「私たちは“国際合同結婚式”を応援します」産経新聞になぜ「統一教会」を称える広告が載ったのか?〈1992年の謎〉

「私たちは“国際合同結婚式”を応援します」産経新聞になぜ「統一教会」を称える広告が載ったのか?〈1992年の謎〉

合同結婚式の様子

〈私たちは“国際合同結婚式”を応援します〉

 1992年8月12日、産経新聞の紙面にこんな意見広告が掲載された。韓国のソウルオリンピックスタジアムで統一教会による合同結婚式が大々的に開催されたのは、その13日後、8月25日のことである。

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■校名不詳の大学教授ら約100名が広告に名を連ねる

 紙面の下半分、7段を使って大きく掲載された広告の文面は、統一教会を称える美辞麗句のオンパレード。

〈国際合同結婚式は、悩める世界に明るい光を与えてくれるものと確信いたします〉〈統一教会は、国際結婚を通じて、民族間に横たわるさまざまな障壁を乗り越えています〉

 広告主は「国際合同結婚式を支持する学者・文化人の会」。代表世話人の福田信之・元筑波大学長、世話人の金山政英・元駐韓大使と政治評論家の細川隆一郎氏(すべて故人)をはじめ、校名不詳の大学教授ら約100名が名を連ねた。

「会の連絡先は、統一教会の信者で運営されている『世界平和教授アカデミー』と同じでした」(教団関係者)

■教団の巧みな情報統制に屈していくワイドショーやスポーツ紙

 当時、同年6月の「週刊文春」スクープを機に、元新体操女王の山﨑浩子、歌手の桜田淳子、元バドミントン日本王者の徳田敦子らが次々と合同結婚式への参加を表明。

「以降、統一教会は彼女たちを『祝福三女王』と呼び、広告塔の役割を担わせる戦略を取り始めた」(同前)

 桜田らの結婚相手を知りたいワイドショーやスポーツ紙などは、教団の巧みな情報統制に屈していく。

■なぜ産経新聞に広告が掲載されたのか?

 対して一般紙は世間の狂騒に静観を決め込んだが、異彩を放ったのが産経新聞だった。広告にはこうある。

〈これを「反社会的行為」として非難する声もあります。しかし、それは明らかに、現憲法の保障する「信教の自由」「婚姻の自由」を侵害するものです〉

 当時、霊感商法や正体を隠した勧誘が社会問題化していた教団への肯定メッセージを、全国5大紙の1つ、産経が掲載したのだ。しかも8月18日にも再び、同じ広告を載せている。

■産経新聞社広報部に広告掲載の経緯を聞いてみると…

 産経といえば日本を代表する保守紙。一方、統一教会の文鮮明教祖は68年、反共産主義を掲げる政治団体「国際勝共連合」を結成し、岸信介氏ら日本の保守政治家と親密な関係を構築していく。産経OBが語る。

「教団を容認していたわけではないが、歴史的にみて『勝共』の路線が一致していたのは確か。産経は73年にも自民党から広告費を得て、日本共産党を批判する意見広告を掲載している」

 結果として、遠からぬ距離感を保ち続けてきたのだ。

「98年、山梨で開催された統一教会系政治団体の講演会場に、産経新聞の購読パンフレットが置かれていました」(ジャーナリスト・鈴木エイト氏)

 なお、今年8月、国際勝共連合から応援を受けていたことを認めた自民党の北村経夫参院議員は、産経新聞で政治部長、執行役員などを歴任した人物だった。

 産経新聞社広報部に改めて広告掲載の経緯を問うと、

「広告や編集に関することにはお答えしておりません」

 その歯切れの悪さが何かを物語っていた。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年9月15日号)

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