杉田氏"差別発言"も出世の訳
2022年12月06日 07時00分文春オンライン

杉田水脈氏 ©時事通信社
なぜ杉田水脈総務政務官は差別発言をしながら「出世」できたのか? 今回はこのことを考えてみます。まず最近の言動をおさらいします。
『杉田水脈氏、「保育所で洗脳教育」投稿を撤回…「不用意な発言だった」』(読売新聞オンライン11月30日)
その次。
『杉田水脈氏、同性カップル「生産性がない」など撤回 差別とは認めず』(朝日新聞デジタル12月2日)
《撤回したのは、月刊誌で子どもをつくらない同性カップルは「生産性がない」と評したことと、ブログに書き込んだ「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさん」との表現。性被害を訴えたジャーナリストの伊藤詩織氏について「落ち度があった」と言及したことや「女性はいくらでもウソをつける」などの他の発言については「精査して対応する」と述べ、撤回しなかった。》
杉田氏は性的少数者らを差別する発言の一部を撤回したが、それらが差別発言かどうかを問われても認めなかった。ほかにも、
《「日本に女性差別というものは存在しない」とした2014年内閣委員会での自身の発言について、「命に関わるひどい女性差別は存在しないという趣旨だ」と説明した。》(毎日新聞12月1日)
■なぜ杉田氏は重宝されるのか
ギョッとします。岸田文雄首相は「過去の発言は政治家本人が自身の責任で丁寧に説明すべき」と言ったが、最近の答弁を見れば杉田氏の発言は「過去」だけでなく「現在」も酷いことがわかる。問われるのは説明責任ではなく、岸田首相の任命責任、これ一点だ。
杉田氏はインターネット上の誹謗中傷対策も担当する政務官だが、首相は「適材適所」と言った。差別発言をする人を入閣させて期待しているのだ。
なぜ杉田氏はここまで重宝されるのか?
この疑問の答えを探すためにここ数年の新聞記事やスクラップをあらためて読み直してみた。
すると2018年8月2日の毎日新聞に『杉田氏寄稿 安倍さんなぜ語らぬ 擁立時には絶賛?』とあった。
当時は杉田氏が『新潮45』への寄稿で性的少数者を「生産性がない」とあからさまに否定した問題の渦中であり、この記事では杉田氏の経歴を振り返っている。
《杉田氏は昨年10月の衆院選で日本のこころから自民党にくら替えし、比例中国ブロックの単独1位で立候補した。》(同前)
■「安倍さんがすばらしいと言った人材」
読みどころは次。
《実はこの経緯について、ジャーナリストの桜井よしこ氏が昨年9月、ネット上の番組の対談で「安倍さんが『杉田さんはすばらしい』と言うので萩生田さん(光一党幹事長代行)が一生懸命にお誘いした」と語った。》(同前)
安倍さんがすばらしいと言った人材……。安倍晋三氏は自民党のトップとして杉田氏の主張や議員としての資質をどう考えていたのか。また、桜井氏の話は事実か。
《毎日新聞は安倍氏の事務所に取材を申し込んだが、「この種の問題についての回答は控える」と断られた。念のため桜井氏にも取材を申し込んだが「夏風邪で体調不良。また、時間が取れない」と断りの電子メールが寄せられた。》(同前)
あれから4年経って桜井よしこ先生の夏風邪も治っているはずだろうから毎日新聞はもう一度質問してみたらどうだろう。杉田氏を評価するのかしないのか。
■杉田氏の「原点」とは?
同時期の2018年7月28日の東京新聞には『自民・政府「差別」「うそ」の感染爆発』という特集もあった。
あらためて注目したのは杉田氏の「原点」を指摘する声だ。 山口智美・米モンタナ州立大准教授(文化人類学)は、
「彼女はこれより前から米国での従軍慰安婦像の撤去を巡る発言などで、右派論壇に取り上げられていた。だが、浪人を経て一層発言に右派度が濃くなった」
と解説している。きっかけは従軍慰安婦問題だったと。
《こうした「活躍」が安倍晋三首相の目にとまったのか、17年の衆院選では自民党から比例中国ブロックで立ち、当選。》(同前)
さらに山口准教授は「彼女の発言は自民党の考えとも合致する。同党の改憲草案は縦の家族関係を強調している」と述べる。たとえば安倍氏は2005年に、
《党の「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」の座長として、女(男)らしさからの解放を求める「ジェンダーフリー」を攻撃し、伝統的な結婚、家制度への固執を訴えていた。》(同前)
このことから、杉田氏のような議員は「安倍首相におもねり、首相の思いを代弁すれば報奨があると期待している」「出世を目指す政治家たちにとり、差別発言を自制する理由はない」という他の識者の見立ても載っていた。
■差別発言が「野放し」にされていた理由
これは4年前の記事だが、ここまで読んで思い出した方もいるだろう。ジェンダーフリー攻撃の経緯は最近の旧統一教会報道であらためて注目されているからだ。たとえばこれ。
『夫婦別姓や性教育を攻撃したのは誰か 激化したバックラッシュの実態』(朝日新聞デジタル9月27日)
2000年代に激化したジェンダー平等や性教育への反動(バックラッシュ)。安倍氏の銃撃事件を機に、安倍氏と関わりが深かったとされる旧統一教会によるジェンダー政策への介入の有無が問われ始めた。
この記事は今年9月に山口准教授にインタビューしている。山口准教授はバックラッシュについて「しかし、そんな話は、少なくともフェミニストなら誰でも知っていたはずです。だから、世間が驚いたことに私は驚きました。それだけ、社会がジェンダーの問題に無関心だったのでしょう」。
世間がバックラッシュに鈍いなか「これを言うとウケる(評価される)」と気づいた人間が、より過激な言説、いや、差別発言をまき散らして出世していく。
杉田氏を「育てた」のは安倍氏を始めとする政治家だが、「野放しにしていた」のは社会や私たちの無関心であったとも言える。各々の意見はあったとしても差別は別だ。
■杉田氏の「政治家」としての生命線
今回、杉田氏は以前の発言を撤回したが、しばらくしたらまた自分を褒めてくれる人たちのために差別や攻撃を始めるのではないか。それが「政治家」としての生命線だからだ。率先して代弁して可愛がられようとする。そして岸田首相は杉田発言にほくそ笑む人々の支持を目当てにして今後もこのような人物を重用するのだ。いちいちギョッとしていくしかない。
あと、岸田内閣は「全ての人が生きがいを感じられる多様性のある社会」(首相官邸HP)という言葉を二度と使用しないほうがよいと思います。
(プチ鹿島)
>42 人格が顔の相に出ている写真使ってますね。この写真をみる限り、貴殿のコメントは最適と思いますよ。
誰が投票した結果の議員と与党だ? この国民にしてこの政府。
自民党って こんなのが もちろん安倍ちゃんが 二回も総理になったりする党だから なんだか コンビニ前で 週末の深夜にタバコ吸ってるチンピラって感じ