめとしたバラエティにも出ながら、ご自身の演劇ユニットを主宰されています。

水野 そうですね。草の根をかき分けて、後ろに道を作りながら進んでいるなと思っています。

■呼んでもらえるものにはなんでもチャレンジしたい

――お子さんができてからより攻めたキャラを演じていますが、“お母さん”イメージがつくことで仕事が減るとか、そもそも子育てで体力的・時間的にもキャリアがストップするのではないか、みたいな恐怖心はなかったですか。

水野 『探偵が早すぎる』(読売テレビ・日本テレビ系)で共演した滝藤賢一さんは4児の父なんですけど、滝藤さんは子どもが増えるたびに不思議と大きな役が舞い込んできたそうで、「子どもが幸運を運んでくれる」と話していて。

 私も、妊娠してすぐの仕事が『奪い愛、冬』の蘭役で、イメージを刷新することができたのではと思います。周りの役者を見ても、子どもができてステップアップする人は意外と多いですし、みんなやっぱり「食わせていかなきゃ」というメラメラしたものが出るのかもしれません。

――私も子育て中でして、子どもの学費のことで頭がいっぱいだからか、1文字打つ度に「チャリン」とお金の音が聞こえます。水野さんも、教育費のこととか考えますか。

水野 めちゃくちゃ考えますね。私の仕事なんていつどうなるかわからないので、稼げるうちに稼いで、呼んでもらえるものにはなんでもチャレンジしようと思っています。幅広い役柄を振ってもらえるように白髪染めしたり体型維持したりして、若作りも頑張っているところですよ。

 でも、昔は「女優としてのイメージが」とかを考えて仕事を選んでましたけどね。

――俳優さんなら当然そうですよね。今は「女優としてのイメージ」は気にしないですか。

水野 最近わかったんです。結局、何をやろうが人は3ヵ月で忘れます。で、いくらでも自分のイメージなんて更新していけるんですよ、続けていれば。だから、自分が続けている限りは恐れることなく、学費もあるし、なんでも挑戦して稼いでおこうと思っています(笑)。( 著書抜粋記事 に続く)

撮影=佐藤亘/文藝春秋
ヘアメイク=面下伸一(FACCIA)
スタイリスト=山下友子

◎衣装情報

・シャツ¥48,400(YOHJI YAMAMOTO/ヨウジヤマモト プレスルーム)
・シャツワンピース¥48,400(YOHJI YAMAMOTO/ヨウジヤマモト プレスルーム)

・ピアス¥22,000(Grossé /グロッセ・ジャパン)

・眼鏡¥36,300(MOSCOT/MOSCOT Tokyo)

・その他スタイリスト私物

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(小泉 なつみ)

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