「育児は想像以上に男性には分からないもの」水野美紀(48)が気付いた子育て中のママとパパに起こる“根本的なすれ違い”とは

「育児は想像以上に男性には分からないもの」水野美紀(48)が気付いた子育て中のママとパパに起こる“根本的なすれ違い”とは

水野美紀さん ©佐藤亘/文藝春秋

「昔は『女優としてのイメージ』を気にしていたけど…」水野美紀48歳が妊娠・出産後に“攻めたキャラ”を演じるようになったワケ から続く

 交際0ヵ月から42歳でスピード婚し、翌年、出産。俳優の水野美紀さん(48)が、突然はじまった怒涛の子育てを綴ったエッセイの第2弾『 水野美紀の子育て奮闘記 今日もまた余力ゼロで生きてます。 』(朝日新聞出版)を刊行した。ここでは同書より、「出版イベント」を抜粋して紹介する。(全2回の1回目/ 2回目 に続く)

◆◆◆

■出版イベントで1時間半トークするプレッシャー

 先日、出版イベントなるものが催され、この度書籍化されたエッセイ『余力ゼロで生きてます。』をお買い上げ頂いた200名程のお客様の前で、編集担当のKさんとトークをしてきた。

 当日はあいにくの雨で、足元も悪く冷え込む中、小さなお子さん連れの方々もたくさんいらして下さった。

 トーク時間が1時間半も設けられていたので、正直かなりプレッシャー。

 かたや、稽古中であった芝居では、1時間半お客様を楽しませるために、ストーリーを練り稽古を重ね音楽や照明を駆使して披露するというのに、こちらは蛍光灯の下、無音でただのトークの1時間半。

 無謀としか言いようがない。

 担当のKさんなんて、数日前から瞳孔が開き気味なのである。

 当日は11月22日。「良い夫婦の日」ということで、夫の写真を大きなパネルにして横に置きたいのですが、と打診を頂いた。

 その日、夫は舞台の本番中で登壇は叶わなかったからである。

 なので、私は等身大の夫の全身写真が用意されるのを想像していたのだが、全然違った。

 A4サイズの、四角い顔写真だった。

 どう工夫して持ったとしても、遺影感滲むそのパネル。

 トーク中には壇上に飾られた花の前に置かれたものだから、余計に滲んじゃってんじゃないか!

■赤ちゃんのぐずる声、幼児たちのはしゃぐ声がBGMに

 トークが始まってすぐに赤ちゃんが泣き出し、ベビーカーを押して会場の外に出ようとしたママに、

「全然気にしないでください、外に出なくて大丈夫ですよ」 

 と私はお願いした。

 シーンとしただだっ広い会議室のような無機質な空間。 

 花の前に飾られた夫の写真。

 余計な緊張感しか生まないその状況を、赤ちゃんの声が打破してくれた気がしたのだ。

 赤ちゃんのぐずる声、幼児たちのはしゃぐ声、それらがBGMとなり、会場の空気を和やかにしてくれた。

 そして遺影感が滲んでしまっている夫の写真について触れると爆笑が起きた。

 やはりみんなそう感じていたということである。

 その頃、舞台上で刀片手に真剣に芝居しているであろう夫。

 たまプラーザでこんな風にいじられているとは夢にも思わないだろう。 

 かくして私とKさんは、1時間半しゃべりまくった。

 これから孫の出産を控えているという方や、抱っこ紐に赤ちゃんを抱いている方、まだ結婚の予定すらないという方、高齢のご夫婦、小さいお子さんを2人連れて家族で来てくれた方、幅広い年代の方がご来場下さった。

 生後数カ月の赤ちゃんからご高齢の方までだから幅広い。めちゃくちゃ幅広い。

 これ以上の幅広さがあろうか。

 執筆していた頃は、自分と同じように、赤ちゃんを抱えて奮闘中のママたちに向けてピンポイントで書いている感覚があったが、こうして本を手にとって下さった方々を前にして、確かに誰しも母のお腹で育って産まれて来るのであるから、出産や子育ての経験談というのは全くの他人事ではないのかもしれない、と改めて思った。

■育児は想像以上に男性には分からないもの

 男性の方も多くいらして下さっていた。

 そのイベントで私のヘアメイクを担当してくれたOさん(2児の父)には、「子どもが小さい時に読みたかったな」と言われ、なぜかと聞くと、自分は忙しくてあまり子育てを手伝わなかったが、妻は大変さを一切口にして言わない人だったので、こんなに不安を抱えていたり孤独な思いや大変な思いがあったなんて想像すらしなかった、と。

 わかっていたら、もうちょっと助けることができたかもしれないのに、と。

 そう言われて思ったのは、育児は想像以上に男性には分からないものなのだ、とこちらも想像して、伝えるテクニックを駆使しなくては、ということだ。

 パパたちは、赤ちゃんに対して自分が分からないことでも、ママなら本能的に分かるのだろう、と想像するらしいのだ。

 ところがどっこい、ママだってパパと同じように分からないことだらけで不安なのだ。 

「察してほしい」は難しいのだ。

 伝え足らずになりがちなママ、察せないパパ。

 初めて子育てをする家庭では、これがスタンダードなんじゃなかろうか。 

 ここをベースにお互いの作戦を立てていけたら建設的。

 そんな風に思った。

■まさかこんなところに辿り着くなんて

 思い返せば、やっぱり最初の3カ月の大変さは桁違いで、その時期にはとにかく借りられる手を全て借りて乗り切るべきだと私は思う。

 そこからちびの睡眠時間が延びるにつれて、こちらの睡眠時間も延びて、少しずつ楽になるような感覚はあるけど、大変さの質が変化しているだけのような気もする。 

 会場にいらした先輩ママからは、

「ずーっと大変ですよおーー! 大変さの中身は変わっていきますけど」

 という実感のこもったアドバイスも頂いた。

 我々の必死で拙いトークを、会場の皆様は温かく見守って下さった。

 トークを終えてからは、とにかく赤ちゃんやおちびちゃんたちに触れて回っては癒された。

 連載を始めた頃には、まさかこんなところに辿り着くなんて想像しなかった。

 本当にありがたく、感慨ひとしおなひと時でありました。( 2回目 に続く)

撮影=佐藤亘/文藝春秋
ヘアメイク=面下伸一(FACCIA)
スタイリスト=山下友子

◎衣装情報

・シャツ¥48,400(YOHJI YAMAMOTO/ヨウジヤマモト プレスルーム)
・シャツワンピース¥48,400(YOHJI YAMAMOTO/ヨウジヤマモト プレスルーム)

・ピアス¥22,000(Grossé /グロッセ・ジャパン)

・眼鏡¥36,300(MOSCOT/MOSCOT Tokyo)

・その他スタイリスト私物

「若い頃は甘い結婚生活を夢見るが…実際は小競り合いを繰り返す」水野美紀(48)がそれでも“楽しい世界”を想像して暮らす理由 へ続く

(水野 美紀)

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