「紀宮様が皇室を離れられましたことに寂しさも」雅子さまの黒田清子さんへの思い、愛子さま“ティアラ借用”が実現した理由〈元皇族としての心配りが…〉――2022年BEST5

「紀宮様が皇室を離れられましたことに寂しさも」雅子さまの黒田清子さんへの思い、愛子さま“ティアラ借用”が実現した理由〈元皇族としての心配りが…〉――2022年BEST5

2021年12月5日、岸田文雄首相ら三権の長から祝賀を受けられる天皇皇后両陛下と愛子さま(代表撮影) ©時事通信社

2022年(1月~12月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。皇室部門の第2位は、こちら!(初公開日 2022年1月5日)。

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 天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが成年を迎えられて以来、成年行事や宮中祭祀、初公務である新年祝賀の儀などに臨まれるたびに、大きな注目が集まっている。

 愛子さまの純白のローブ・デコルテ姿や、元日に上皇ご夫妻へ新年のあいさつをされるため、お住まいの仙洞仮御所を訪れられた際のアイボリーのドレスとフラワーモチーフがあしらわれた帽子をお召しの姿から、成年皇族としての清々しさと、両陛下のご長女の風格を感じた人は多かったのではないか。

■愛子さまをサポートする役割に徹する雅子さま

 この間、皇后雅子さまは愛子さまをサポートする役割に徹しておられるように拝察している。昨年12月5日、岸田文雄首相ら三権の長から祝賀を受けられた際、愛子さまの上質な輝きを放つシルクのローブ・デコルテとティアラをより輝かせるかのように、雅子さまは落ち着いたアイボリーのロングドレスをお召しになっていた。

 雅子さまは昨年12月1日に行われた愛子さまの成年行事で、宮内庁長官や参与、職員らからの祝賀を欠席されている。宮内庁側からは、愛子さまのご成年やお引っ越しのご準備によるお疲れが出たため、5日は出席されるので大事をとられた、という趣旨の説明があったようだ。愛子さまのローブ・デコルテ姿をお披露目する日に、よほど心血を注がれていたことがうかがえる。

 さらに、近頃の雅子さまは新調されたお召し物ではなく、長年大切に着回しをされているロングドレスを選ばれることが多かった。

■雅子さまはなぜ“ご定番”のロングドレスなのか

 例えば昨年12月9日、雅子さまのお誕生日に際して上皇ご夫妻のお住まいを訪れられた日は、ジャケットタイプのトップスにやや大ぶりのボタンがあしらわれた、光沢のあるライトブルードレスをお召しに。

 この日、天皇皇后両陛下がお帰りになる時、周囲の用意が整った後に両陛下の車両のご出発が少し遅れた。現場の警備担当者は「もう少しです。今、玄関で立ち話をされています」と話していた。当初は30分ほどと思われたが、天皇皇后両陛下は1時間ほど仙洞仮御所に滞在された。上皇ご夫妻に愛子さまの成年行事やティアラ借用などについても、ゆっくりとお話しされたのかもしれない。

 12月23日、上皇さまのお誕生日祝賀に際しては、小ぶりの襟とボタンが印象的なごく淡いミントブルーのドレスをお召しになっているが、いずれも新年一般参賀でお召しになってきた雅子さまの“ご定番”のロングドレスと言える。

 愛子さまがティアラを新調されなかったように、コロナ禍における国民生活などへの影響を考慮された側面はもちろんあるだろうが、雅子さまご自身のお召し物よりも、愛子さまの人生の節目に心を配られていたのではないか。

 雅子さまは、2021年のお誕生日に際してのご感想で、愛子さまがご成年を迎えられた感慨をこのように表現されている。

「愛子が生まれてからの20年間は長かったようにも、あっという間だったようにも感じられますが、様々な思い出が思い起こされて感慨深く思います。同時に、あの幼かった愛子がもう成年かと思いますと、信じられないような気持ちもいたします。皆様には、これまで愛子の成長を温かく見守っていただき、心から感謝しております。愛子には、これからも様々な経験を積み重ねながら一歩一歩成長し、成年皇族としての務めを無事に果たすことができますよう願っております。愛子を引き続き温かく見守っていただけましたら有り難く存じます」

■眞子さんの結婚に言及されなかった雅子さま

 内親王というお立場の愛子さまが成年を迎えられたことで、今後、将来の進路やご結婚についても国民からの関心は集まることだろう。

 昨年10月に結婚した秋篠宮家の長女・眞子さんと小室圭さんについて、雅子さまはお誕生日のご感想の中で言及されなかった。高円宮家の女王方の結婚についてもご感想では触れられていない。

 しかし、2005年12月のお誕生日に際してのご感想では、紀宮さま(現・黒田清子さん)のご結婚について祝福するおことばを寄せられている。

■「紀宮様が皇室を離れられましたことに寂しさも」

「今年11月には、紀宮様がご結婚なさいました。このことはとても嬉しく、心よりお祝い申し上げております。紀宮様には、私が皇室に入りましてからの12年余りの間、様々な面でお助けいただいておりましたことを度々思い、感謝の気持ちで一杯になります。紀宮様が皇室を離れられましたことに寂しさも感じますが、これからの新しいご生活でのお幸せをお祈りしたいと思います」

 このご感想が公表された約1年前、2005年1月には、雅子さまは2年ぶりに新年一般参賀に参加された。その時、婚約内定が正式に発表された紀宮さまが雅子さまのお隣にいらっしゃり、笑顔で言葉を交わされていたことは印象深い。時折、お二人で話し込まれる場面もあった。

■紀宮さまが明かした“雅子さまの印象”

 紀宮さまは、2005年11月に秋篠宮さまの学習院時代のご友人であった黒田慶樹さんと結婚された。現在は都内のマンションで日常を送り、2017年からは伊勢神宮祭主を務める。雅子さまが結婚される前、紀宮さまは、雅子さまの印象をこう述べられている。 

「(雅子さんとは)まだゆっくりとお話をする機会はございませんが、自分をしっかりと持っていらっしゃり、ユーモアのある楽しい方のように拝見しております。頼もしい姉二人を持つことが出来て大変心強く思っております」(1993年、お誕生日の文書ご回答)

 その一方で、皇居や赤坂御用地に生息するカワセミなどの生態調査をライフワークとした紀宮さまだが、かつて赤坂御用地内の東宮御所にお住まいだった皇太子時代のご一家とのご交流は頻繁ではなかったようだ。雅子さまの病気療養とご体調の波の影響もあったのだろうか。

■黒田清子さんからのティアラ借用が実現した理由

 愛子さまはご成年の準備にしっかりと参加され、細かい打ち合わせなどもされているという。愛子さまは黒田清子さんからティアラを借りて行事に臨まれることになったが、天皇の娘として、成年を迎えた経験を持つ清子さんに相談したところ、快諾したという。元皇族として皇室を支える姿勢やさりげない心配りが感じられ、黒田清子さんのご性格が表れているように思う。

 昨年12月22日には、安定的な皇位継承のあり方を議論する有識者会議は、皇族数の確保が喫緊の課題だとして、(1)女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する(2)旧宮家の男系男子が養子として皇族復帰するという2案の検討を求めた最終報告書を取りまとめ、岸田文雄首相に提出。皇位継承の議論は「機が熟していない」と先送りした。

 成年皇族となられた内親王を持つ母として、現在の状況を前に雅子さまはどのような思いでいらっしゃるのか。両陛下や愛子さまにとっては、今後も黒田清子さんの例を参考にされて、ご相談されることが増えていくのではないだろうか。

 両陛下と愛子さまがお揃いで沿道の人々に手を振られ、とてもいい笑顔を向けられているご様子を拝見していると、上皇ご夫妻と紀宮さまがお三方でお過ごしだった当時のようなあたたかな雰囲気が伝わってくるようにも思う。

 成年に当たってのご感想で、「これからは成年皇族の一員として、一つ一つのお務めに真摯に向き合い、できる限り両陛下をお助けしていきたいと考えております」と述べられた愛子さま。紀宮さまは、本格的に公務に励まれ、外国を公式親善訪問された初めての内親王だった。愛子さまは大学卒業までは学業を優先されると思われるが、成年皇族として立派にお務めを果たしていかれるだろう。

(佐藤 あさ子/文藝春秋)

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